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blood 血の誓い  作者: さくらもち
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香りの正体

誰もいないネストのラボに寝かせれば、アダムは少しだけ安堵の表情を浮かべ、ベットの上ですやすやと吐息を立て始めた


ネストに着く前に、ある程度話を聞けば、息子のエデンに洗脳をかけられて、白蛇を立ち上げたと。


死人を見て、アダムが関与していない事を願っていたが、まさか息子に洗脳されていたとは思わなかった。


アダムの洗脳の力を超える能力を持つ息子には、正直興味があるが、息子に対しての怯え方を見る所、普通ではないらしい



「鈴と一緒の血印があるネ。で、洗脳してる相手が分かったのはいいけど、これからどうするの?」


顕微鏡を、確認し鈴と同じ血液を確認した天明は、アダムの血と調べたけれど一致せず、頭を抱えていたが、その息子の血だと知ると、謎が解けたらしく、すっきりした表情に変化していた




「…アダム曰く、飲ませるだけじゃなく、血の香りを嗅ぐだけで洗脳できるらしい。大した能力だ」



「へぇ?それって、厄介だネ」


確かに、仲間なら便利ではあるが、敵に回るとめんどくさい


嗅ぐだけで洗脳できるということは、龍の血以外の者は、全て洗脳していてもおかしくない。


たしかに、アダムが言っていた様にこのまま放っておけば、面倒くさいことになるだろう



「天明、あのガキを連れてこい」


「うん、分かった」



けれど、こちらから攻めてもエデンは姿を表さないだろう。


だったら、エデン本人をこちらへおびき寄せるしかない

どうせ、鴉に洗脳したスパイがいるというのなら、こっちも同じやり方を使おう


話を聞く限り、明凛は単純に俺に血を飲ませようと企んでいるだけの様だし、エデン本人とは通じていない


それなら、明凛を上手く利用して次はこっちから攻めるだけだ。






「で、なんか用?」



「お前の洗脳は根強いね?」


「は?」


椅子に大人しく座っている鈴へと近づき、アダムに言われた通り、鈴の首から揺れる可愛らしいすずを指差せば、明らかに動揺した様子


「それ、中に香水が入ってるって?」


「だからなによ!」


「…それに、興味がある」


咄嗟にすずに手を当て、渡さないと隠し始めた鈴の様子を見るに、それほど大切な物なのだろう


「これは、大切な人から貰ったものなの、あんたなんかにあげるわけないでしょ!」



「別に取って食おうってわけじゃない。その仕組みに興味があるだけだ」



桃色の瞳を揺らし、渡さないと言いたげな鈴の様子に、余計興味が湧くのは仕方ない。


すずのくせに、音が鳴らないのは不思議に思っていたが、まさかそこに秘密があるとは思わなかった



「鈴、すぐに返すから少しだけ貸してくれる?」


俺とは違い、優しく促す天明は鈴の側へ行き、そっと彼女と同じ目線になると、疑いの目で俺を見ていた鈴は、頬を赤く染め上げ、すぐに首輪を外すと天明へと渡した


俺とは明らかに、違う態度は気に入らないが、当初の目的である、このすずが手に入ったのだからよしとしよう。



すずの蓋を開ければ、中には石が入っていた。

それもただの小石ではなく、アロマストーンという物らしく、やけに綺麗な石だった


クンクンと石の香りを嗅げば、甘い血の香りが混じっており、これで鈴を洗脳していたことが分かる


そうとも知らずに、大切に肌身離さずに持っていたとしたら、なんだか気の毒な話だ


石を取り出し、蓋を閉めすぐに首輪を鈴へと返せば彼女は首に付け、安堵な表情を浮かべる


「じゃあ、あとはそれを調べて。こいつに血薬を飲ませておいて」



「うん、分かった」



後は天明に任せ、ラボから出ると自身の部屋へと向かうが、やけにさっきの鈴の表情が浮かんでくる。


知らぬ間に、身内に洗脳されていたなんて、プライドの高そうなあの少女は、どう思うのだろうか?


別に同情するわけではないが、信じていた相手に裏切られる気持ちは、俺も分からないでもない










□□□


「おおい?!寝んなよ?!」


夏休みの課題、作文を書き始めたかと思えば暫くすると、うとうとし始めた海にまさかとは思って観察していれば、案の定夢の世界へ


ゆさゆさと海の肩を揺らせば、はっと体を起こしノートへと集中し始めた所で、ホッと息をついた。


「あと少しだから寝んなよ」


「うん…がんばる」


「でも分かるなぁ、俺も眠くなるタイプだからさ」


もぐもぐと、陸さんがくれたケーキを堪能する玲は楽しそうに笑っており、海が寝る度に写真を撮っている。


「お前さー、写真なんか撮ってないで、寝ない様に見張ってないと、こいつの宿題全然おわんないよ?俺らも暇じゃないんだし」


「俺は明日も休みだから平気だよ?」


「そう言う問題じゃねーつの!…お前は、陸さんのケーキ狙いだろ?」


「あ、バレた?」


あははと、笑う玲に俺がしっかりしなければと、また隣でうとうとし出す海の頭をこついた。


作文さえ書けば終わりなのに、なかなか進まない海に、頭を抱えそれを見て楽し気に笑う玲にもまた、更に頭を抱える


「子守りも大変だわ」



「うわぁ〜士郎さんに言われたくないな」


「それはそう!強ちゃんに言われたら終わりだ」




「お前ら、急に刺してくるじゃん」




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