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第二話 修復の後のティータイム


 北極星が創り出した亜空間の拠点は、シンボシベースと呼ばれている。

 このベースは北極星の加護を受けた宝石たちが、出動待機をしたり寛いだりする場所だ。宝石たちは『シンボシラピス』と名づけられ、人間の形に姿を変えて過ごしている。

 亜空間にはリビングやキッチンなど様々な設備があり、今日はそのキッチンから良い香りが漂ってきていた。


「お待たせしました。今日のおやつは小豆のマフィンです」


 シリマナイトがそう言って、焼きたてのマフィンが乗った皿をテーブルに置く。彼が落ち着いた緑の瞳を向けると、ダンビュライトとマリアライトが身を乗り出してきた。


「わあー、美味しそぉ」

「待っとったでよー」


 ダンビュライトはマフィンのキラキラした雰囲気に、マリアライトはプレーンでない混ざり合った味わいに、それぞれ瞳を輝かせておやつを迎える。


「和風の洋菓子だから、この玉露も合うと思うぜ」


 そして紫がかった青い瞳に虹色のきらめきを乗せたベニトアイトが、丁寧な仕草でお茶を注いだ。


「ベニトはほんとに日本茶が好きだねぇ」

「流石、日本産宝石って感じだがや」


 ダンビュライトがふわりと微笑めば、マリアライトもマフィンを手に取りながら同意する。ベニトアイトという宝石は米国産が有名だが、僅かながら日本でも産出があった。


「まあな」


 そんな二人にベニトアイトが応えていると、シリマナイトが彼に目をやる。


「さあ、ベニトも召し上がってください」


 そうして全員がゆったりとソファに腰を下ろし、のんびりティータイムが始まった。


「でらうみゃあ」

「甘さが絶妙で幸せだよぉ」

「うん、美味い。シリマは何でも作れるな」

「ありがとうございます。菓子作りのような繊細な作業ならお任せください」


 ミステリアスな風貌のシリマナイトは、実のところ最も繊細さが光るシンボシラピスなのである。


「うみゃあでかんわ。まぁ一個ちょー」

「お好きなだけどうぞ、マリア。まだ沢山ありますからね」

「ベニトが淹れてくれるお茶も、いつもホッとする味だよねぇ」

「それは良かった。茶を飲む時は落ち着けるのが一番だしな」


 ひずみの修復などの指令は、ひっきりなしに入るという訳ではない。だからこそ今のような瞬間には、平和が何よりだと全員が噛み締める。


 そして今日も彼らは、シンボシラピスとしてここに存在するのだった。




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