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blood 血の誓い  作者: さくらもち
50/77

信用できるのは、



「ボス、良いですか?」




ネスト内にある王蓮の部屋へと向かい、扉越しに声をかければ、すぐに返事が返ってきた。


王蓮の返事を聞いて中に入ると、綺麗に整理された室内、それからソファーに座る王蓮の姿が目に入り、お礼を伝えると彼はうん、と一言



「私、もっと強くなります」



もし、王蓮があの場に来なかったら、きっと今頃は逆に私が相手の捕虜になっていたことだろう


しかもあんな無様な姿を、ボスである王蓮に見られていたのだから余計に恥ずかしい


自分の不甲斐なさに、悔しくなりグッと唇を噛み締めれば、王蓮は煙草に火をつけ静かに息を吐いた



白い煙が黙々と上に上がり、だんだんと薄くなっていく様を、目で追うと王蓮は空いたソファーを指差した


座れの指示に大人しくソファーに腰掛ければ、彼は相変わらず綺麗な赤眼で私を見ている


王蓮の赤い瞳は、どこか鋭さがあり未だに緊張してしまうのは、彼が鴉のボスだからだろうか




「暫くは、ひとり行動はやめた方が良い」



「え?」



「白蛇は、お前の血を狙ってるから」


「私の血、ですか?」



じっと、真剣な眼差しを向けられるのは正直まだ慣れていない


少しだけ、彼から視線を逸らし意識を自身の手に浮かぶ血管へと集中



小さく息を吐いて気持ちを落ち着かせ、さっきまでの出来事を、思い返せば、あの時確かに凛は私の血が欲しいと言っていた


思い出した事をそのまま、王蓮に包み隠さず伝えれば、彼はお前の血は、特別だからなんて言い出す




確かに、人間から吸血鬼化したのは珍しいと言われていたけれど、王蓮に言われると何だか変な感じがする


彼の、『特別』という言葉だけを切り抜けば、甘い言葉に聞こえてしまうのだから、私の頭はおかしいのかもしれない


別にそう言う意味ではないと、ちゃんと分かっていても彼に言われると、ポッと照れてしまうのは、きっと私だけじゃないはずだ。


それほど目の前にいる彼が魅力的な男性だから仕方がない




「とくべつ…」



「…人間から吸血鬼に変化してれば、興味を抱く奴らも出てくるでしょ」



実際、元人間が急に、吸血鬼になったのだから、物めずらしさに、そういった輩が出てくるのも不思議ではない



けれど、考えてみれば私が元人間だという事を何で白蛇が知っているのだろうか?


私の事を知っているのは、鴉の皆と叔母だけのはず



「でも、なんで私の事を知ってるんですかね?」



「…もしかしたら、身近に洗脳されてる奴がいるかもしれない。白蛇は洗脳の能力を持ってる、あいつらに操られたら、俺でも流石に見分けがつかない」


王蓮のこの言い方だと、この中にスパイがいると言う事だろうか?


しかし、流石に叔母さんは、ないとしても…鴉の誰かが洗脳されている、もしくはスパイだなんて考えたくない


皆、良い人で大好きなのにもしかしたらと疑ってしまうのはとても心苦しい話だ



「あの…今更ですけど、洗脳の能力ってなんですか…?」


「は?天明から聞いてない?あー…詳しくは天明から聞いてよ、それと暫くは天明以外とはなるべく出歩かない方が良い」


「えっと…それって、強ちゃんもダメって事ですか?」



「うん。天明や俺は洗脳は効かないから」




「そ、そうなんですね…、あ!それって純血の人には効かないって事ですか?」



「………」




「…え?」



猿田もダメという事は、やはり純血の人には"洗脳"が効かないのだろうと思い、軽く聞いてみれば突然の沈黙


急に、返事が帰って来ないので、まずいことでも聞いたのかと不安になれば、王蓮は小さく笑い頷いた



「ふっ…まぁ、そんな感じ」



目を細め、一瞬だけ見せた彼の笑にほんの少しだけドキっと胸が高なったのは、きっと普段彼が笑わないからだと、また自分の胸に言い聞かせた



「あ…その、もし洗脳に掛かっている人がいたらその時は、どうしたら良いんですか?」



ビンタしたり、痛みとかで元に戻せたりするのだろうか?

単純にドラマや漫画を見て得た知識では、そう言った場合は大体、この方法で目を覚ますパターンが多い


もしかしたらと、聞いてみれば彼はテーブルの上にあるダーツの矢を手に取り、私の方へ刃を向けた


「完全に洗脳を解くには、その洗脳元を探すしかないね」


それで見つけたら、そいつを殺せば良い


──ダンッ!!


私の頬をヒュッと音を立てて通り過ぎていくダーツの矢に、一瞬だけびくりと肩を振るわせれば王蓮はまた楽しそうな笑を浮かべた




やけに満足そうな彼の表情に、恐る恐る後ろを振り返ればダーツの矢は、見事に後ろの壁にあるダーツボードの中心に命中しており、ど真ん中に刺さった矢を見て、次は違った意味で胸が高鳴った




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