11話 この世界について
「これ美味しい……本当に美味しい」
俺はガルドフ団長、イリーナ、ミジー、ハルカたちと一緒に夕ご飯を食べている。
(ローストチキンのような料理だな。この世界の料理を食べても味がしないとかなるのかな、と心配していたので安心した)
「ぐががふわははははぁ!遠慮などするな、ドンドン食え!」
「父上、『食え』でなく、お召し上がりください……ですわ。言葉遣いお気をつけください」
「すまん、すまん!」
イリーナの注意にガルドフが笑いながら謝ってきた。
「いえ、そんなこんなご馳走になってしまって、こちらこそすみません」
「こっちの世界の食べ物だから、合わないものあったら無理して食べないでね」
「もう全部美味しいよ。ありがとうハルカ」
ここ数日はインスタントラーメンやお菓子しか食べていなかった事もあるが、やはり出来立ての料理は一番美味しい。
元の世界に戻ったら、まず行きつけの天ぷら屋『天光』に行きたいと強く思った。
「良かった喜んでくれて。私が作ったんだよ」
「ハルカは傭兵としての仕事もできて、料理という家庭の仕事までこなせるなんて、本当に凄いよ、尊敬する」
「てへへ……ありがとう。スネタに喜んでもらえるのは本当に嬉しい。また作るね!」
ハルカは鎧でなく、フレアロングスカートの女性らしい服装に着替えていた。
耳にはイヤリング、少し化粧もしているようだ。
「宿舎に戻ると、そういう上品な服装に着替えるんだね。流石にずっと鎧は疲れるよね」
「あの……いつもはね、こういう格好はあまり私しないのだけれど……スネタとの食事だし綺麗な恰好したいと思って、こんな感じにしたの」
少し目線を外しながら小さな声で話すハルカ。
(なるほど人を招待した時にはちゃんとした、もてなしをするという事か。TPOをわかっている、社会性が本当に高いな)
「ハルカ、プロデユーサーや制作デスクとかの制作スタッフに向いているよね」
「え?何の話?」
ナポリタンのような料理を俺は食べてみた。
(うん、これも美味しい……でも『〇〇の城』を見ながら食べたら、もっと美味しいだろうな)
そんな事を考えながら、俺は食べ続けた。
× × × ×
俺は食事を終えた後、ガルドフ団長にタブレットでサンダーストラックアニメーションスタジオのデモリールを見せた。
「こいつはとてつもなく高ぶる技だな……」
ガルドフ団長が感心している。
「背景の絵は1枚1枚描いているらしいですわ……感動してしまいますわ」
「ミジーは、夜空の絵が好きだ。星を繋ぎ合わせた寂しさが終わりの歌のようだ」
ミラーナは一度デモリールを観ているが、それでも感動してくれていた。
ミジーは、ちょっと何を言っているかよくわからない所はあるが……表情を見る限り感動しているようには思える。
(背景に目が行くとは面白い着眼点を持っているな、イリーナとミジーは)
「アニメーションっていうんだって。本当に沢山の人たちの力でできている、総合芸術作品だね」
「芸術に疎い俺様でも、これがスゲーもんだってのはさ、わかるぞ」
「スネタの担当しているCGアニメーターっていうのは、このキャラクターたちにお芝居させる演技をつける事なんだって。生命を吹き込んでいるのと同じで凄い事をやってるんだ」
ハルカが目を輝かせながら話してくれている。
アニメーションに興味を持ってくれたみたいで俺は嬉しくなった。
「いや、でも俺のアニメーターとしてのスキルはまだまだ全然足りないんだ。もっともっと練習しないと」
俺は自分が大した事がないと一番理解している。
早く虎之助さんのように上手くなりたい、そう思うとすぐにスタジオに戻って練習をしたくなってしまう。
(いかん、いかん。まずは自分に課せられてミッションを達成しなければ)
「俺が異世界から来たって話信じてもらますか?」
俺の問いに、腕を組みながら答えるガルドフ団長。
「この技がこの世界にないという事は俺様でもわかる。論より証拠って奴だ、信じてやるぞ」
「ありがとうございます」
俺は深々と頭を下げた。
「俺はアニメーションを作り続けたいんです。だから何としてでも元の世界に日本に帰りたいんです」
と、俺が言った次の瞬間
『ドガガガァガーーーン!』
突然と雷が落ちたようで物凄い爆音が響いた。
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