27.お風呂がありました
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荷物を片付け、私が一人で一息吐いている間に、祖父はいそいそと裏口から外に出て行き、何かの準備をしている。
貰ったホットミルクを飲みきって、祖父を覗き見てみると、祖父は外でお風呂を沸かしていました!
ちょっと!!やだ!!興奮!
簡易的な脱衣所と衝立が裏口に設置されていて、地面に石英岩のような石で造られている湯船が埋まっている。水を張った湯船に祖父が焼いた石を入れているのでジュッと音がした後に、湯気がモクモクと立ち上る。
先ほど物置のように見えた物は、大きな樽のような形のサウナでした。
「まだノラには早いんじゃないかな」
と言う祖父に渾身の力を注いだお願いをして、サウナの中のストーブにも火を入れて貰った。
なければ無いと諦めた。というか、それが普通だったので気にしなかったけど、やっぱりお風呂に入りたい。
サウナがあるならば、入いらいでか。涙が出そう。
祖父はサウナもお風呂も好きなようで、準備から楽しそうにしている。
少しだけロウリュウし、蒸気を祖父がタオルで仰ぐ。
サウナは通常よりもかなり温度を低くしているようで、蒸気のある暖かい部屋みたいな感じになりました。
それでもいい。もうそれで幸せ!
祖父と椅子に横並びに座りサウナに落ち着くと、ノラには難しいかもしれないけど、と祖父がかいつまんで村の生い立ちを話してくれた。
「…そうして、旅立ちの時に付いてきてくれた彼らは、建築や、芸術や、医療、農業などでも才能のある人達ばかりでね、彼らが付いてきてくれたからこんなに素晴らしい村ができたんだ。村の名前は少し照れてしまうけどね。名前はあった方がいいからね。」
祖父の家は歴史を遡れば領主を勤めてきた家系で、領主制が廃止された後は地主として元領民の為の生活保護や環境整備に代々尽力していた。その為、元領民からの人望が厚かった祖父の家は何代にも渡って、その地方の議員を排出してきたエリート一家でもある。
祖父も地元では議員として勤め、貧困や衛生、教育の問題に取り組み、才能ある若者への支援も公私関係なく積極的に行ってきた。
祖母との離縁が決まった時に、年齢的にも潮時だと思い議員も辞職し、住んでいた家は祖母に譲り未開の地を求め旅に出る事にした。
もともと、何かを作ったりする事が大好きなんだって。
その時に、祖父のお世話になっていた人々が祖父と共に行きたいと願い、開拓先で才能を振るい現在の村ができたそうだ。
「ノラもきっとこの村を好きになるよ」
「うん!もう好きだよ」
村の探索が楽しみだ。
良い感じに身体も温まり、皮膚も柔らかくなったので掛け湯をしてお風呂に入る。
空を見上げると、沢山の星が一面に広がっている。
祖父は肩まで湯に浸かり、目を閉じる。
「旅の疲れも流れていくようだね」
「お祖父さんつかれたの?背中洗ってあげるね」
薄手のタオルに石鹸をつけて、祖父の背中を流す。
力が弱いので、あまり気持ちよくはないだろうけど、祖父は嬉しそうに、上手だと褒めてくれた。
祖父の家の石鹸は良い匂いがする。
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