26.素敵な祖父の家
馬車のまま村に入るが、外に人はみあたらない。
通り過ぎる家の中の灯りや、街灯も灯っているので怖く感じない。夜の森の中の村なんて、むしろちょっと幻想的。
夕ご飯時なので、煙突からは煙がモクモクと出ていて、料理の美味しそうな匂いが漂ってくる。
家から家は密接しておらず、夜に騒いでも怒られる事などなさそうな位良の距離で間隔が空いている。それぞれ広い敷地があり、馬や牛や豚や鳥を飼っている家が多いようで、畑や麦畑もあるように見える。自給自足の生活なのかな?
森林の中がこんなに開けていると思っていなかったので、森に隠れ住む木の妖精の国に迷い込んだ気分。
ゲームでいうと、隠れ里みたいな。
たどり着いた祖父の家は、村を見渡せる小高い場所にあった。
小屋裏のついた小さいながらも上品な佇まいの家は、木材とレンガで建てられていて、私が住んでいた明るい色味の家と違い重厚感がある。
祖父は私を馬車からドアの前に下ろすと、馬を移動してくるからねと、入り口に明かりをつけ、私に待っているように言うと、少し離れた馬屋へと移動していった。
馬さん、お疲れ様でした!
祖父を待つ間、大人しくその場から動かずに、目に見える範囲で辺りを伺ってみる。
獣除けの罠とかあるかもしれないからね。
暗いからわかり辛いけど、屋根は暗めのオレンジレンガと赤レンガが綺麗に並べられて、木材も黒っぽい茶色。窓枠だけは白く塗られている。ドアを見ているだけで質の良さが感じられますね。素敵なおうちです。ちょっと大人向けな色味だけど。
家のすぐ裏手部分からも、何か小屋のような物が見える。
探検できそうでワクワクするね。物置か何かかな。
しばらくして祖父が戻り、いざ家の中へ
明かりをたくさん灯してくれたので、中がよく見える。
重苦しい外装とは違い、意外にも中は白壁で、木材の黒が映えている。
「ようこそ我が家へ。まずは部屋へ案内しよう」
二階へ上り、祖父が準備してくれた部屋へ案内される。
「急だったからね、まだ完璧に整えられていないんだ」
そう言いながら祖父は部屋の扉を開ける。
広々とした部屋の家具にはベッドが一台だけ置いてあり、ベッドのヘッドボードにはデュランタの実と花が彫刻されている。
その上にはフッカフカのお布団と、可愛らしい淡い配色のパッチワークのキルティングの掛け布団が乗っている。
床にはリーフ模様の浅緑とアイボリーの柔らかそうな絨毯が敷かれている。
「ベッドだけは大急ぎで作ったんだ。足りない物は明日から揃えようね。」
ベッドも彫刻も祖父の作品らしい。
もしや、キルトも?
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。




