表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
blood 血の誓い  作者: さくらもち
53/77

一目惚れ

天明side



かちゃりと扉を開けて中に入れば、甘い血の香りが室内に広がっていた


銀の手錠をした金髪の、海と同じぐらいの年頃の少女は、俯いたまま動きがない


太ももからポタポタと落ちる血は、床に血溜まりを作っており、敵ながら可哀想に思えてくるのは、この子が海と重なるほど幼い子だから



王蓮にあとは任せたと、血液と救急箱を渡されゆっくりと少女に近寄れば、少しだけ動いた頭



「…なに、よ」


俯いたまま、話す事はない!と怒鳴られ確かに王蓮の言っていた通りだと納得した


しかし、今はその出血を止めないと本当に枯渇して死んでしまうだろう


せっかく捕まえた白蛇の情報源に、ここで死んでもらったら困る


海の事を、襲った相手を治療するのは、正直嫌ではあるが、今は仕方がない


そっと近づけば、ほっといて!とまた大きな声をあげる少女にため息が溢れる


まるで、慣れない犬の様にギャンギャンと吠える少女に、苦手だと思いつつそっとしゃがみ込み、彼女の太もものに手を添えた



「っ…!さわらないでよ、へんたい…!」


傷の具合を見て、皮膚の中に銃弾が残っていないか確認しようとしているのに、バタバタと足を動かす少女は、僕の事を変態だと叫ぶ始末


「変態?僕は、傷を治してあげようとしてるのに…失礼じゃない?」


流石に変態扱いは酷い、せっかく治療してあげようとしているのに、まったく口の悪い子だ



「…っ誰?!」


少女は僕の声を聞いた瞬間、勢いよく顔を上げしゃがんでいる僕見た。


その瞬間、彼女のチェリーピンクの瞳が視界に映りこんだ


僕とは違う、薄いピンク色の瞳はどこが柔らかい印象に見え、勝手に思っていた外見とは全然違っていた



視線が重なった途端、急に少女は大人しくなり小さな声で何かを呟いていたが、上手く聞き取れない




「…え?」


しかし、とりあえず大人しくなった彼女の様子に、急いでピンセットで銃弾を取り出し、腕に注射針を刺し血液を投与すれば、みるみるうちに治っていく傷口



綺麗に治っていく傷を眺めながら、家の壁穴もこうやって治ればいいな、なんてついつい関係ない事を考えてしまう




30分が経った頃、ようやく動きを見せた少女は声をかけた途端、急にポッと顔を赤らめたかと思うと、意味の分からない事を言い出した



「あ、あの!!ひ、一目惚れしました!!」



急な一目惚れという言葉に、意味が分からず後ろを振り返るが、そこには誰もいない。


少女に、僕?と指を差すとコクコクと力強く頷き、お名前は!?と目を輝かせた


「僕は、龍天明だけど」



「あ、貴方が龍天明?!…うわぁ、龍家かよ。いや…でも、めっちゃめちゃタイプ!」




名前を言った途端、ボソボソと語りだし少女はうーんと唸り、またこちらに視線を向け、鈴です!と自己紹介を始めるものだから、なんだか調子が狂う



「あー…りん?聞きたいことがあるんだけど」


「はい!なんでも聞いてください!」


「ん〜、じゃあ、君は一体誰なの?」



「私?私は夜野鈴、父が人間で母が吸血鬼の混血です、年は16で、彼氏もいません!」


「…へ〜、混血なんだ?それで白蛇に入ってるの?」


「そうです!…あ、もしかして混血はお嫌いですか?!」




潤んた瞳でこちらにハートを飛ばしてくる鈴は、先ほどの慣れない犬ではなく、完全に懐いた犬


気が強いタイプの扱いには慣れているけれど、こういうタイプは正直、初めてでどう対処していいか分からず、とりあえず苦笑いを浮かべた




「別に、嫌いじゃないけど…」


「そ、そうですか?!ちなみに天明さんは、その…か、彼女はいますか?!」



意味不明な質問だが、真剣な表情で訪ねてくる彼女に、別に嘘をつく必要もなく、正直にいないと答えれば、ぱあああっと花が咲いた様に満面の笑みを浮かべ喜んでいる




「あの!天明さん、私と付き合ってください!」



彼女の突然の告白に呆気に取られ、は?と声に出せば、鈴は手錠に繋がれたままだと言うのに、自分の状況を忘れ、彼女にしてくださいと真剣な眼差しを向け、志願してくる




「…えーと、ごめん」


正直、まあ可愛い子だなぁとは思うが、この状態でOKなんて返事を返す程、僕の神経はおかしくはない



でも異性に好かれるのは嬉しいし、好かれないよりは断然いい


しかし、仮にも相手は白蛇の子、それに大事な弟子を傷つけた子だ、それに好きとか嫌いとかの問題ではなくて、彼女は捕虜なのだ


まさか捕虜に、自分が好意を持たれるとは思っておらず、正直困惑はしている。




「…そ、それは他に好きな人がいるってことですか?」



「…え?」



「そ、それなら諦めます!…いや、でも結婚してる訳じゃないし、まだワンチャンあるか…」



「…いや、そう言う事じゃないよネ?」


「え?じゃあなんでダメなんですか?!」



なんでダメって…君は捕虜でしょ?

自分の立場を忘れるなと、伝えるが彼女は全くめげる事なく質問してくる



「え、捕虜は恋したらダメなんですか?!」


「んー…ダメというか、僕は僕の家族を傷つける子は嫌いだよ」



はっきりとそう言えば、彼女は眉を八の字にして、ぽろりと涙を流し始めた


まさか、泣くほどとは思わず、ギョッとしていれば、彼女はわんわんと子供の様に泣き出す始末


流石の様子に、仕方なくポケットからハンカチを取り、溢れる涙を拭ってやれば、つー…と彼女の鼻から真っ赤な血が垂れた





「優しい…好き」



「ねぇ君、鼻血出てるヨ…?」




なんか、変な子に気に入られたみたいだ




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ