34.オーダーメイドです
その人は、お腹が樽のように張り出ていて、いかにも美味しい物を沢山食べています!!
と言った風体で、長い金髪の可愛らしい少女を連れている。
しかし様子がおかしい。店内に入り、ジェイソンさんを認めると驚いた顔になり、その後すごい顔で睨みつけた。
ジェイソンさんは、表情を変えずに目礼をした。
「こいつの顔をみるなんて、日がわるい!今日は帰るぞ!」
少女に言っているのか、独り言なのか解らない言葉を発し身を翻した。
少女が振り返り、エイデンと視線が交わされる。同い年位だろう。
誰も何も言わないまま時間がしばらく過ぎたが、とうとうジェイソンさんが、苦笑いをしながら暇を告げた。
「隣同士なんでね、時間をあけてから帰りましょう。隣といっても200メートルは離れてますけどね。ノラ、またね」
「ばいばい」
二人が帰ると、カウンターにいた二人が話し出す。
「ゴームズ・ゴードンはいつまで根に持つつもりなのかね。こんな狭い村で顔を合わせないわけがないのに、毎度あんな調子で。」
「引くに引けないんでしょう。ゴードンさんだって、本当はカオハガンさんが悪いなんて思ってないと思うわ」
「今までだって、投資の相談をしては随分儲けさせて貰ってたのになぁ。たった一度の失敗で。それだって、結局は船は着いて儲けはでたんだろう。」
「事故は誰にも予想できないわよね」
「あんなに仲良くやってたのにな。隣にわざわざ住んで、子供同士も仲良くやってたのになぁ」
「でも、お父さん、ゴードンさんも、カオハガンさんもいい人よ。固い友情で結ばれていた2人だもの。きっと二人にしか解らないドラマがあったのよ。私はそう思うわ」
カウンターの女性は鋭く目を輝かせる。推理をしている探偵のようだ。
ゴシップ好きの匂いがする。
ゴードンさんは投資家でジェイソンさんは相談人というか、前世でいうファンドマネージャーのような人なのかな。
男性が呆れたようにため息をつくと、女性に話すより幾分か優しい声で私に声をかけた。
「おー、嬢ちゃん、待たせて悪かったね。今背負えるように靴も包んであげるからね」
「ありがとうございます。これ、お金と祖父からのお手紙です。」
「私が貰うわね。お使いご苦労様。私のことはローラと呼んでね。ふんふん、ノラの冬服と、冬用のコート、冬用のブーツも注文するのね。コートは今出ているものが丁度良さそうね。服と靴は測ってからつくりましょう。」
ローラさんが、店内にかかっているコートの中から金のトグルボタンのついた白いケープの様な形のコートを選びとった。
「あらー!!かわいいわね!」
うん、可愛い!
こちらお買い上げです。
その後は、私の身体の採寸をして、服の好みを聞かれる。
「持っている服は、色が強かったり、柄のあるものが多いので、今度はそのままの色がいいと思うんですけど」
「なるほどね!夏はそれでもいいかもしれないけど雪が降った時に、風景と同化してしまうから冬は少し目立つ色が入っていた方がいいわ。派手でないものだったら臙脂色一色か、辛子色はどうかしら?白い丸襟をつけたら可愛いわよ」
それは確かに可愛いっぽい。
「春と夏には、水色と白の縦縞もいいわねぇ」
ローラさんが、遠くを見つめながら言う。
身体の採寸が終わると、今度はこの店の店主、ローラさんのお父さんにバトンタッチ。
足の採寸をして、革の見本から好きな革を選ぶ。
相談した結果、よく鞣してある赤茶色の起毛した子牛の皮にする事にした。
店主のおじさんは、店主って呼べばいいと言うので名前は聞かなかった。
マスターって呼びます。
靴の注文まで終わり、店内の編み棒と毛糸も見て周り、私の用事は全て終わったけど、ローラさんが私に洋服をあててみたり、似合う洋服などの話をしていたら時間が経ってしまった。
「今日は会えて良かったわ!ジョンさんに、請求書届けるから今日はこれで帰って平気よ」
「気をつけて帰れよ」
買ったコートを着て、祖父の靴を背負い家路についた。
コートを見た祖父は可愛い、可愛いとベタ褒めでした。
店主がつくる靴は、履き心地が他のものと比べ物にならない程良く、ローラさんが作る服のデザインは洗練されているので、以前住んでいた場所の頃から親子のファンがあちこちにいるんだって。
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