62.ローラさん泣かないで
「いい人ね」
「いい人すぎるね」
「ちょっと荷物を置きに帰りましょうか?」
フードチョッパーはまぁまぁ重い。
「うーん」
帰るのも少し面倒臭いな。
ソニアさんは仕入れに行くって言ってたから、ローラさんの所でも行こうかな。
「あそこのお店にも挨拶していこう。待たせてくれると思う。」
そう叔母を誘い、雑貨屋さんのドアを開けるが、誰もいない。
んー、不用心だな。
「すみませーん」
と中に声をかけると、雑貨屋の裏口から変な声が聞こえる。
う、うう、うえ、、
ローラさん?泣いてる?
裏口のドアはカウンターの中に入らないと、開けられないので私たちは一度表口から外に出て、裏にまわった。
そこには、裏口の段差に膝をかかえてうずくまり泣いているローラさんがいた。
「うぅ、ひっく、うぇーん」
大人であるローラさんが子供のように泣いている。しかも結構な大泣き。
「ど、どうしたんですか?」
叔母は動揺しながら、ハンカチを差し出す。
「ご、ごめんなさい。もう耐えられなくて、レ、レビさんが」
ローラさんは深呼吸をして涙を止めようと努力する。
「レビさんが、あなたにフードチョッパーをプレゼントしていたでしょう。ううん。それはいいの。でも、あなたの事は家にあげているのに私は食べ物を持っていっても断られるし、どうしたって距離なんて縮められないじゃない。あ、あなたはとても美人でスタイルもいいし」
そうしてまた泣き出してしまうので、叔母はローラさんの背中をさすりながら泣き止むのを待つしかなかった。
ローラさん、私の存在を忘れておりますね?
そうして、ローラさんが泣き止むのを待ち、外は冷えるから中で話しましょう!と室内に押し込み、椅子に座らせた。
落ち着きを取り戻したローラさんは叔母に対して謝罪を始めた。
「初対面のノラの叔母様に、お見苦しい姿を見せてしまって、申し訳ございません。」
「いいのよ。大人でも泣きたくなる時はあるわよね」
「ノラもごめんね、びっくりしたでしょう」
「大丈夫。ローラさんて、レビさんの事が好きなんだよね?レビさんはその事知ってるのかな」
「…実は先週、私の事をどう思っているか聞いてみたの」
ごくり...積極的だな。
「最初はどういう意味か理解していないようだったから、一人の女性としてどう思ってるかって…」
ローラさんはまた泣き出しそうだったがグッとこらえて言葉を続ける。
「そうしたら”ありえない”って」
「それで?」
「それで終わり。そうですかと言って帰ったわ。もう私は振られているのよ。」
私も叔母もなんと言っていいかわからず、一瞬とまってしまった。
レビさんは言葉足らずだから、もう少し話してみてもいいんじゃないかな。
無責任な事は言えないけどね。
「そんなに泣くほど好きなんだったら、一度の失敗で諦めなくてもいいと思うわ。気持ちを押し付けるのはダメだと思うけどね。」
「まだ、諦められないです。レビさんの姿がここから見えるたびに好きだなって思ってしまうの」
恋ですね。料理が断られるなら一緒に作ってはどうかと提案してみる。
「レビさんは、自分で料理したいみたいだから作って持っていくんじゃなくて一緒に作って教えてあげたらどうですか?今日だって、私たちは食材を持って勝手に家に行っただけなんです。」
「自分で…そうなのね。それは私にはハードルが高いかもしれないわ。頼まれてもいないのに」
「うーん、そうですよね…」
作った物を渡すのとはちょっと違うもんねぇ。
ちょっと思い出す限り経験がないから、ロクなアドバイスもできない。
「でも、大丈夫。諦めないわ!さて、自己紹介をやり直したいわ。ノラの叔母様こんにちは。ローラと申します。ノラの愛らしさは叔母様に似ているんですね」
「あら、ありがとうございます。ノラの叔母です。どうぞアビィと呼んでください。少し見ただけでも素敵なデザインの洋服が置いてありますね。ローラさんのデザインですか?」
「そうなんです。丈を詰めたりもするのでいつでも言ってくださいね」
ローラさんは叔母の少し緩そうな服を見て言う。
また大きくなる可能性があるならそのままでもいいんじゃないかしら。
女性同士で話も盛り上がり、そろそろお昼になろうという頃、レビさんが私たちを呼びに来た。
私たちがいるのが見えたらしい。
「こんにちは、レビさん」とローラさんは気丈に振舞っているが、レビさんはあい変わらず「あぁ」と返事をするだけだった。
まぁ、いつも通りなんだけどね。
「昼食も作ったから、みんなくるといい」
昼食も作ったんですって!
ローラさんは店に残ろうとしたが、「忙しいのか?」と言うレビさんの問いかけに、いそいそと店じまいをした。
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