十一話 チームの進む道
話しの中でサッカー、フットボール(これがメインで使ってきた言葉)と混在してきましたが、この回からドイツ語のフッスバルで統一させていただきます。
補習というか、宿題終わって久しぶりに練習に行ったら人数減ってた。
上のカテゴリーに上がったのかな?と思いきや・・・違う?
なんだかチームの雰囲気がピリピリしています。
上がれる可能性の低い選手がチームから去ったのだ。
それなりに覚悟はしていたけれど、ぼくが来てから退団者が出ていなかったので忘れていた・・・。競争が激しいのだ。
選手もそれなりにプライドがある。
加えて、なんだか派閥が出来ているよ・・・。
正直、雰囲気が悪い。
そんな事を思いながらストレッチをしているとクラウスが近づいてきた。
「ひさしぶり」
「ひさしぶり」
「元気?」
「元気」
オウムになったぼくです。
「雰囲気なんか悪いね」
「そうか?」
うん。雰囲気悪いね。
「さっさと辞めていくだけやめて、下からは上がってこない。どうなっているんだか・・・。
まあ、A、Bはトップカテゴリーが見えてくるから外からも入ってくるし、温室育ちにはきついね」
マリウスばっさり。
「マリウスの実力ならば飛び級ありなんじゃない?」
「う~ん。話しはあったけれど、試合に出たいからな~」
マリウスくんには来てました。
「それにまだこのチームでやってみたいことあるしね」
王様でいたいらしいです。マリウスくん。
「ミズホを入れたら18人いるんだ。ぼくたちの世代のそれなりのヤツ・・・。
そのメンバーで来年の夏にチャレンジしてみたいことがあるんだ・・・」
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それは・・・ドイツでは夏に州選抜選手が集められ、300人以上の中からU-15代表が選ばれるということ。
あれ?ぼくはシュトゥッツプンクト(日本のトレセンのようなもの)選手でもないから関係ないよね・・・。
その前に日本人だし・・・。
クラブの中でも既に州選抜に選ばれている選手もいるけれど、クラウスはクラブメンバーだけで何処までできるかチャレンジしてみたいという。
確かに日頃から、カールコーチにフッスバルは行動力、想像力、技術力、そして気がついてから実行に移るまでの反応の速さ、ジェスチャーや、オン・ザ・ボール、オフ・ザ・ボール、攻守の切り替え。そして、責任感や、コーチングができるか、勇気があるか・・・言われている。
えらい沢山求められてます・・・。でも、これはクラブでもシュトゥッツプンクトでも普通に求められていることだった。
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話しを聞いていたらいつも間にか周りにCユニオーレンのU-14のメンバーが17人が集まっていた。
逆に今のクラブのCユニオーレンのU-14選手はこのメンバーしか残っていない。
あと10名ほど1歳上の選手がいるだけだった。
「やるからには代表になりたいしね」
集まったメンバーの総意だった。
ぼくは選抜合宿は関係ないし、楽しくやりたいだけだったのだけど、このメンバーで勝負してみたいとも思う。
正直、クラブは代表選手を育てることより、まずは自分のクラブのトップチームに選手を送り出すことのほうが重要視されているのだけどね・・・。
「ところでぼくらの目指すフッスバルってどんなスタイル?」
ぼくが聞くとみんな少し考えていた。
「色々言われているけれど、俺が考えているのはオフ・ザ・ボールの動きで相手をビビらすスタイルかな?」とクラウスが言った。
「「なにそれ?」」
みんな理解できていないし。
「俺やミズホが持った瞬間に全員が攻撃へシフトするスタイル」
う~ん。クラウスのチーム構想に入っていますよ。ぼく。
「真ん中の選手が持った瞬間に全員が動き出す。
ただ、動き出すのじゃなく、相手にゴールの予感をさせる動きね」
「そんなんできたら苦労しない」
「「そうだそうだ」」
そりゃそうです。
「トップはもちろん、二列目、サイドバック、一人ひとりがゴールするためのイメージを常に持つことだよ。
ただボールをまわすことじゃない。
ポゼッションも大切かもしれないけれど、シュートで終わるイメージがないと相手は怖くない。
どんなに引かれてもこじ開けるぞという気迫って言ったらいいのかな?」
「「「・・・」」」
「理想だね。あくまでも」
「センターバックとボランチ、トップ下だけが固定であとはポジションに拘らないスタイル」
「クラウス。おまえ自分中心に考えすぎだろう!」
「いや、トップ下はミズホだよ。俺はボランチを極める」
「へっ?」
「あと、センターバックはレオとニコ、それとジャコモの3人で誰にも負けないフィジカルを作ってくれ」
「え~っ、俺も攻撃参加したい」
既にCユニオーレンでサイドバックながらもレギュラーだったレオがぼそりという。
と言うか、やっぱりクラウスは王様です。
「3人は誰が出てもいい状態を維持。怪我のバックアップ要員でもあるけれどね。
この1年コーチに完全固定されるようにもっとレベルを上げてもらわないとダメだけど」
「「きっつ~」」
ニコもジャコモも同じ反応。
「もちろん、俺もミズホも満足できるプレイが出来なければ外れるから他のメンバーも色々してもらうことになるけれど、基本はもっと強く、もっと速くなるために身体をつくってくれ」
「つまり、センターバック2人とボランチのマリウス、トップ下のミズホ以外はイケイケになれと・・・」
「そうだ」
「「「きっつ~」」」
でも、少しみんなの顔つきが変わった。
「んじゃ、まずはコーチ陣にクラウスの言ったスタイルを認めさせないとね」
ジャコモが言う。
「あ、それと時期キャプテンはジャコモでいいよな!」
クラウスの爆弾発言。
「「「へっ!?」」」
「しっかりしたヤツがまとめ役にならないとひで~ことになりそうだからな。このチーム・・・」
「特に”お前が”だろう!」
クラウスが突っ込まれた。
というか、クラウスはキャプテンに拘っていないのか。
それよりもCユニオーレンでレギュラーではなかったジャコモでみんないいようだ・・・。
「Dユニオーレンでもジャコモだったしね」
「貧乏くじだよ・・・」
ジャコモは諦めたようです。
この個性派集団をまとめることに全力を注ぐようです。
チームの再始動は近い・・・。




