43.特許の申請をしましょう
暖かい日が続いたせいか、雪解けが早くミリーが来る前にイグルーもダメになってしまった。残念。
今年は例年よりも雪も少なく、暖かいみたい。いい事なんだけどね。
最近は祖父の仕事も落ち着いてきたようで、祖父の空いている時間に乗馬を習うようになった。
祖父の馬は大人しいので、全然怖くない。
でも、私の脚力がまだ弱いので上手く指示が伝わらない。
乗馬の他にも、しっかりと彫刻も教えてもらっているので、仏像彫もいつかチャレンジ しようと思う。
これ何?って聞かれたら困っちゃうね。
今日も牧場で祖父と乗馬の練習をしていると、レビさんがやってきた。
祖父と私にも話があるとの事なので、馬を休ませてから家へと戻る。
丁度、祖父と共に洋酒に漬けたフルーツでケーキを作ってあったので、紅茶と一緒にお出しする。
レビさんは紅茶だけ口に入れると早速本題に入った。
「家庭用のフードチョッパーの特許を取ったほうがいい」
「あぁ、なるほどね。あれは便利だからね。このケーキもフードチョッパーを使って作ったんだよ。食べてごらん。口どけがいいんだ。」
レビさんは無表情で、ケーキに目をやると仕方ないといった風にケーキを口にした。
「洋酒がいいな」
表情は変わらないけど、素早く食べ切ったのでお口には合ったみたいだ。
ケーキを食べきると再び話に戻る。
「雑貨屋のローラが使ってみて、町へ売りに出したらどうかと言われた。俺も売れると思う。構造が簡単だからすぐ真似されるだろう。俺も本業じゃないから専門で作ることはできない」
「と、特許なんてあるんですね」
「ああ、特許申請して通れば、向こう3年間は売上の3%は手に入る。」
「そうなんですねー」
あんまりピンとこないけど。
「レビ、教えてくれてありがとう。レビがいくつか製作してプロモーション用に売るんだろう?その前にノラの名前で申請しておこう。」
「図面と書類を使っておいた。」
「おお!図面はお願いしようと思っていたけど、書類まで助かるよ。」
「いや...」
「何かお礼をしないとね」
「礼はいい。ノラがたまに来て料理を教えてくれるとありがたい。俺の料理ばかりだと子供が不憫だ。」
「私で良ければ喜んで教えますけど、逆に迷惑なんじゃ...」
ローラさんがいるのに何故私に?
「迷惑ではない。じゃあな。お菓子も美味かった。」
レビさんは要件が済むと直ぐに帰っていった。
「ノラ、早速私は町に行ってくるよ。善い行いはすぐにしなければね。馬も久しぶりに走らせたかったんだ。今から行けば暗くなる前には帰ってこれるだろう。」
祖父はさっさと1人で出かける準備をして馬に鞍だけつけて、出かけていってしまった。
身も心も置いていかれた私。
因みに特許は、専売で契約したいと言ってくれた台所用品の会社があったので売上の9%が3年間貰えることになった。
全部祖父がやりとりをして、銀行の口座も作ってくれたのでそれがどれ位のお金になったのかは解らない。
ケーブルではなく、ハンドルを回す式の類似品も出回ったみたいだけど、ケーブル式のが高速で回転するので、人気みたい。
専売で売る前に作ったレビさんの作品は、ローラさんの雑貨屋でも売り出して村中で大流行した。




