第十五話 父上・・・それでいいの?
父さんの話にみんな興味をもったみたい。
袴姿に骨格標本持参は置いておいて・・・。
その骨格標本を使っての骨の稼動域の説明から筋肉の動きまで。
そして、身体を動かすときの基本的な初動サインなど・・・。
「人によっては癖があるから今言ったことが当てはまらない者はいるけれど、身体を動かすときはこんな感じだ」
まあ、ドイツ語で話しをしているからぼくはほとんどわからないけれど・・・。
「逆にそれを抑える、利用する場合・・・」
永遠と続くのかと思えば、よくまとまっていて、1時間ほどで終わった。
「何か質問は?」
「では、力ではなく、タイミングと相手の体の抑え方で相手を抑えることができるということですか?」
カールコーチからの質問。
「そうだ」
言い切ったよ。父さん。
「相手の動きを読みきってフェイントかければ崩れると?」
クラウスコーチ・・・。
「そうだ」
「「「え~!?」」」
みんな不振がっていますよ。
「でも、ミズホが相手になったときそうだよな~」
ジャコモが言うとなんだかみんな納得しているし・・・。
「では、他の人は何故この理論を取り入れないのですか?」
他のコーチからの質問がでた。
「極めるのに時間がかかるからだ」
バッサリ父さんが切り捨てる。
「「「(使えないじゃん)」」」
みんな思ったみたい。
「まあ、形は少し違うけれど、無意識に実践している選手がボクシングなどの格闘技やバスケなんかにはいるな。
だが、足捌きなど独特なので、そのまま他のスポーツに応用できないというか、特にフッスバルなど距離を走る競技にはスピードが落ちて使い物にならない場合がある」
「「「・・・」」」
「とは言っても、アレンジは人それぞれだ。キミたちは合気道というものを見たことあるか?」
「「「ない」」」
「見たことないヤツが有用性を感じ、理解しようと思うか?」
「「「ないな」」」
「まあ、日本でも合気道をしている者は少ないからな」
ダメじゃん。
「昔、ボクシングのヘビー級チャンプが見学したときに弟子入りしたいという逸話が残っている。まあ、元々パワーでチャンプになったやつだったからお世辞半分だったんだろうな。
他にもアメリカの要人のボディーガードとか挑戦したけれど相手にならなかった。
問題はマイナーということもあるけれど、合気道は力によって勝ち負けを争うことを否定しているところに派手さがないからだろうな」
最後に古いビデオを見せられた。
みんなはやらせだろうと感じたみたいだけど、それが普通の反応だよね・・・。
それを想定していたのか、外に出て体格のいいコーチを相手に実際にやって見せた。
狐につままれたみたい。
「「本気出せよ~」」とか言われていたけれど、流石に突っ込むだけではムリだろう。
「先ほども言ったが、アレンジは人それぞれだ。
護身術は世界に様々ある。
別に合気道を手本にしろなど思っていないが、興味を持ってくれたら少しは教えてやる」
父さん、道場のパンフレット配らないで・・・。
なんやかんやと道場の宣伝をしながらも、身体の使い方の理論は完璧だ。
袴姿も完璧です・・・父上・・・。




