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68.犬ぞりとアザラシ肉体験

朝食が終わり、私たちの航海で最初に降り立つ場所は、小さな島の唯一の集落だ。


乗務員さんの説明によると、ある探検家の船が冬の海に閉じ込められ、寒さに耐える装備もなく、船も動かせずもはやここまで!と言う時に、その集落に住む先住民達が越冬の方法を伝授し、厳しい冬をその集落で乗り越えたそうだ。

先住民の人がいなければ彼らは生き残れなかっただろう。


船が港に着いた。海は氷で覆われている。

氷の海の上の大きなソリを数名の人が押しているのが見える。

何を運んでいるのかな?


私たちは島に降り立つと、集落の案内所のような所に向かった。

狩りや、釣り、スキーもおすすめだけど、初めてなら犬ぞりか、難破船の遺跡を見るのがいいよと現地の人に教えてもらう。


「まずは遺跡を見に行こう」

祖父の少年心が疼くのが、わくわくしているのが隠しきれない。


親切な村の少女が案内してくれると言う。

集落を抜けて、氷の海の上を歩いていくと、それはあった。


氷漬けになった木製の船。

海の上に突き刺さるように聳えている。

なにこれ、溶けたらどうなるの?


「ここは氷が溶けると陸地になるんだよ。夏に来ればもっと見れたのにね」

女の子が教えてくれる。突き刺さってるわけじゃないんだね。


船の廻りをぐるっと一周し、次は女の子に案内され犬ぞりを楽しむ。

10匹の狼のような大きな犬が、懐っこそうな顔で待っていてくれた。


私と叔母が前のソリに立ち、後ろのソリには祖父が乗る。


「た、たのしい!寒い!」

顔の出ている部分が痛い!でも楽しい。


犬達の溌剌とした感じが伝わってくる。ナイスチームワーク!

祖父も叔母も楽しいのか、声を出して笑っている。


ソリの後は、犬達と戯れる。バイバイする時は寂しかった。


その後、女の子がお昼ご飯を食べに来て欲しいと熱心に招待してくれたので、お言葉に甘えて女の子のお家にお邪魔する事にした。


女の子の家では茹でたアザラシの赤身肉と、アザラシの固形の脂を出してくれた。

生で食べる脂肉は少し甘みがあって美味しいと言えなくもなかった。

ごめんなさい。多分味は美味しいんだけど獣臭さが強かった。


でも、料理上手だというお父さんの秘伝のタレで食べると、タレの辛さと香りで美味しく感じるから不思議。

お父さんは私たちの言葉があまりわからないので通訳してくれた女の子によると、タレにもアザラシの油を使っているらしい。

食べ過ぎるとお腹を壊してしまうので、要注意だって。


その後は、女の子と一緒に工芸品を見にいく。

観光客向けに販売もしているようだ。


女の子のお母さんが作った革製品を売っているお店に入り、アザラシの皮でできた室内用の靴と、肩掛けのポーチ、そしてハニワのような柄の靴下を購入する。

女の子へお菓子も買ってあげると嬉しそうに、にっこりとした。


日が落ちる前に船に戻るように硬くいい含められているので、名残を惜しみながらも女の子と別れる。


ここから三日間は船の上なので、陸地も恋しくなるだろうな。


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