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91.将来の事


「もう卒業かぁ」

「いろいろあったね」

今、私たちはカオハガン家に集まっている。

もう学校は休みに入ったのだけど、エイデンとマイルズが卒業するので卒業パーティーを開いているんだ。


カオハガン家の場所だけ借りて、一人一皿持ち寄るパーティーだ。

ウィル先生がジュースなどの飲み物を準備して持ってきてくれた。


ピートとグレイスも自分で作ったという焼き菓子を持参していた。

「母さんと作ったんだ。」

「焼くのは料理人に手伝ってもらったんだけど」


たっぷりのバターとドライフルーツがぎっしりの焼き菓子が美味しくないはずがない。

あっという間にみんなのお腹の中に消えていった。


「マイルズとエイデンは二人ともテューダのランカタース校に行くんだよね?」

「ウィル先生の親戚の家に住むんでしょ?」

「まぁ、最初はね。知り合いもいないからね。」

テューダはドーリングから汽車で6時間程で到着する。

ランカタース以外にも学校が沢山あるので学生が多く住んでいる活気のある街だ。

ウィル先生の親戚が多くの学生の下宿を引き受けているらしい。


「ご飯も出るから安心だよ」

「僕たちはサンドイッチしか作れないからね」

そう言って自分たちの作ったサンドイッチをつまむ。


「味はとてもおいしいわ」

キャシーがおっとりと言う。


「キャシーが切った野菜が美味しいからだよ」

エイデンが柔らかい表情でキャシーを見つめる。


「お兄さんもエイデンもいなくなったら、キャシーはさみしくなるね」

「うん、そうだけど、私も来年にはいくわ。」

「僕だって卒業したらいくさ」

キャシーとアレックスが堂々と宣言するが、エイミーが心配そうに「ゴームズさんが許してくれるかな?」と、つぶやいた。

「まだお父さんには言っていないの…」

一人娘だものね。親元を離れるのは心配だよね。



「エイミーはどうするの?」

「私も学校に行くかなぁ。何かになりたいとか決まってないし。」

モラトリアムですね。


「ミリーは卒業したら何になるの?」

「私は卒業できたら、お嫁さんになりたいの。ウィル先生の」

「ウィル先生の!」

ウィル先生を見ると、ウィル先生はヴィンスの持ってきたチキン入りのサラダを口に入れている所だった。


ウィル先生はミリーの発言に特に驚きもせず、「はいはい」と言って聞き流していた。


「ヴィンスは?卒業したらどうするの?」

「ん?僕は父さんの仕事を習って手に職を持ちたいな。絶対に建築ってなくなるものじゃないでしょう?いつかは大きな家の設計までしてみたいよ」


「そしたらやっぱり学校に行った方がいいのかな?」

「うーん、それは父さんと相談するよ。それにしてもこのお菓子濃厚で美味しいね。誰が作ったの?」

キャラメルのようなファッジのような物を手に取って言う。


「私たちが作った。コンデンスミルクとナッツのパウダーで作るの」

「お祝いの時に食べるのよ。」

ベスとルーシーが嬉しそうに答える。


「二人は将来は占い師?」

「うーん、お菓子屋さんも捨てがたいよね。」

「占いができるお菓子屋さんとか?」

何それ面白そう!占い師さんがやってる駄菓子屋さんとかあったな。


ぼーっとしていると、リッキーに何か口にいれられた。

「ほら、ノラ食べてみろよ。俺たちが作ったんだぜ」

塩気が効いているのに、甘い肉の味が損なわれていない、しっとりとしたハム!

「おいひい」

「いい匂いの木で燻製させたんだよ」


「リッキー達は良いお肉屋さんになるよ」

「当然だよ」

とリッキーが言うと、「僕はまだ肉やになるって決めてないけどね」とアイザイヤもいう。


「私も何も考えられないなぁ。家の手伝いもそんなにいらないでしょう」

とヴァレリー。


「ノラは何になりたいとか、やりたい事はあるのか?」

ウィル先生は私が持ってきたチーズケーキを大きく口に入れながら問いかける。


「んーーーー。ゆっくりと生活ができれば私はそれでいいです。」


「そうか、まだ先の事だからな」

先生は私の頭を撫でると、今度はミリーの焼いた薄いピザのような物を取りにテーブルへと移動していった。


将来かぁ。全然想像できないなぁ。

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