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63.カボチャの実食だけど、メインはそれじゃない

レビさんの家に入ると、スパイスの良い香りが漂ってくる。

クミンと山椒の香りが強いかな?


机の上のサラダボウルには角切りにされたみずみずしい野菜、中央の大皿には骨つきの肉、その横には中が空洞になった平たい円形のパンが積まれている。


野菜にはコリアンダーを中心とした香草が和えられているようで、セロリ、きゅうり、トマト、豆や、トウモロコシに香りがドレスされている。

お肉は脂がてりてりとしていて、よだれが出てしまいそう。湯気と共にクミンと山椒が香る。

「これなんのお肉なんですか?」我慢できずに聞いてしまった。


「羊の肋の肉だ」


ご、ごくり。


「食べないのか」

「食べます!!!」


叔母は嬉しそうに、ローラさんは驚いた表情をして料理を取り皿にサーブしていく。

レビさんが私のお肉の骨をナイフで綺麗に外してくれる。


「パンに挟むとうまい。好きに食べればいいが」

レビさんはピタのようなパンにサラダと肉を挟んで、見本だと言うようにかぶりつく。


羊の肉は酸味や辛味のあるタレにつけ込まれてから焼かれているようで、ふくよかな味がする。

スパイスの配合が最高ですね。ガブリと肉を口に入れた瞬間に脂が溢れ出す。

甘い!脂が甘い!


骨の周りの肉は手でつかんでかぶり付く。

「耐えられないです」

「なにがだ」

「おいしすぎます」

「……」

レビさんは褒められても表情が変わらない。


「レビさん、本当に美味しいです。こんなにお料理が上手だなんて」

ローラさんはレビさんに習って、パンに具を挟んで小さく上品に食べている。


「これは東の国の味付けを思い出します。とても美味しいですね」

叔母はパンに挟んだり、そのまま食べたり、味の違いを楽しんでいるようだ。


そして食事が終わり、レビさんがカボチャを持ってきて尋ねる。

「どうやって食べるんだ」

「ケーキみたいに切り分けるんですけど、お願いできますか?」

「わたしがやりましょうか?」

ローラさんが申し出てくれるが、レビさんが「大丈夫」と言うのでレビさんに任せる事にした。

ローラさんにはお茶を用意してもらう。


さすがレビさん、プリンは綺麗に六等分される。

うん、よく冷えてる!


取り分けられたプリンにしっかりとカラメルソースをかけていく。


「去年の今頃も作ったわね」

叔母もカボチャの味を思い出したようにうっとりという。


一口すくって口に入れると、しっかりとしたカボチャの甘みを感じ、その後からソースの苦味が追いかけてくる。

あぁ、会いたかった!カボチャプリン


感動のあまり、どこかに行っていた私はふと我に返り周りを見渡す。

すると、大人たちも一様に幸せそうな顔をしていた。


「甘すぎないのがいいわね」

「カボチャの素材の良さも感じるわ」

「これはいい」


昼食を終え、お茶を飲みながらまったりとした時間を過ごしている時、意を決したように

ローラさんがレビさんに話しかける。


「こんなにお料理ができるなら私の料理なんてご迷惑でしたでしょうね」

「…迷惑だろう」

「迷惑でしたね」

「いや、違う」


ちょっと噛み合っていないな。

「ローラさんに迷惑って事じゃないかしら」

叔母が助け舟を出す。


「え、それじゃあこれからもお持ちしますよ」

「いや、それはいい」


ローラさん、もう撃沈。残りのライフが少ない模様。

仕方がないので、私も質問をしてみる


「レビさんは自分で作りたいんですよね?」

「あぁ。好きだな」

物を作るのが好きですもんね。


「…新しいレシピは欲しいと思っている」


「…今度、一緒にお料理をしませんか?私も教えていただきたいですし、教えられる事もあると思うんです」


「あぁ。家にいる時ならいつでもいい」

「…っ」

ローラさんは泣くのをこらえているようだ。


叔母も私も息を止めて見守っていたので、二人して息をついてしまった。ふぅ。

この調子だとローラさんが振られたって話も何か勘違いなんじゃないかな。


「なんか、すごかったわね」

叔母と私はブッチャーさんの店に寄り、挨拶を済ませ、お肉を購入した。

その帰路で今日の事を反芻してしまう。


因みに買ったのは羊肉。

レビさんの家で食べたお肉が美味しすぎた。

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