29.はじめてのお使い
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今日、私はお使いに出されるみたいだ。
お使いと言っても、目的はパンを買うだけなんだけど、ついでに遊んできなさいと言われてしまった。
「昨日ノラが手伝ってくれたから家具作りでやる事はほとんどないよ。それに、お祖父さんとばかり過ごすのはよくないからね」
「えー!!私も椅子に絵を彫ったりしたかったのに!!」
「それは小さい物から少しづつやって行こうね。時間はいくらでもあるんだから。前に住んでいた所でもお友達は沢山いたって聞いているよ。この村はどこに行っても安全だからね。冒険してくるといいよ。村の外には行ってはいけないよ」
「はぁい」
祖父を困らせてはいけない。というか祖父に肯定する以外の返事ができない。
別にお出かけが嫌な訳ではないんだけど、祖父といたほうが気が楽というか…知らない人と話したくないと言うか。
多分わたしはインドア派な上に、ソロ活動が多い人だったんだなと思う。
「そら、できたよ」
にこにこしながら白いクロスのかかった小さな食事用のテーブルに、両手に持ったプレートを置く祖父。
今日の朝食は、きゅうりと赤カブの薄切り、人参の細切りにドレッシングとナッツを和えたサラダと、メープルシロップのかかったカリカリベーコンに、私が先ほどとってきた生みたて卵の目玉焼きと、塩味のクイックブレッド。
美味しそう!
「自分だけが食べる時は、あまり料理はしないんだ。ノラがいるから、少し頑張ったよ。でも最近パンを買っていなかったから美味しいパンがないんだ。ノラは柔らかいパンも食べたいだろう」
「なんでも食べるから大丈夫だよ。叔母さんとは柔らかいパンもクイックブレッドも作ったよ」
「すごいね!私は、煮たり焼いたりは出来るんだけど、お菓子やパン作りはどうも苦手なようだ」
「今度一緒に作ろうね」
「一緒に作れるなら楽しみだね」
私は、パン作りの分量なんて全然覚えてないけどね。叔母さんも計ってなかったし。
叔母さんに手紙を書くついでにレシピも聞こうかな。
今日の私は、老竹色と灰みがかった紫色を使った落ち着いた色合いのワンピースで、頭には日よけ用のボンネットを被る。
買い物かごを持ち、お出かけの準備は万端です。
くるっと一回転して、ワンピースをふんわり膨らませる。
何を着ても似合う。
ナルシストになってしまうわ。
「空が赤くなったら帰ってくるようにね」
「はい。いってきます!」
街道ができているので、まず道を間違えたり、迷ったりする事はないでしょう。
一人でテクテクと丘を下り、祖父の言っていた通りに進む。
ノラは昔は走り回っていたけど、しばらくは引きこもっていたので体力が落ち、疲れやすい体質になってしまっている。
しっかりと動いて、体力作りをしよう!!
丘を背にして一つ目の十字路を左に曲がり、真っ直ぐ突き当たりまで行くと、お目当ての場所に到着。
緑の屋根に茶色の壁、ドアは白く塗られた二階建ての小さなパン屋だ。
一階部分がパン屋で、2階が住居になっているみたい。
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