84.収穫体験です
ドーリング付近の海にサイクロンが現れ、船がもう一週間近く出航できていないようだ。
私たちの村は浸水などの影響を受けていないが、ドーリングの高台に住んでいる人の一部は、一階が浸水してしまい、大変らしい。
長引く雨に野菜もダメになり、ドーリングで貿易が行われていないと言う事でやはり食料不足になっているようだ。
村では、ドーリングから買い付ける異国の野菜や果物がなくなって、種類は減りはしたが今のところ食料に影響はでていない。
ソニアさんは「商売あがったりよー」と言っていた。
今日は曇ってはいるが雨は降っていない。
なので学校でしっかりお勉強をする。
いつも通りの1日を過ごしたが、なんだかグレイスの元気がない。
ミリーと話を聞きに行く。
「うちでは野菜なんて作っていないの。農家じゃないんだから」
どうやら食べ物に不満らしい。
「うちの野菜とか、たまごおすそ分けするよ」
「いやね、貧乏人じゃないんだから買うわよ!」
「えー」
お金の話は私はできないなぁ。
「うちだって大きくないけど、作物を育てているよ。僕もたまに収穫するし」
マイルズが言うと、グレイスが食いついた。
「あなたの家でもやってるのね。お母さんに相談して購入を検討するわ」
「購入?」
マイルズはキャシーと顔を見合わせる。
「僕たちの野菜は、お金じゃ買えないんだ」
「そうよ。でもね、自分で収穫したら、お金なんていらないの!」
そんなに本格的じゃないしねっと二人は言う。
「何をいっているの?そんな事するわけないでしょう」
断ろうとするグレイスの間にピートが割り込んだ。
「僕達、行くよ。お前も行くんだ。決定だからな」
強くいいきるピートにグレイスがムッとする。
「なんで勝手に決めるのよ!」
「行かないなら、父さんにお前が大事なお皿を割ったの言い付けるからな」
「なんでよ!嫌い!」
結局グレイスはプンプンしたままゴードン家の畑に集合した。
メンバーは私、ミリー、ゴードン家、ウィリアムズ家の6人。
家庭菜園よりは大きいけど、マイルズの言っていたとおりそんなに大きくない。
自分たちで楽しめるような大きさだ。
マイルズもキャシーも世話をして、収穫もしているらしい。
「きゃー!汚い!虫!」
などとグレイスが一人で騒いでいる。
ピートは黙々とトウモロコシやチシャなどを収穫している。
ミリーと私も美味しそうなトウモロコシを選んでもぎ取る。
髭が多いのをとるとぎっしりしているんだよね。
「甘いから生でも食べられるよ」
マイルズがその場で齧ってみせる。
誰も騒がずに楽しそうにしているので、グレイスも一人だけ騒いでいるのが恥ずかしくなったようだ。
ミリーが勧めるトウモロコシを恐る恐るもいでいる。
「とれたわ」
「上手だね!」
ミリーが拍手してあげる。もぎゅっとした時楽しいよね。
「今度はうちに、牛乳しぼりにおいでよ」
「うわー、それは考えただけでもゾッとするわ。」
あの楽しさを知らないなんて…いつか絶対やってもらうんだからね。
プンプン
最初はどうなるかと思ったけど、和やかなムードで野菜の収穫はおひらきになりました。
美味しそうな野菜をたっぷりいただきました。
「ゴードンさん、ありがとうございます」
ピートはよほど楽しかったのか、ほっぺを真っ赤にしながら、ゴードン夫妻にもお礼を言っていた。
グレイスも「そんなに嫌じゃなかったわ」と言っている。
私たちもゴードン家にお礼を言ってお家に帰る。
グレイスはまだアイザイヤ達とはギスギスしているけど、だいぶ馴染んできたんじゃないかな。




