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38.ほっと、ほっこりアップルサイダー

今日は天気が悪いので外には出ず、自室で編み物をしたり、祖父の仕事場に行って彫刻の練習をしたりして過ごしている。


ハンクトン島よりも気候が良いと言っていたが、やはり冬の雨の日は肌寒いな。

窓際は特に寒いんだけど景色を見ながら編み物をするのが気に入っているので、しっかりと暖かくして作業を続ける。


祖父の分のスカーフとミトンは出来上がっていて、今は叔母の分の濃色のスカーフを編んでいる。

叔母のスカーフは、祖父へあげる物よりも幅広のアフガン編みにしているところだ。

編み方を忘れて無くて良かったぁ。

昔だったらすぐにインターネットで検索できたけど、今は忘れてしまったらひたすらに試行錯誤を繰り返して編むしかない。


あ、でもローラさんに聞いたら色々教えてくれそう。


それにしても、叔母さんは元気かなぁ。今はどこら辺にいるんだろう。


他に邪魔をするものもないので作業が捗る。

この調子なら今日か明日には出来上がりそう。


それにしても寒い!ちょっと指が動かないかも。

暖かいお湯でも飲もうと思い台所へ行くと、祖父が立っていた。


「冷えるから、ホットアップルサイダーでも作ってあげようと思ってね。飲んだことはあるかい?」

「サイダー?りんごの炭酸水?それの暖かいやつ?」

「ほう!ノラの所では炭酸なのかい?地域によって違うんだね」

「あ、ううん、知らないの。何となくそう思っただけ」

知ったかぶりをしてしまった。

「鍋に絞ったリンゴの汁を入れて、シナモンスティック、クローブ、スターアニス、オレンジの皮を入れて、濾したら出来上がりだ。すごく簡単だろう。これを飲んで身体を中から温めるんだ。私たちも指先が冷えると仕事が出来ないからね。生姜もいれてもいいだろう。」

「そうだよね。指が動かなくなるよね。あ、冷えるといえばお祖父さんにあげるものがあるの。後で渡すね」

渡すタイミングを測っていてまだ渡していなかったスカーフとミトンを渡すチャンスだ。


材料が煮立たないように、弱火で10分ほど火を入れ、出来上がったホットアップルサイダーを耐熱のカップに移しシナモンスティックをいれ、ふぅふぅしながら飲む。


搾りたてのリンゴジュースだけでも美味しいけど、しっかりと効かせたスパイスが身体を温めてくれる。

でも、飲み物に入ってるスターアニスは、ちょっと苦手かもしれない。

角煮とかならいいけど!


「飲んだそばから身体がポカポカするね。」

「ノラが大きくなったら、ホットワインを一緒に飲もう」


カップを片付けた後は、部屋に戻って編んだスカーフとミトンを持ってくる。

黒に近い色なのでシンプルにリブ編みにしてみた。


祖父は感嘆するような表情を浮かべたまま、編み目を検品するかの如く一目一目見つめている。

「ノラ、君の仕事がこれ程とは思わなかったよ。料理の才能だけじゃなかったんだね」


どこに行っても暮らしていけると、安心したように言うと、純粋に孫からの初めてのプレゼントに感激したようで、目が潤んでいた。

あげられてよかったわ。

ホットワインも、是非祖父と一緒に飲んでみたい。

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