61.リベンジカボチャプリン
ほがらかな朝。
良い部屋でぐっすり眠れたという叔母と共に牛乳を絞り、卵を回収し朝の仕事を終わらせたら今度は朝食を一緒に作る。
牛乳と卵を混ぜた液体に少し硬くなったパンをたっぷりと浸し、バターでこんがり焼いて作ったフレンチトーストにたっぷりのメープルシロップと粉砂糖、ベリーのジャムをのせて食べる。
祖父のほっぺたも落ちちゃいそう。
叔母がフードチョッパーの製作者のレビさんを見てみたいと言うので、叔母に村を案内するついでにレビさんの家に行く事にした。
祖父は今日も、お仕事があるみたい。
歩きながら、レビさんとの今までの思い出話を話す。
叔母は興味深そうに聞いている。
料理好きの血が騒いだのだろう。
商店のある通りに着き、ソニアさんの店にも立ち寄る事にした。
叔母は目を輝かせながら店内を見回っている。
「素晴らしい品揃えね。特にスパイスがすごいわ」
「ノラの叔母さんね。カレーは本当に美味しかったよ」
ソニアさんと叔母は会話が弾んでいるようだ。
私は店内の野菜売り場でお目当ての物を見つけた。
かぼちゃです。
以前に叔母と料理したサイズよりも、はるかに小ぶりのカボチャだけど、色が緑色で馴染みがある。
なんとなく安心する。
叔母と料理したカボチャはオレンジ色だったんだよね。
私でも簡単に抱えられるサイズなので、ソニアさんの所に持っていく。
「あら、美味しそうなかぼちゃね。濃くて甘そうよ」
「うちの品物はなんでも美味しいよ」
「今日は私が作ってみたいものがあるんだ」
「何かつくるの?あちゃー、私も行きたかったけど、今日は仕入れがあるわ。今度教えて頂戴。」
「わかりました。簡単なのでまた作ります」
そういえば、アポなしで来たけどレビさん仕事中かな。
レビさんの家をノックすると、間も無くしてレビさんが出てきた。
くたびれたシャツを着て、とんがり帽子をかぶり、いつも通りの格好だ。
「レビさん、こんにちは。叔母が来たので挨拶にきました。今日は忙しいですか?」
「忙しくない。入ればいい」
「はじめまして、レビさん。よろしければアビィと呼んでください。」
「あぁ。スパイスの…おかげで…」
レビさんの声が小さいので最後の方は聞こえなかったが、お礼を言っているのだろう。
「レビさん、今日はお菓子をつくりますよ。」
「お菓子は身体に良くないんじゃないか?」
「食べ過ぎたらなんでも良くないですよ。でも、今日はレビさんが大好きな野菜で作ります」
「別に好きではないが」
「そうなんですね…」
叔母はひたすらニコニコしている。
「早く。入るんだろ。」
レビさんに急かされて、家に入り準備を始める。
用意する物は、カボチャ、牛乳、卵、砂糖。以上!
牛乳をクリームにすると、もっと濃厚になります。
まずは、カボチャのヘタを四分の一程切り落としたい。
包丁をカボチャに入れるが刺さりもしない。
叔母に代わってもらうが、叔母も驚くほどの固さだ。
「レレレ、レビさん」
「何をやっているんだ」レビさんがナイフを差し込み、カボチャのヘタを落としてくれる。
「硬いカボチャは甘いのよね」
叔母はふんふんと頷きながら一人納得している。
切ったカボチャの種とワタを取り除き、身も取り過ぎないように気をつけながら削り出し、身を蒸していく。
蒸しあがったカボチャをフードチョッパーで滑らかにする。これは叔母が作業したんだけど、すごく楽しそうにハンドルを引っ張っている。
「これ、私の家でも欲しい!買わなくちゃ!」
更に、そこに温めておいた牛乳と、砂糖を加えて、混ぜ、最後に卵を加えて混ぜる。
笊などで漉すと尚、喉こし良し。
そして、弱火のオーブンで50分くらい蒸し焼きにするんだけど、その間にカラメルソースを作っちゃおうと。
水で砂糖を溶かしてから、火にかける。コツは混ぜない事。
砂糖が飴色になったら熱湯を注ぐ。すると、綺麗なカラメル色になる。
熱湯が鍋にジュワっとなり、怖いのでレビさんにやってもらう
「これで終わりなんですけど、冷えるまで時間がかかります。」
「お仕事の邪魔になるので、冷えた頃また戻ってきますね。お昼頃また来てもよろしいですか?」
レビさんは呆れたような顔をしているが、純粋に仕事の邪魔をしたくないし、時間を有効活用しようと思ったのだ。
「わかった。貯蔵庫で冷やしておく。これを持って行ってもいい」
レビさんは、綺麗に洗ってくれたフードチョッパーを叔母に手渡す。
めちゃくちゃいい人だなぁ。




