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22.馬車の旅

外に繋いである馬車は二人乗りの小さい馬車で、栗毛の馬が一頭立てだ。

祖父は私を荷物と一緒に座席に乗せると、自分は馭者の席に座る。

馬車の座席も捨て難いけど馭者の席に乗ってみたい。

「一緒にそっちに乗りたいな」

かわいくお願いすると、にっこにこで膝の上に乗せてくれた。

手提げも後ろに置いたので、手には村の子供達が摘んでくれた花束だけだ。

ドライフラワーにできるかな?


馬車が動き始めると、私は後ろを振り返って叔母に手を振った。

叔母も大げさに両手を振っている。


叔母に沢山の幸福が訪れますように。


道中は、祖父に祖父のお家の事を聞いてみる。

「少し高いところにあって、周りには鹿がよく出るよ。鹿の肉はとても美味しいんだけど食べた頃はあるかな?」

「鹿はみたことがないよ。鹿見てみたいな!」

ジビエ料理が食べられそう!

祖父の村の周りに出現する動物や、周辺にある湖などの話を聞きながら馬車は進んでいく。


叔母と馬で通った道だけど、馬に乗っている時と馬車に乗っている時では景色が違ったように感じられる。

茶色の馬車道と、脇を飾る木々の緑が美しい。

歩くよりも早く、すぐに消えてしまう風景の数々

規則的な馬の足音はまるでBGMで、映画のワンシーンにいるみたい。


これは映画の旅立ちのシーンだ。


悪い事をして罰を受け、傷ついた女の子が

優しいお祖父さんに引き取られ、幸せに暮らすサクセスストーリー

うーん、やっぱり、ほのぼのストーリーかな

サスペンスとホラーはちょっとごめんなさい。


ノラにとって悲しい思い出の多かった村だけど、

馬車からみる村は悲しい事などなかったように

ただただ、私との別れを惜しんでくれているように思える。


母親の事を思い出す時だけノラの胸が痛む。

思い出さないように、頭を振り、他の事を考えるようにしよう。


喋らない私を心配したのか、祖父が顔を覗き込む。

私はにこりと笑って、母親がよく歌ってくれた馬車の歌を鼻歌で歌ってみた。

祖父も知っている歌だったのか、一緒に口ずさむ。


カッポカッポと馬車がゆく

一体誰をのせているのか

教えておくれよ馭者のおじさん


ポックポックと馬車がゆく

お馬さんもお疲れかい

馭者さん、飼葉をあげとくれ


パカラパカラと馬車がゆく

どうしてそんなに急いでいるの

誰かに会いにいくのかい

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