十話 ぼくの本業は中学生
夏休みが終わり、学校が始まった。
「池田君、勉強していたか?」
「・・・」
「池田君!」
「へっ?」
「キミの名前はイ・ケ・ダですよね?」
最近苗字で呼ばれること無いから気がつかなかっただけなんですけれど、普段は優しい雰囲気若い男の先生なんだけど、なんだか怖いです。
「この学校は日本と同じ授業内容なんですよ!」
「ハイ」
「宿題も!」
「ハイ」
「では、宿題提出するまで居残りです」
あの・・・、1週間は帰れないかも・・・。
「全くしていない生徒は初めてです」
「あ~ども」
「褒めてません」
「スミマセン」
サッカー三昧だった夏休み。
チームメイトは宿題なかったのかな?
「別のこと考えていませんか?」
「スミマセン」
ぼくはベルリンの日本人学校に通っている。
中学2年は一クラス、24人だけ。
その中で宿題提出していないのはぼくだけ。
ある意味すごい。
すっかり忘れていた自分がすごい。
ZAALでは、カツコもカナコも教員免許を持っていて、テストの点数悪いと試合に出さないとか、練習時間中に勉強させられたりしていたから何とかやっていた。
ドイツに来てからはうるさく言う人いなかったから全く・・・父さんも、母さんも少しは子どものこと見てよ・・・。
なんて思いながらも放課後に宿題をする日が続いた。
クラブの練習は強制参加でもないし、ましてや出欠なんか取らない。
でもね、1週間も顔出さないと心配してくれる人もいるわけ・・・で・・・。
誰も連絡してこない・・・。
流石に10日経ったときにクラウスコーチが学校に来た。
「ミズホ~身体の調子悪いの?」
「健康です!」
「フットボール嫌いになったの?」
ナゼそうなる!?
「ぼくたちのこと嫌いになったの?」
「ナイン!」
それでも宿題をしていると、担任の先生とクラウスコーチが話しをしていた。
あれ?知り合い??
「先生も少しフフットボールやってたんだ」
へ~
「それに少し前に、とんでもない悪ガキがいたんだよ」
「それ、アユ・・・」
「性格違うように見えるのになんか似ているよな。その悪ガキのお陰でクラウスさんとも仲良くなったのだけどね」
学校の先生が悪ガキなんて言っていいのですか?
日本では大問題になるのではないでしょうか?
でも、相当なものだったのでしょうね・・・。
「池田君、キミの考えていること、そのままキミも同じだよ」
「え~~~!!」
ぼくの顔を見て安心したのかクラウスコーチは先生と教室を出て行った。ぼくを置いて・・・。
と、思ったら教室の扉が開いて先生が一言。
「クラウスさんがあまり休むと試合に出さないよって」
ダメじゃん!!
ぼくの本業は中学生。
勉強はしないとね・・・。




