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90.木苺狩りです

今日の放課後はヴィンスと木苺を摘みに行く。

ローラさんに手の空いている時に摘んできてほしいと頼まれたらしい。


私も今年収穫できる最後の機会だと喜んでお供をすることにした。

祖父にはもちろん許可をとってある。


最近のヴィンスはすっかり身長がのび体格が良くなった。

このまま健康に育ってね。


村から出ようとすると、グレイスとアイザイヤに偶然出会った。

「あれ?二人でいるなんて珍しいね」


「違うよ。たまたま会っただけでこんな奴、口も聞いてないよ。」

「二人はどこにいくの?」

グレイスはアイザイヤの言葉を無視して私たちに話しかける。


「木苺を摘みにね」

「「わたしも・俺も行く」」

「あなたも行くの?」

「こいつが来るなら行くのやめる」

「なんですって?」


「まぁまぁ!二人とも!いいから行くよ」

「早くしないと暗くなっちゃう」

私はアイザイヤの手を取り、目的地まで連れて行く。

グレイスもしっかり付いてきている。


木苺の群生地に着いた。うん、しっかりと色づいてるね。

葉っぱもだいぶ紅葉している。


「やっぱり実は夏と比べると少ないねぇ」

「うん、でも甘くておいしいよ」

ヴィンスが一つ口に入れてくれる。


「いっぱい食べたらなくなっちゃうね」

「ほどほどにしておこうね」

グレイスとアイザイヤも少しだけ口に入れるとお弁当の入っていた容器に木苺を入れている。


そういえば、と、気になっていた事をヴィンスに聞いてみる。


「レビさんとローラさんて最近どうなの?」

「変わってないよ。ローラさんは前より家にくるようになったくらいかな。今日の木苺もうちの家で作る肉料理のソース用にってお願いされたんだ。」

「ほう!進展している!うちはジャムか、木苺のパイでも作るよ。」

「なんか、ノラはジョンさんに似てきたね。作ったらおすそ分けしてね。あ!ほらあそこに沢山木苺がありそうだ!」


沢山実のなっている木苺の木を発見して、私たち四人はホクホク顔だ。

いつの間にかアイザイヤのしかめっ面も消えている。

でも、摘むのに夢中になってしまって、外が暗くなってくるのに気がつかなかった。



「暗くなるのが早くなったね!真っ暗になる前に急いで戻ろう。」

はぐれないように固まり小走りに走り出す。


しばらく走っていると、茂みからガサガサと何かが飛び出す音がした。

「ノラ!僕の後ろに!」

「お前もこっちこい!」

ヴィンスとアイザイヤが私とグレイスをかばって前にでる。


グレイスの方向へ飛びかかってきた何者かをアイザイヤが腕を出して打ち払う。

「ヤマネコだ!あっちへいけ!」

ヴィンスが持っていたカバンを振り回しヤマネコを追い払う。


「アイザイヤ!血が!!」

ヤマネコの爪にやられたのかアイザイヤの腕から血が流れている。

ハンカチで止血をして、急いで村へ向かう。


そんなに遅くはなっていなかったのだけど、村の入り口では、暗くなったのに帰ってこない私たちを心配したのか、祖父、レビさん、ウィリアムズ夫人が待っていた。


アイザイヤの傷を見て、祖父がアイザイヤを抱えて急いでマッケンジー先生の所へ連れて行った。

ウィリアムズ夫人が邪魔になるからと、グレイスを連れて帰ろうとしたが、グレイスはここに残ると食い下がった。

ヴィンスも残りたがったので、結局全員で祖父を追う形で診療所へ向かう。



腕の傷はすごく腫れ上がってしまっている。

「大した傷じゃないけど、野生動物は悪い菌を持っているから」

と言うとマッケンジー先生は、ナイフで傷口を切って悪い血を出し、傷口を綺麗に洗い、化膿止めの薬を塗る。


痛いだろうにアイザイヤはうめき声ひとつあげない。

「ごめんなさい。私を庇ったせいで」

グレイスは傷を見て泣いてしまう。


「誰のせいでもない!きにするな!」

初めてみるグレイスの涙にアイザイヤはアタフタしている。

ヴィンスも守ってくれてありがとう。


治療が終わり、ブッチャーさんの家へアイザイヤを送っていき、怪我の経緯を話す。


「俺に似てかっこいいな!!怪我はヤマネコのせいだし、女の子を庇える機会があってよかったな!」

傷の心配はしているものの、アイザイヤの男らしさに感心したブッチャーさんは、アイザイヤの頭をぐしゃぐしゃに撫でながら、頭をさげるウィリアムズ夫人とグレイスに言う。



翌週の学校で、グレイスを庇って怪我をしたアイザイヤと、怪我こそしなかったもののカッコよく守ってくれたヴィンスは大人気で、お昼の時間にみんなが親愛の証にお弁当のおかずをプレゼントしていた。


グレイスは肉屋の四兄弟に「今まで悪かったわ。嫌いな人にあんな事ができるなんて尊敬しているわ」と言いながら木苺のジャムを乗せた手作りのクッキーを渡していた。



「こんな物もらったら、今までの事も許すしかないよな」とアイザイヤは口に一枚放り込む。

彼女が初めて作ったであろうクッキーは、少し焦げていたがキラキラ輝いていた。

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