1-2.ブランカ
――何があってもお前だけは私の味方であってくれるね?
そう言って誕生日の贈り物をくれたその人は、とても遠くを見ていた。そのときはよく意味が分からず曖昧に頷いた。あれが最期の贈り物だと分かっていたら違う返事が出来たのに。
状況をようやく理解した時には、何もかもが手遅れだった。いや、本当はもっと早くに気がついていた。
目の前を歩くたくさんの人。みんな、この世の終わりのような瞳をしながら下向き歩き、中には歩けなくなって兵隊に撃たれて倒れる人も多くいた。底冷えする寒さの中を、何も持たず着の身着のまま、まるでアリの行列のように彼らはぞろぞろと何マイルも歩く。
突然、近くで甲高い銃声が響いた。
少し離れたところで、男の人が頭から血を流し崩れ落ちた。あの人はそれを満足そうに眺め、こちらに優しい笑顔を向けた。
――お前の楽園は美しく在らねばならない。そのためには害虫駆除が必要なんだ。
その人の中に初めて見た狂気の色を見ていられなくて目を逸らした。すると突き刺すような鋭い瞳と目が合った。
薄茶色の中でごうごうと燃える赤い炎。
遠くにあったそれは、いつの間にか足下に広がっている。早く逃げなければ。そう思うのに、誰かに首を絞められて動けない。
お願い、誰か助けて。
視線を向けた先には、同じアカデミーの友達がいた。とっさに手を伸ばした。しかしみんな、にこにこ微笑みながら遠ざかっていく。誰も助けてくれない。
――さあ、私と共に来なさい。
やがて炎の向こうから手を差し出す人が見えた。自分と同じ色の瞳を冷たく細めたその人。
右手に握る拳銃をこちらに向けていた――。
ブランカは跳ね起きた。心臓がバクバクとうるさい音を立てている。肩が激しく上下し、いきなり入り込んできた酸素に思わず咳き込んでしまった。
「ちょっとブランカ、朝からうるさいわよ」二段ベッドの上に寝る子が、煩わしそうにマットレスを蹴った。
「ご、ごめんなさい」ブランカは鳴り止まない胸を押さえながら、周囲を確認した。
電気の付いていない真っ暗な部屋の中。左右の壁に備えられた二段ベッドから、穏やかな寝息と微かな寝返りの音だけが、静かに響いている。ブランカが起こしてしまった上の段の子も、文句を言いながら眠りに戻った。
おかしいことは一つもない。ダムブルク児童施設のいつもの光景だ。窓の外の薄明かりは、今が夜明け前なことを知らせている。
頬に触れると目の周りがうっすらと湿っている。ブランカは枕カバーに手を突っ込み、二つの感触を確かめ、そっと取り出した。
花の装飾のついたゴールドのブローチと、焼け焦げの残る薄萌葱色の手紙。
ブランカはそれらで顔を覆ってゆっくり深呼吸した。すっかり目が冴えてしまった。ブローチと手紙を胸元の布袋に隠してそっとベッドを抜け出し、身支度を済ませて、水を汲みに外に出た。
ひんやりと澄んだ空気。地面は夜露に濡れているが、薄く明るくなってきている空には雲一つなく、穏やかな晴れた一日を約束している。
いつもの変わらぬダムブルクの朝だ。フラウジュペイの小さな田舎町。
ブランカは共同井戸から水を汲み上げる。半分くらいしか中身が入ってない桶を抱えて、児童施設の台所に向かった。
すると、レオナが既に来ていた。
「あらブランカ、朝早いのね」
台所には、香ばしい焼きたてパンの匂いが立ち込めている。
レオナはブランカが運んだ水を受け取ると、牛骨と一緒に鍋に入れた。マッチを擦って火をつける。
ブランカはレオナから数歩距離を取った。火には……なるべく近づきたくない。
そうしているうちに、この施設に住む大人たちが起きてきた。男性は薪割りをし、女性は洗濯の準備に行く。ぽつりぽつりと起きてきた子供たちが、それぞれ大人を手伝う。
ダムブルク児童施設のいつもの朝だ。
ブランカが食堂のテーブルを拭いていると、レオナが目をきらめかせて近づいてきた。
「ねぇブランカ、今夜のお祭りにぴったりなワンピースをあんたに用意したの。用事終わったら絶対うちに寄ってね」
今夜、春の訪れを祝う伝統的なお祭りが、ダムブルクの町の中心で開かれる。みんな嬉しそうに今夜のお祭りのことをささやき合って、浮足立っていた。
「今日はお化粧もして、めいいっぱいおしゃれしないとね」レオナはにっこり笑った。
ブランカより五つ年上の彼女は、妹に接するようにいつもブランカに良くしてくれる。
混じり気なしの好意に、ブランカは心苦しくなった。
「ありがとうレオナ。だけど……やっぱり今日はお留守番しようと思うの」
「何言うの、待ちに待ったお祭りだよ? ダメだよ、来なきゃ」
フィンベリー大陸戦争が始まってから、このお祭りはずっと中断されていた。今夜は十一年ぶりの開催。復興と平和を祝うための、町のみんなにとっては特別な催しだ。
「あんたも一緒に準備頑張ったじゃない。今日こそ楽しまなくっちゃ」
「だけど今日は色々やることがあって……」
「ダメダメ、今日は特別なの。そんなの気にしなくていい日なんだから」レオナは食い入るようにブランカを見た。「本当は何? 誰かに何か言われたの?」
「そういうわけではないのだけれど……」
「あらやだぁ、朝っぱらからレオナがブランカのこといじめてる」別の女の子が朝食の盆を持って食堂に入ってきた。ブランカと同じ年頃の女の子だ。他の子も何人か一緒に入ってきた。
「違うわよ」テーブルに朝食を並べながらレオナは言った。「今夜のお祭りに来るよう説得しているところなの」
すると女の子たちは互いに目を見合わせ、くすくす笑い出した。
「ブランカが?」誰かが嘲るように言う。「やめた方がいいんじゃない? 白けちゃう」
「みんな怖がって泣いちゃうんじゃない? せっかくのお祝いの日だってのに。おばけ祭りじゃないんだから」
そう言って近くにいた九歳の少女に同意を求めた。少女は視線を泳がせつつ小さく頷いた。
「それにブランカも場違いで浮いちゃうじゃない、可哀想に。レオナって気遣ってるようで意地悪いわよね」
「あんたたち、やめなさいよ」レオナが顔を真っ赤にして、申し訳なさそうにブランカを見た。「ブランカごめんなさい、気を悪くして」
ブランカは目をつぶって首を横に振った。
レオナは悪くない。
自分でもよく分かっている。
「それに町の子に聞いたよ」女の子の一人が言う。いつもブランカを見下す子だ。「あんたろくに飾り付け参加せずにおじさんたちの相手してたんだって? こーんな見た目でもインテリならおじさんに好かれるのね」
「なんて下品なことを言うの。ブランカは役場の仕事を手伝ってただけでしょ? それに飾り付け以外の準備にだいぶ奔走してたわよ」レオナがブランカを見た。「ねぇ、ブランカ」
ブランカは何も返さなかった。
徐々に朝食室に集まってきた他の子たちが、他人事のようにこちらを注目している。
ブランカが何も反応を返さずにいると、女の子は鼻で笑い、大きい声で言う。
「本当に不気味よね、あんた。これだけ言われても怒りも泣きもしない、インテリ気取りのただれ人形」
何度も浴びせられた言葉。今更傷つくこともない。
視線を外すとレオナがこれ以上ないくらいに顔を赤くして怒りを全身に放っていた。ブランカは再びレオナに向かって首を横に振った。
わたしは平気だから。
「そろそろ出掛けます」
ブランカはその場を離れた。
この場に以上巻き込まれたくなかった。
施設の入り口に向かう途中で、洗面所の鏡が視界に入る。
白っぽいくすんだ金髪。
顔の右側から首元へと続く、ただれた火傷の痕。
視線を落とせば、同じ痕が右手にも広がっている。
ブランカは鏡から目を逸らして廊下を突っ切り、児童施設を出た。
町の中心に向かう途中の麦畑では、児童施設の少年たちが、大人に混じって畑仕事を始めている。中心部に差し掛かると、町の少年少女たちがお祭り用の露店の準備をしていた。みんな、ブランカと同じ十五、十六くらいの年頃の子たちだ。この町では、珍しくない光景だ。
露店の準備をしていた町の少女が、ブランカを見て陰口を上げた。「インテリただれ人形よ、何しに来たのかしら」
こんなのも日常だ。
ブランカは気にせず歩き、町役場を見上げた。
役場の外壁に二つの垂れ幕が掛けられていた。一つには『ダムブルク 春祭り』と書かれている。今日の祭りのことだ。
もう一つに書かれているのは、『祝・戦勝記念日』――。
今日はヘルデンズが降伏し、フィンベリー大陸戦争が終結した日でもあった。尚更、今日のお祭りは町の人にとっては特別だった。
「ブランカ」
呼び止められてブランカは振り返った。
ロマン・クリシュトフが自転車に乗って追いかけてきた。児童施設に住む二十代半ばの青年だ。
「これから図書館に行くんだろ? 書庫の整理をするって前に言ってたもんね。借りたい本があるから一緒に行くよ」
ロマンは自転車から降りると、ブランカと並んで歩いた。ついでにブランカの右手に下げていたおつかいかごを取り上げ、自転車のハンドルに掛けた。
「それにしても今日いい天気で良かった! せっかくの祭りだからね、雨なんかに邪魔されたくないよね」
ロマンはにっこ笑顔で空を仰いだ。
今日の澄んだ青空と同じく、彼はいつも穏やかだ。誰にも分け隔てがないから、さっきまでブランカに険悪な視線を向けていた少女たちも、ロマンを見て表情が柔らいだ。
「それにしても、飾り付けが見事だ」ロマンは役場や広場や店先を彩る花飾りを手で示した。「せっかく準備したんだから、ブランカも今日くらいは楽しまないとね」
ブランカは目を閉じて首を横に振った。「わたしは出来れば施設でお留守番を……」
「あぁブランカ、いいところにいた!」
後ろから強い力で腕を引っ張られた。
役場の若手の男性だった。
「明日までに清書しなきゃならない書類があるんだよ、すぐに来てくれ!」男性はそのままブランカをぐいぐい引っ張った。
「待って」ロマンが間に割って入った。「彼女はこれから僕と図書館で作業があるんだ。悪いけど、他に頼んでくれないか?」男性の手からブランカを解放した。
男性は苛立ちをにじませつつも、懇願するようにロマンを見る。「分かるだろ? 他に頼んだところでブランカほど正確に速くタイプ打ちするヤツなんかいないんだよ」
「そうは言っても、彼女にも都合があるじゃないか」
「問題ありません」ブランカは素早く言葉を挟んだ。「午後からで差し支えなければ向かいます」
こんなことでロマンと男性が揉める必要なんてない。
「助かるよ、ブランカ! じゃあ一時に必ず来てくれ!」男性はそそくさと役場に戻っていった。
ロマンが伺うようにブランカを見た。
ブランカは、黙って首を横に振った。
すると今度は通り過ぎた食品卸売店の店主がブランカを呼んで走ってきた。
「ブランカ、なんで今日は来なかったんだ。今日大量に入荷するって言っただろ。ほら、今から来て入荷リストつけてくれ」店主はブランカの腕を取った。
「ごめんなさい。でも今日は別の予定があるって前から――」少なくともそれで話は通っていたはずだ。
「こっちも予定が変わったんだ。だから伝達に行かせただろう。聞いてないのか?」店主はイライラとため息を吐くも、ブランカを引っ張った。「まぁいい、とにかく来てくれ」
「すみませんが、ブランカは別の作業があるんです。今日はご勘弁を」ロマンが柔らかな笑みで、それでいながら有無を言わさない様子で断った。
店主が返事に窮してる隙に、ロマンはブランカの腕をとり、その場を離れた。
棘のある声が聞こえてきた。
「インテリただれ人形が今日もおじさんたちに使われてる。お祭りの準備もしないで良いご身分で」
ブランカの腕を握るロマンの手が強張った。
ようやく図書館に着くと、ロマンと一緒に建物の中に入った。まだ利用者のいない図書室に入ると、ロマンはブランカと目を見合わせた。困ったように嘆息する。
「ブランカ、たまには手伝いを断ってもいいんだよ。さっきの子たちが言っていたのも、色々頼まれて十分に準備に参加できなかったんでしょ?」
流石に彼は察しがいい。
ブランカがお祭りの準備をしようと町に行くたび、ほとんどのタイミングで町の大人たちに呼び止められ、別の作業をしていた。
「それにさっきのはあまりに心無い言葉だ。今朝の食堂でのこともレオナに聞いたよ。まったく、なんで今日に限って寝坊するかな僕は」
ロマンは空色の瞳に怒りを滲ませる。
彼は悔しそうに顔を歪めてブランカを見た。
「ブランカ、何も感じていない素振りをしているけど、本当は傷ついているはずだ。たまにはやり返したっていいし、泣いたっていいんだよ」
ロマンはまるで自分のことのように訴える。ブランカはいたたまれなくなった。
彼はまるで保護者だ。元々優しくて誠実だが、ある種の責任感をブランカに抱いている。
五年前、ひどい火傷を負い森の中で生死を彷徨っていたブランカを見つけ、ここまで連れてきたから。
「お、珍しくロマンが怒っている。どうしたんだい?」図書館の館長が不思議そうな顔をして聞いてきた。
「ここに来る途中で寄ってたかってみんながブランカに仕事を押し付けるんです。今日は図書館の作業があるっていうのに」ロマンはため息をついて、一部だけ伝えた。
「そりゃあ大半の人は図書館作業より自分の仕事第一に言うだろうね」館長はあきれたように笑って言った。「それにみんなの気持ちも分からんではないよ、ブランカはその年頃の子にしちゃあ多才で仕事も丁寧だ」
同じ年頃の子どもたちは、読み書きも満足にできない者が多い。戦争と復興の中で、働くことばかりを求められてきたからだ。
一方でブランカは、計算が早く、字もきれいで、読み書きにも不自由しない。気がつけば、大人たちは彼女を便利に使っていた。
インテリただれ人形。
そう呼ばれるのも、無理はなかった。
しかしブランカにしてみれば、見た目や妬みで彼らと距離を置けるのは、むしろ都合が良かった。
「私は本当にブランカに感謝しているよ。ここがこんなに片付くと思わなかった」
館長はジャンル別に整理された本棚を腕で示した。
その手首から先には手がない。空襲で失ったそうだ。
何度も見ているのに、ブランカは胸が苦しくなった。
ブランカは、そっと館長の腕に手を置いた。
「わたしで良ければいくらでも手伝います」
館長はにっこり笑って、手のある方でブランカの肩をぽんぽんと叩いた。
「さて、今日はめでたい日だ。せっかく来てもらって悪いが、今日は作業は良いから、祭りまでゆっくりしていなさい。君も働き通しなんだから」
「いえ、わたしは――」
「そうだ、レオナから伝言」ロマンが言葉を挟んだ。「絶対夕方までにうちに来るようにだって。ブランカを変身させるんだって意気込んでたよ」
「そういえばロマン、今日君の友達が訪ねてくる日じゃなかったっけ」館長がロマンの方を向いて尋ねる。
「その通りです。館長には世話になりますね。昼過ぎに駅に向かいに行ってきます」ロマンは空色の瞳を和らげた。「戦後、彼、ブラッドローに行ってしまったから、今日五年ぶりに会うんです」
「なんとブラッドローの人かい。なおのこと今夜の祭りは盛り上がるだろうね」
「とても良いヤツなんですよ」ロマンは、ためらいがちにブランカの方を向いた。「君にも会わせたい」
「そんな、でもわたしは……」
「いいねぇ。私もぜひ会ってみたいよ」館長がにこやかに言った。
三人で話しているところに、利用者がやってきた。館長は仕事に戻り、ロマンは目的の本を探しに行った。
ブランカは昨日と今朝の新聞を持って、書庫の奥にある日当たりの良い閲覧席に向かった。
今朝の新聞の一面には、『フィンベリー大陸戦争終結から五年経って』という見出しが走っていた。ページをめくるとヘルデンズ国民に先の大統領マクシミリアン・ダールベルクについてのインタビューが書かれていた。
――国民を騙し洗脳した悪魔。
――独りよがりな独裁者。
――国を悪夢に導いた史上最悪の大統領。
先の大統領をこき下ろし怒りをぶつける記事の横には、その孫クラウディア・ダールベルクについてのインタビューもあった。
――すべてを与えられて当然と思っている悪魔。
――生まれてこなければ祖父さんが暴走することもなかった。
最後は、彼らを丸ごと軽蔑し揶揄するコメントが、フラウジュペイ人らしい言い回しで締めくくられていた。
――愚かな老人と子どもに踊らされた自惚れ民族の国家、ヘルデンズ。
その横にはクラウディア・ダールベルクの肖像画をハンマーなどで叩き壊すヘルデンズ人の写真が掲載されていた。記事は敗戦国ヘルデンズの現在の窮状を知らせる内容に続いている。
ブランカは顔を上げ窓の外を眺めた。
広場ではみんな嬉しそうに笑い合い、お祭りの飾り付けの仕上げをしている。
その光の中に、わたしはいられない。
窓にうっすら映るみにくい見た目を、ブランカはぼんやり見た。
くすんだ白金の髪にひどい火傷。
この見た目を笑われるのは、確かに傷つかないわけないけれど、ブランカにとっては都合が良かった。それにみんなにはブランカを嘲笑う権利がある。
みんなは――ロマンやレオナも含めて、知らないけれども。
ぞんざいに仕事を押し付けられるのも別に構わない。それで町の再興が進むならいくらでも働く。館長のような身体の不自由な人のためなら――そんな人はダムブルクにたくさんいる――なおのことブランカには助ける義務がある。それもみんなの知らないことだ。
役場に掛かっている垂れ幕が、風を受けて舞い上がった。『祝・戦勝記念日』の文字が、太陽の光を反射し、より一層浮かび上がって見えた。
ブランカは服の下に隠した布袋を取り出して、中のものを机に出した。
花の装飾のついたゴールドのブローチと焼けこげの残る薄萌葱色の手紙。折りたたまれた手紙は、表面に『愛する私の天使』と書かれ、中の本文の最後には『ヘルデンズの運命は、お前の手に――MD』と、古代文字が走っていた。
いずれもヘルデンズ語だ。
ブランカはそれらを布袋に戻し、服の中に隠した。
これを見られたら――本当のことを知られたら、疎まれるどころの話ではない。机に広げたままの新聞に載るヘルデンズ人の写真が、それを如実に物語っている。
フラウジュペイの戦勝記念日――フィンベリー大陸のほとんどの国の戦勝記念日でもある今日は、マクシミリアン・ダールベルクが自殺した日だ。
ブランカのすべてが変わった日。
だから今日のお祭りにブランカは参加する資格はないし、参加したくなかった。
なぜならマクシミリアン・ダールベルクはブランカの祖父だった。
そしてブランカこそが、悪名高いクラウディア・ダールベルクなのだ。




