93.来襲
まだ寒さが残り、学校も始まっていない頃、手紙で聞いていた予定よりも早くジョセフィンさんが村にやってきた。
今回もゴードン家に滞在しているようだ。
そのうち挨拶に行かなきゃなぁと思っていると、前回と同じ従者の方が我が家にやってきた。
「ジョンさんと、お二人で来て頂きたいのでご都合をお伺いにきました。」
「2人でかい?私は明日の午後からなら大丈夫だよ。」
「私も大丈夫です。」
「では、明日の14時にお待ちしております」
従者の男性は丁寧にお辞儀をすると、徒歩で帰っていった。
「一人づつだと疲れちゃうからかな?」
「この長距離を旅行できるだけで大した体力だよ。」
「そうだよね。お祖父さんより年上なんだものねぇ。」
二人ともまだお若いですけどね。
手土産にレモンパイでも焼いていこう。
パイ生地を作って休ませている間に、卵とバターを温め、摩り下ろしたレモンの皮と果汁を入れてレモンカードを作る。
小さい正方形に整えたパイ生地の上に牛乳とクリームで作ったチーズとレモンカードを乗せて焼く。
簡単だけど、一口で上品に食べられるので手土産には丁度良いと思う。
「美味しそうにできたね」
と、祖父が食べたそうにしているので一緒に味見をする。
「これは、紅茶に合いそうだね!」
もう一つ食べたそうなので、もうひとつあげる。
残りは明日ジョセフィンさんと食べようね。
そしてあくる日
祖父と共にジョセフィンさんを訪ねて、ゴードン家に行くと、昨日我が家に来た、ジョセフィンさんの従者が部屋へと案内をしてくれた。
家の中は随分と静かだ。
マイルズはもう違う街にいるので、いないにしても、キャシーやゴームズさん、奥さんの気配も感じない。
ノックの後、入るように返事がされ室内に入る。
「ノラ、ジョンも。よく来てくれたわね!」
ジョセフィンさんがにこにこと迎えてくれる。
「私がそちらに向かっても良かったんだけど、こっちのが都合が良くて悪いわね」
「こんにちは、元気そうで安心したよ」
「気にしないでください。これ、レモンパイです。一緒に食べましょう。」
「ノラが作ったの?とても美味しそうね。紅茶の用意をして一緒に食べましょう。」
「渋みが少ない紅茶と合うと思うよ」
祖父がジョセフィンさんにアドバイスをする。
従者の男性が丁寧にいれてくれた美味しい紅茶と、レモンパイを口にしながらゆっくりと会話を交わす。
お天気や、最近の出来事など、たわいもない話ばかりだ。
二人で呼ばれたから、何かあるのかと思ったけど私たちに会いたかったのかな。
と思っていたら、その時は突然きた。
「さて、連れてきなさい」
ジョセフィンさんが、従者の男性に声をかけると男性は頷き外に出て行った。
「なんだい?」
「ちょっと待ってて」
祖父と私は少し困惑しているが、ジョセフィンさんは落ち着いた様子で紅茶を口にする。
すぐにノックの音が鳴り、扉が開く。
開いた扉の前に現れたのは、私の母親だった。




