92.シュガーシャックを作ります
ある雪の日、ミリーと道を歩いていると、レビさんが一人で歩いているのを見つけた。
レビさんは、いつものクタっとしたとんがり帽ではなく、おしゃれな帽子をかぶっている
「レビさん、帽子素敵だね」
「こんにちはレビさん。どこに行くんですか?」
「あぁ。ちょっと…」
レビさんは返事もそこそこに、足早に去って行った。
「なんか怪しい」
「怪しいね」
私たちはこっそりレビさんの後をつける事にした。
レビさんの後をつけると、レビさんが向かったのは村の集会所だった。
こっそりと扉をあけて中を覗くとローラさんと目があった。
「あら、何しているの?」
あ、みつかっちゃった。
見つかっちゃったので、普通に扉を開けて中に入る。
「二人は何をしてたんですか?」
「なんかいい匂いがする」
「シュガーシャックの試作品を作っているのよ」
「あぁ、どうりで!」
シュガーシャックはメープルシロップを煮詰めて作るキャンディだ。
集会所のキッチンから甘いメープルの香りが漂っている。
「雪が降ったから作ろうと思ったのよ」
雪の入った大きなタライをに入れた雪を見せてくれた。
「試作品で何かやるんですか?」
「うーん、この村ができて、人も増えてきたじゃない。冬は寂しいし、人と会う機会も減っちゃうから小さなお祭りでも出来ないかなって思って。」
「お祭り!!」
「ドーリングでもあるよね」
「そんな大きな物じゃなくて、ささやかにね!」
レビさんが煮詰まったメープルシロップを雪にかけて、スティックを渡してくれる。
「折角だからやっていくといい。」
やったね!
雪の上に帯状に垂らしたメープルシロップをスティックを使ってクルクル巻いていく。
練りあめみたいな形になった。
これでメープルキャンディの出来上がり。
「うわー甘いー!」
コクがあるのにあっさりとしていて、茶色いカラメルソースのような見た目に反して優しい味。
「いつお祭りやるんですか?」
「春になったらまた人が増えるはずだから、来年にはやりたいわね」
「ヴィンスにも言わないでほしい」
来年かぁ、まだ先の話だね。
ヴィンスにみつからないように、レビさんの家じゃなくて集会所でやっていたのね。
まだ沢山メープルシロップがあるので、残りも雪に垂らして巻いていく。
すぐ固まってしまうので、一つづつ作るのがコツみたい。
「レビさんの帽子素敵ですね」
シロップを巻きながら、小声でローラさんに声をかける。
帽子はローラさんからのプレゼントでしょう。
「あ、え?えぇ。聞いたの?」
ローラさんは嬉し恥ずかしそうに言う。
「聞いてはないです。そう思っただけ」
「そうなのね。…嫌だったら身に着けてくれないわよね!」
もっと仲良くなったらシャツとかもプレゼントする!!
と意気込んでいた。
ローラさん、少しは進展しているのかしら?
私はこっそり応援しているよ。
たくさんキャンディを作り、祖父へのお土産に持たせてくれた。
ミリーはヒーローとジナさんとローガンさんにあげるみたい、
メイにはまだ早いもんね。
帰宅後、祖父にキャンディを渡す。
「内緒にしてたのに、ローラは言ってしまったんだね」
と口にキャンディを咥えながらつぶやいていた。
お料理コンテストなんてのもやるらしいので、それには参加してみたいな。
外の雪を見ながら、私もキャンディを口の中でコロコロと転がす。




