35.洗濯機とフードチョッパーと
数日して洋服と靴の請求書が届いた。
再び一人で雑貨屋に向かい、ドアを押してみるが開かない。トントンと叩いてみても誰も出てこない。どうやら留守の様だ。
うーん、少し待つべきか、一度帰るべきか悩んでしまうな。
雑貨屋の前を行ったり来たりしていると、道向かいの家のドアが開き、とんがり帽子をかぶった長髪の男性が出てきた。
男性は私を見ると、人がいると思わなかったのか驚いた顔をした。
雑貨屋と私を交互に見つめ、雑貨屋の留守を確認すると、男性の家の中で待つように提案してくれた。
祖父は私と村人との交流を求めているので、お言葉に甘えておきます。
何歳くらいかな。20代にも、40代にも見えるけど声は若そう。
男性はレビさんと言って、家を建てる大工の仕事をしているとのことで、よく見ると引き締まった身体つきをしていた。服装がダボついているのであまり解らない。
「息子と2人暮らしで、妻はいない。息子は今学校」
ちょっと寡黙な人なので、あまり会話が続かないが、寒いだろうと家の中に入れてくれて、濃いめの紅茶にメープルシュガーをいれて出してくれるレビさんは、間違いなくいい人でしょう。
薪ストーブの上には重そうな鍋が置いてあり、何かを煮込んでいるようだ。
男性だけでもしっかりと料理しているんだなと、感心した。
男所帯なので、料理もなんでも自分で作るらしい。
「家だけでなく、あんなのも作る」と台所の側に置いてある手回しの洗濯機を指差した。
「曲げたりする加工は難しいが、耐水や衝撃に強いいい木を使っているんだ。」
「ちょっと見せてください!!」
すごく食いついてしまった。
私の身体にはかなり大きい洗濯機だけど、蓋は思ったより簡単に空けられた。
手回しの洗濯機に良くみられる構造で、排水の穴のついた桶の中に、籠が入っていてその籠の中に衣類を入れ、蓋をし、ハンドルを回すことで、歯車が作用し高速で洗濯も脱水も出来るようになっている。
職人の手作りだからか、籠はしっかりとした重みとしなりがあり、ハンドルは磨かれ、持ちやすいような形に整えられている。
なんて高級感のある洗濯機でしょう。
あの形を見た時に、閃いてしまいました。。
浮かんできた映像は、手動のフードチョッパーの紐を引っ張っている自分。
思わずレビさんに質問をしてしまう。
「洗濯機を見て、思いついたんですけどこんな道具って見たことありますか?」
紙とペンをお借りして、フードチョッパーの説明をする。
出来れば力のいらないケーブルを引くタイプが希望だけど、ハンドルを回すタイプでもいい。
「肉屋のミンチ機みたいなのじゃないんだな」
「私が家で使えるものがほしいなーと思って。お店で使うような大層なものじゃなくていいんです」
「ガラスと、刃は町で発注になるが、まぁできるな。もし本当に欲しいなら部品の金額の見積りをジョンさんに送る。部品代だけでいい。そのかわり、自分用にも作らせてもらうがいいか?」
アイデア料割引をいただきました!
「もちろんです。ありがとうございます」
人見知りとかしててごめんなさい。情報収集って大事。
フードチョッパーがあれば、卵の泡だてだって、野菜の裏漉しだってできてしまう!
人との交流大事!
付け替えの刃の種類や、用途などの細かい話をしているうちに雑貨屋の店前からローラさんとマスターの話し声がする。
どうやら帰ってきたようだ。
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