表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
blood 血の誓い  作者: さくらもち
66/77

トンネルの先は

「で、結局海はその王蓮って人が好きって事ね?!」


「う、うん。」


教室のベランダでハルと外のグラウンド場を眺めながら、王蓮のことが好きだと伝えれば、ハルはとても嬉しそうに微笑んでいた


「はぁ〜!海の初恋の人だもんね!正直、めっちゃ気になる…で、その人って、どんな人なの?!」


どんな人?かっこいい?と興味津々に目を輝かせる親友に、王蓮を頭に思い浮かべた


「うん、落ち着いてて、一見冷たい印象なんだけど、話してみると、なんか、優しい人なんだなぁって思える人」


「へぇ〜!そうなんだぁ〜、ふふ」


「な、に?」


「いやぁ〜、本当に好きなんだなぁって思って」


「な!ま、まぁそうなんだけど、そんな言われたら恥ずかしいって」


「はぁ〜いいねぇ青春」


「うん。たしかに、青春してるねぇ」


急に、やけに聞き慣れた声に2人で勢いよく振り返れば、隣のベランダから、こちらに手を振る玲の姿


「れ、玲?!」


「あ、玲くん?」


あははと、笑う彼はなんだか、すこしだけ気まずそうな表情を浮かべている


「ぬ、盗み聞きぃ?!」


「違う違う!って言いたいんだけど、まぁそうなっちゃうかぁ…本当、たまたま、外の空気を吸いに来たら、海たちの声が耳に入っちゃって、」


鴉のメンバーで、なんなら王蓮の事は、私よりもよく理解している玲に、この話を聞かれるとは思わず、激しく動揺してしまう


「こ、この事は…」


「ん?あぁ、誰にも言わないよ。3人の秘密だね」


ドッドッドッと、恥ずかしさと、恋心を玲に知られたことで、動機が止まらないが、私とは違い玲はにこやかに笑い、それに、俺もいた方が上手くいくかも、なんて言ってくる


「え、玲くんの知ってる人なの?」


「うん、めちゃくちゃ知ってる人」


「そうなの?!海ー!だったら玲くんに協力してもらいなよ!」


こういうのには、仲間がいた方がいいんだから!なんて、言うハルに、いやいや玲に協力はちょっと、無理がありそう…なんて、思うけれど、私のそんな不安を他所に、彼は二つ返事で、いいよ!と、それは嬉しそうに笑みを浮かべた





「俺が、キューピットになってあげる」









□□□


狼と髑髏が描かれた、暗いトンネルの中を怯むことなく、スタスタと歩けば自身の歩く足音がトンネル内に響き渡る


トンネルを抜ければ、暗いトンネルとは違い、急に光が差し込んできて、一瞬だけ眉間に皺を作った


帽子に、サングラスをして、出来るだけ紫外線対策はしているものの、暗いトンネル内に居たからか余計に眩しく感じるのは仕方がない



「おい、ガキンチョ。見ない顔だけどここに何か用?」



トンネルの前に、仁王立ちで立っている、長い黒髪に、まだ夏だというのに、パーカーを着て背中に刀を背負った彼女は、見たところ鈴と同じ年頃だろう


こちらをサングラス越しに覗き、お前純血?と確認してくるあたり、やはり狼らしい



「うん、お姉さんにちょっと用があって」



「へぇ、純血がここに何の様?、…あーうちに入りたいなら、藤子さんに確認しないと無理だよ」



「狼に入るつもりはないよ、ただこっちの協力をしてもらおうと思って」


「は?」


何言ってんだお前と、こちらを怪訝そうに見つめる少女は無視して、僕の後ろに控えるもう1人の人物に声をかけた


『捕まえて、殺しちゃダメだよ』



「はい、エデン様」



音もなく、暗いトンネルの中から、ゆらりと現れた茶髪のおさげの少女は、黒髪の少女に勢いよく切り掛かった。



黒髪の少女は、咄嗟に背中から刀を抜くと、襲いかかる立花りっかの刃を受け止めた。


その瞬間、ギィーーーン!!と金属音が響き、黒髪の少女は、声を荒げた



「おい!立花りっか!どういうつもりだ!」


「…エデン様の為に、あんこを捕まえるんだよ、早くその刀捨てて降参して」



「はぁ?!…立花!あんた何言ってんのか分かってんのか?」


「分かるも何も、私はエデン様の為にいるだけ」



あんこと呼ばれた黒髪の少女は、ズザザと音を立てて、一度暗いトンネルの中へと飛び込むと、カシャンと音を立て、サングラスを投げ捨てた



「昼間はマジで動きにくい!…おい!立花!そいつの味方をするなら、お前は裏切り者だぞ!」


「味方も何も、エデン様は絶対なの」



『立花、早くして』



トンネルに響く、2人の会話を黙って聞いていれば、長引きそうな予感。


ここに長居する気はなく、もう一度立花に、早く人質にしてと声をかければ、立花はすぐにおとなしく返事を返した



「…お前、もしかして能力者か?!」



立花の様子に気がついたあんこは、立花の刀を受けながら、こちらへ声を荒げた



「さぁ?どうだろうね?」



「お前、立花に何した?!」



意外と感のいい彼女に、感心していれば、あんこは立花を押しのけ、こちらへと向かってくる

ものすごい勢いに、一瞬目を開くが目の前で刀を振り上げたあんこに、ニヤリと頬が上がっていく


振り翳した刀に、自ら背中を向ければポタポタと血が流れ、甘い香りが周りを漂い始めた


「何、笑って…」


結構深い傷にも関わらず、笑みを絶やさない僕に目を開き動揺しているあんこは、僕の能力を知らない


流れる血を見て、早く鉄分を摂取しなければ、正直危ないが、その前にやることがある


『おとなしく人質になってよ』


「…はい、エデン様」



これだけ僕の血の香りを、至近距離で嗅いだのだから、洗脳が効かないはずがない

なんなら顔に飛び散った僕の血は、あんこの体内に確実に入った。


それを確認し、すぐに洗脳をかければ、別人の様に大人しくなった彼女に、後ろで刀を直し終えた立花。


彼女はやってくるや否や、すぐに鉄分サプリを僕に飲ませると、みるみるうちに先ほどの傷は綺麗に治っていく



「エデン様、これからどうなさいますか?」



『立花は、このまま狼に戻っていいよ。そしてあんこが、鴉に誘拐された、って伝えて』



「はい、分かりました。」


深く頭を下げた立花は、すぐにトンネルから抜けていった


残されたあんこと僕は、来た道を今度はあんこと2人で戻っていく。


隣をチラリと見れば、先ほどのうるささはなく、大人しい彼女。

洗脳をかければ、自分に忠実になるのだから、この能力は素晴らしいと改めて思う


剣の腕もあり、立花とも互角な腕前の彼女が味方になれば、鴉にも劣らないはずだ。


そして、次は、あの子の番。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ