71.オーロラブレイクアップ
いつもありがとうございます
旅も終盤に差し掛かる。
どうして時間はあっという間に過ぎてしまうの?
旅もあと僅かだと思うと悲しくなってしまう。
残りも全力で楽しもう!!
今日は秘境と言われている島の集落に降り立つ。
私たちが作ったイグルーなど比べ物にならない程大きな氷の家が立ち並んでいる。
この集落は山に囲まれていて、風が吹かないので比較的寒くないと言われている。
と言っても、とても寒いけどね。
海には氷山があちこち点在している。
海の入江にはセイウチやイッカクの群れがいて、野生動物がこんなに近くで見られるなんて、本当にすごい体験だと思う。
野生動物観賞もすごく感動したんだけど、それだけでなく、本当の目的は夜にある。
この場所ではオーロラが近くに見えるんだ。
実は船旅中でもオーロラは頻繁に見えていたんだけど、近くで見れるなんて嬉しい!
嬉しいんだけども…今私たちはちょっと困っている。
「何もないね。どうしようか」
「ずっとセイウチを見てるのもねぇ…」
この島は、観光できる場所が特にないので、夜まで何もする事がない。
「船に戻ってゲームでもするかい?」
と、一度船に戻ろうかと相談していると、集落に住んでいる男性が私たちの元にやってきて、ごはんを食べにきますか?とお誘いを受けた。
シロクマの毛皮かな?すごく綺麗な白い毛皮のズボンを履いている。
その人はごはんだけでなく、オーロラを待つ間に、寒いですからと言ってティーピーという集落のテントの様な物を貸し出してくれると言う。
「船に戻るより楽しいんじゃないかな」
「うん!」
「ありがたいですね」
その男性の氷の家は部屋が三つあり、大きな部屋は動物の毛皮で覆われている。
おもてなしの為なのか、いつもそうなのか、たくさんの手料理を並べてくれた。
男性と、男性の家族と一緒に食べる。
「この肉の漬物は食べられないかもね」とあらかじめ忠告をいただいたので、私は今回はご遠慮する。
小さく口に入れた好奇心旺盛な叔母は、表情は変えていないが少し涙目だ。
すぐにシチューを口に入れて味を変えていた。
「私の身体から同じ匂いがする」と夜になると言っていたので、香りが豊かだったのかな。
干した魚も、ムール貝も美味しかったけど、クジラの皮シチューがすごく美味しかった。
食感もプルプルしていて、お肌もプルプルになりそう。
ポンポンシーランドでも思ったけど、くじらって美味しいんだね。
食事の後は、子供の成長を願う為のお守りの作り方を教えてもらう。
柳の木に、動物の健をほぐして作ったという糸をまいて、蜘蛛の巣状に編み、木で作ったビーズや、ハックルを垂らしていく。
「すごく上手だね」
男性も、男性の家族も褒めてくれた。
外が暗くなると、男性がティーピーに案内してくれて、焚き火を作ってくれた。
男性と別れティーピーの中でオーロラを待つ。
「あ、あれがオーロラじゃないかな?」
「あの白いのですか?」
「あ、わかった!!」
ティーピーから出て空を見上げていると、薄い雲のようなものが揺らぎ始めた。
薄い雲はどんどん広がっていき、緑白色に色づいていく。
「わぁ!」
その緑白色の雲はベールのように揺らぎ始め、紫色もベールに混ざり、まるでダンスを踊っているようだ。
ひと時も同じ形で留まらないオーロラから目が離せなかった。
1時間ほどで、またオーロラは出た時と同じように雲のようになり、そして消えていってしまった。
「寒いね。戻ろうか」
「素晴らしかったですね」
しっかりと焚き火の始末をし、船に戻る事にした。
他にもティーピーを借りてオーロラを待っていた乗客も沢山いて、船への歩みは皆夢見心地だった。




