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blood 血の誓い  作者: さくらもち
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愛しいあの子は

ここからは、海は夏休みの宿題を終わらせるまで出番はありません。

その代わり他の人たちの視点になっております。

よろしくお願い致します(*゜ー゜)


久々に、両親の事を話せば天明はそっと水の入ったコップを差し出した。


水を受け取り、ごくごくと一気に飲み干すと、普通の水のはずが、どこか甘みがあり美味しい



「素敵な両親だね」



「…そう、ですね」



てっきり天明も反対派かと思えば、彼は人間と結婚した母の話にも一切嫌な顔をしなかった




「天明さんは人間、好き?」



「うん、好きだよ〜。僕は人間と吸血鬼を比べたりする風習が嫌いなんだよネ」



「へぇー…そうなんですね!」



彼は、純血、混血、人間だからと偏見を持つタイプではないのか。


てっきり、純血だと聞いていたから、どうせ彼もお堅い考えを持っているのだと勝手に思い込んでいた


けれど、こういう考えの人もいるのだと少しだけホッとしたのは、私の体に人間の血が混じっているから。



まだ、数日しか天明とは過ごしていないが、一つだけ分かった事がある


それは彼とエデンは、外見は驚くほど似ているが、内面は全く似ていないこと


エデンも血統には特にこだわりは持っていないけれど、あの子は無能で使い物にならない人間は嫌いだ


…いや、人間だけではなくエデンは血の能力がない吸血鬼は簡単に切り捨てる


私はそんなエデンが怖くて、あの時…


あのとき…、あ、れ…?あの時って…どの時だったっけ?






なぜか、エデンとの記憶を思い出そうとすると、ぐるぐると頭の中が回る感覚がして、うまく思い出せない


ただ、彼が怖い…こわい?って、なに?



どうして、あの美しく神々しいエデンが怖い?


私はあの子の為なら、どんな事でもできるのに、そのために…





「大丈夫?」



急に天明に声をかけられ、ベットの上で俯いていた私は、彼の声に意識が引き戻された





「え、あ、大丈夫です」



「…そう?」



どこか私の様子を、心配そうに見つめる天明は、やはりエデンの様に美しい外見をしている


もっと、彼のこの美しい表情を見ていたいけれど、エデンに似ているその真っ赤な赤眼を見ていると、またぐわんぐわんと目がまわり車酔いの様な吐き気が込み上げてくるのだ





「ぐ、ぐるぐるまわって…」



「眩暈…?それとも貧血かな?」



「ひん、けつ?」



未だにぐるぐると目がまわるような感覚に耐えきれず、咄嗟に顔を手で覆いぎゅっと目を閉じた



目を閉じても、特に症状が落ち着くことはなく、むしろ今飲んだ水を吐き出しそうになってくる


ぎゅっと目を瞑り、この気持ち悪さをグッと耐えてみたけれど、良くなるどころか更にふらりと体が傾き、ベッドに座る私の体はそのまま床に引き寄せられた


しかし、体は床に落ちる前に天明に抱き止められたおかげで、無傷



「…血薬が効いて来たネ、そのまま寝ていいよ」



ちやく…?


いつ、どこで、そんな薬を飲まされたのだろうか?


何に入っていたのかと、体に入った経緯を考えたいのに、彼の金木犀の香りに包まれているのもあって、急に眠気が私を誘い段々と意識が遠のいていくのが分かった




深い眠りに入る直前、なぜか夢の中で言っていたエデンの言葉を思い出した





『これで、ずっとりんは僕の味方だね』














□□□



「ねぇ、りんとはまだ連絡が取れない?」



「も、申し訳ありません!!…鈴様は厳重に監禁されていまして…その、近くに龍天明がおり、近づけない状態らしく…」



「へぇ…?で、いつまで僕を待たせるの?」



小学生程の年齢の少年は、明らかに自分よりも図体の大きい男性にも全く物怖じする事なく、言葉を続ける


男は、土下座し必死に何度も謝り続けており、その男へと少年は優しい表情を向けると、赤い瞳に男を映した



「おじさん…本当、使えないね?」


『消えて』



愛らしい見た目の少年からは想像できない程、冷たく言い放てば、男性は段々と目から光が消えていき、ソッと静かに立ち上がった



「…はい、エデン様の為に」



懐から拳銃を取り出したかと思うと、男性は躊躇うことなく、自身の頭に銃口を向けすぐに引き金を引いたのだ。


室内に響く激しい銃声音と共に、ピシャリと血が飛び散り、男はばたりと音を立てて床へと倒れた


エデンの言葉ひとつで一瞬にして、自害すると室内は彼の血の香りが漂い、エデンは喉を鳴らした


死んだ男へと近づき、血溜まりの中へ指を入れると、そっと血を掬い上げペロリとひと舐めすればエデンは、げぇと顔を顰めた



「にっが!…おじさんさぁ、カフェインの取りすぎだよ」



男の血はそれは苦く、これまで飲んだ血と比べれば、とても飲めたものではなかった。


うえ〜…と、舌を出し不味いと訴えれば、もう一人部屋の隅に立っている男は、サッとジュースを差し出す。


男からジュースを受け取り、口の中に残る苦味を甘いリンゴジュースで散らすと、この死体を早く片付けてと指示を出した



「あー…ソレ、あとで死人にするから保管庫に置いといて」



「はい、エデン様」




言われた通り、男の死体を軽々と抱き上げるとすぐに部屋から出ていった


残された室内は、血の匂いと火薬の匂いが混ざり、胸焼けしそうだ


空気を入れ替えようと、ガラガラと窓を開け風を入れれば、生ぬるい風がゆっくり入ってきてエデンの白い髪を揺らした


夏の夜は、どこからか虫の鳴き声が聞こえ、音のなかった静かな室内は、一気に夏にらしくなったように思う



窓の外に顔を出し、空を見れば今日は丁度満月


明るい月の光が、辺りを照らして綺麗だと思うが、その周りをキラキラと照らす星も中々見応えがある





「やっぱり無能なやつは、…血も不味いなぁ」




満月に語りかける様に、呟けば返事をする代わりに、ぶわぁと風が吹いた



いつも、読んで下さりありがとうございます。

頑張ります!

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