83.中華街なんだな
叔母が仕事の合間にドーリングに立ち寄るので、少しでも会う為に祖父と一緒に向かっている。
村へは寄る時間はないんだって。
馬車の必要がないので祖父と私はそれぞれ馬に乗っている。
馬でドーリングに行くのは初めてだけど、私も馬も緊張せずにのんびりと駆けている。
時折吹く薫風が気持ちいい。
日焼けしないようにボンネットを目深に被りなおす。
ドーリングの入り口で馬を預け、汽車の待合室に向かうと既に叔母がいた。
しっかりと体型維持しているようだ。
「一つ前の汽車に間に合ったのよ!久しぶりね!ずいぶん大きくなって」
「もう大きいよ!8歳だもん。」
「時間はあっという間に経ちますね。お元気そうで何よりです。」
祖父は叔母から荷物を受け取りながら言う。
「しばらく顔も出さずにすみません。いつもお手紙をありがとうございます。ノラも楽しそうで良かったわ。」
「うん!いつも楽しいよ」
「今日はどこに行きましょうか?」
挨拶をすませると、祖父が叔母に尋ねる。
「実はですね、ドーリングに最近できた通りがあって、東にある国のピオニーの人達が作ったんです。その通りの全てがピオニー人の料理店や、お茶屋さん、生活雑貨などが売っているんですよ。そこに行ってみたいと思っていました。」
「中華街!」
「ん?どうしたんだいノラ?」
「ううん、すごく楽しみだなぁ!」
うわぁ!漢字っぽい文字が書いてある!読めないけど!
蒸籠からは湯気が、鉄板からは美味しそうな香りの煙がいたる所から立ち上っている。
「私、これが好きなんです。以前他の国のピオニータウンで食べた事があって。」
叔母が中華風焼餅のお店を指差す。
餅って言ってももち米じゃなくて小麦粉で作った平たいお好み焼きのようなものだ。
二つ買って、みんなで分け合う。
沢山種類を食べたいから少しづつね。
エビとネギの風味がしっかりと感じられる。薄いので何枚でも食べてしまいそう。
「焼いたネギの甘さが素晴らしいね。」
「家でも作れるかな?」
「あそこも行ってみよう」
祖父が指差した屋台は、バーベキュースタンドで、串にささっている材料を店員さんがその場で焼いてくれるようだ。
なんか、おでんみたい。
練った白身の魚も串刺しにしてある。是非とも大根と一緒に煮込みたい。
ここでは、ししとうのような野菜と、きのこ、貝の串を頼んだ。
「このペッパーは柔らかいね!」
「貝も柔らかいですよ」
「…(しいたけおいしい)」
「次はあれを食べよう!」
私が指をさしたのは点心のお店。
ここでは蒸し餃子、焼き餃子、常温の雲呑を注文する。
「このピーナッツのソースと雲呑のツルッとした喉越しが最高ですね」
「餃子も奥深い味だね」
餃子を平らげてしまい、お茶のスタンドでお口がさっぱりするお茶をいただく。
「だいぶお腹一杯になってきたね」
「そうですね、最後にあれを食べましょう」
叔母が麺のお店を指差した。
「お米の粉で作った麺なんだね」
「平べったいね。」
「スープから魚の良い香りがするわね」
もうお腹一杯だ!!と思っていたのに、見つけてしまった。
ゴマ団子ー!
三人で一個ずつ注文して食べる。
サイズがとても大きい。別腹になるかな?
「ほう!これはいいね」
「すごく甘いですね。豆のジャムなんですってね」
「あんこ…」
中にはゴマの風味のするあずき餡が入っていた。
食事を済ませ、ピオニータウン通りをぶらぶらしていると、乾燥した小豆を発見した。
「お祖父さん、これを買ってくれない?」
「もちろんいいとも。お茶も買っていこうか」
「豆ね!ちょっと待っててね」
叔母がお店の人と色々な国の言葉を交えながら会話し、メモを取っている。
「ほら、ノラ!豆のジャムの作り方を聞いておいたわよ」
「ありがとう!」
「何か作ってくれるのかい?楽しみだね」
「あっという間の1日だったわね。さぁ、暗くなる前に帰りましょう。」
おばさんは夜の汽車なので、もう少しドーリングをぶらぶらするみたい。
馬で来ていた私たちは、名残を惜しみながら村へと帰る。
叔母さんといると食べてばっかりな気がするよ。




