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blood 血の誓い  作者: さくらもち
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家族



「これ、あげる」



6つ離れた可愛い従兄弟に貰った誕生日プレゼントは、鈴の付いた赤い首輪


いつもはそっけない態度の彼がくれたプレゼントは、かなり個性的だったけれど、エデンから貰ったものなら正直なんだって嬉しい


喜んで受け取れば、エデンは満足そうに微笑んだ




「これで…」





エデンの声が小さくてもう一度と、聞き直せば彼が答える前に、タイミングよく目が覚めた。


結局何を言っていたのかは、分からないまま




ベットから起き上がり、そっと自身の首に触れれば、エデンから貰ったあの可愛らしい鈴の付いた首輪


この首輪の面白いのは、鈴だというのに揺らしても全く音がならない所


そっと指で揺らしてみても、音が鳴ることはないが、その代わりに揺らせば鈴の中から甘い香りがふわりと漂ってくる


この鈴の中には香りのする香水を染み込ませているから、揺らせば揺らすほどふわりと甘い香りが自身の鼻を通り心地が良くなる、私の宝物



この香りを嗅ぐと、エデンが恋しくなるのは、あの子からもらった香水だから


今頃エデンは何をしているだろうか?




ここ、鴉に捕虜にされて数日、思っていたよりも、酷い扱いをされることはなかった。


むしろ、お世話はあの天明がしてくれているので全く問題もなく、逆に居心地がいいまである


元はエデンの為に、特異体質だという海の血液を頂くつもりだったけれど、思わぬ龍王蓮の邪魔が入ったことで、全ての計画が狂ってしまった


当初の話では、王蓮は来ないと聞いていた。

未だに嘘の情報には腹が立つが、今更話と違うなんて苛立ってもしょうがない


捕まった場合の事も、もちろん考えてはいる


けど、私の能力を知っているのか龍王蓮は私の世話役を完全に天明に任せている


彼に任される前ならば、迷わず洗脳しようと思っていたのだが、龍天明に出会ったことであまり乗り気ではない


愛しい従兄弟エデンとよく似ている天明は、私の中の理想そのものだったからだ


神々しいまでの白髪に燃えるような真っ赤な瞳

彼がぱちぱちと瞬きをする度に揺れる長いまつ毛は、とても愛らしい


こんなに外見がエデンに似た人物が、この世に存在することに、正直驚いた


本来ならば洗脳して、私に惚れさせる事もできたけれど、龍には洗脳は効かないと聞いていたからその考えはすぐに消え、気がつけばすぐに彼に告白していた。




元は、エデンさえいれば何もいらないほど、彼の為に生き、彼に忠誠を誓えるほどエデンを崇拝しているにも関わらず、龍天明と出会ってからは、なんだか自分がおかしい


今まではエデンが私の最優先だったにも関わらず、どうやら私の心は今や目の前の龍天明にあるみたいだ




けれど、私は白蛇で主はエデン様ただひとり、

いくら天明が好きだからといって、白蛇としての目的を忘れたわけではない。


今はまだ、エデンからの指示がないためここで大人しくしているけれど、彼からの指示が来たら迷わずすぐに実行しなければならない


ただ、それまでの間だけは彼と二人で過ごしてもいいでしょう




「鈴」



「はい?」




「君の家族はどんな人?」





「…いくら天明さんでも、その質問には答えられない」



家族とは、きっと白蛇の事を言っているのだろう。


なんでも答えるとは言ったものの、いくら天明でも、言えない事もある


たとえ天明が付き合うから教えてと言っても、私は口を割らない自信はある…はずだ。




「うん?違うよ、白蛇じゃなくて鈴の両親の話だヨ?」



白蛇の話は絶対に言わないから、なんてガードしていれば、天明から返ってきた言葉は、思っていた事とは全く違っていた


勝手に白蛇の事だと勘違いしていた自分は、天明の言葉になんだか急に恥ずかしくなり穴があったら入りたい現象




「あ、え、私の両親の話…ですか?」



「うん、お父さんは人間って言ってたよね?」




「はい、私の父はとても優しい人でした!」





私の父親は人間で、母は純血の吸血鬼


母の家系は由緒正しき家柄で人間の父と結婚することは許されなかった


それでも、父の事を心から愛していた母は、家族の反対を聞かずに家を飛び出し、俗にいう駆け落ち。


しかし、母の家は裕福でお嬢様として育った為人間で、しかも裕福ではない父と結婚した事で生活は苦しく毎日食べていくのもカツカツの状態、けれど2人はそれでも幸せだった


人間の父は優しく、人から頼まれたら断ることができない性格をしていたため、お金で困った友人の保証人になってしまい、更に生活は悪化していった


そんな状態の中、私を妊娠していた母は、ボロボロのアパートの中で私を産んだのだ


お金もなく、病院にも行けない状態でひっそりと私を産んだ母は、血が足りずに枯渇状態になりかけ、血を求めた



血が足りず苦しむ母を見て、父は自身の血を差し出したが、出産で大量に血を流してしまった母は、父ひとりの血を全て飲み干すわけにもいかず、自分の命ではなく愛する父の命を選び、そのまま命を落とした


出産で枯渇し、母を失った父は絶望し自分も死のうと自殺を考えたが、幼い赤ん坊の私の泣き声にハッとし、父は私の為に生きることを誓ったのだと。


子供の成長は早く、すくすくと育つ私を見て、父はよく母にそっくりだと、笑っていたのを今でも思い出す



優しいたった1人の私の父は、私を育てるために寝ずに働いていた事で、過労により私が5歳の時に母と同じ場所に行った


父が亡くなり、まだ幼い私は父が死んだ事を理解できず、ただひとりボロボロのアパートで数日、父の帰りを待っていた



けれど、とうとう家にある食べ物もそこを尽き枯渇状態になりかけた時、私を迎えに来たのが、母の兄だと言う赤梨アダム


彼は、まだ幼い私を優しく迎え入れてくれたのだ


混血の娘を引き取った叔父は、それは親戚から白い目で見られていたにも関わらず、彼は気にすることなく、いつでも私に優しく接してくれた。


それは叔父だけでなく、彼の妻イブさんも同じで、私を娘の様に可愛がってくれる優しく美しい女性




そしてその一年後に、天使の様に愛らしいエデンと出会った







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