18.リアムの来訪
いよいよ、叔母とお別れの日です。
昨日は、カボチャパーティーの残り物にアレンジを加えた物を食べた後
叔母に本を読んでもらいながらすぐに寝てしまいました。
カボチャの皮のピクルスも味が染みていて美味しかったなぁ。
あれは、皮の厚さに美味さの秘訣があると踏んだ。
そして、ぐっすりと眠った私は、本日、叔母よりも早起きです。
裏口から庭に出ると、朝の冷たい空気が気持ちいい。
ローズマリーを指でこすって、空気と一緒に香りも吸い込み気分もシャキッとさせる。
素敵なお庭で見ているだけで、幸せな気分になれる。
自分が整えたお庭を心の中で自賛していると、家へと続く道から人の気配がした。
こんなに朝早く汽車はでていないので
また郵便屋さんかな?
とぼんやり待ち構えているとやってきたのは
ノラがよく遊んでいた、わんぱくながらも子供のまとめ役の3歳年上の男の子だった。
濃い赤毛がクルクルと巻いていて可愛らしいその子は
「よお、久しぶりだな」指で鼻をこすりながら私に声をかけてきた。
手には青いリボンがついた花束を持っている。
「リアム、久しぶりだね」
「村からでていくって、大人が話しているのを聞いたんだ。それで、これ…みんなでとってきた。リボンはゾーイが結んだんだ。母さん達が、ノラの家は大変だから、遊びに誘っても迷惑だから誘うのをやめた方がいいって…嫌だったけど、なんだかすごく嫌な雰囲気だったし、俺たちどうしていいか解らなくて…。でも、いなくなるなんて思わなかったから、びっくりした」
リアムは所々つっかえながらも話しきると、花束を私に差し出す。
「俺しか来れなかったんだ。早く学校に行くって言ってきて。でもみんな会いたがってた」
花束は、ガーベラにアイリスにネリネにスターチスなど、綺麗な花だけ摘みました!と一輪一輪の花の主張が激しい。
花達が私を見なさい!!と語りかけてくるようだ。
「ありがとう。あ、何か食べていく?この間ね、私がパン生地を捏ねたパンがあるんだよ。まだ学校には早いでしょ」
「いや、いいよ!悪いから!話ができて良かった!パンが作れるなんて大きくなったな!話し方まで大人っぽくなって」
随分と近所のお兄さんぽい事を言ってきますね。可愛いじゃないか。
リアムが遠慮するので、そのままお別れしようとしたら
裏口の戸が開いて、叔母が顔を覗かせる。
「紅茶いれるから、中にいらっしゃい」
最初は遠慮していたリアムも、叔母の料理の前には屈したようで
残り物のパイやマフィン、パンにはジャムをどっさり乗せて、たらふく食べて、紅茶も沢山飲んだ。
「俺の家もみんなの家も、こんな美味しいごちそうなんて出ないよ」
「うちだって出なかったよ。パンとバターとジャムか、スコーンとか、ビスケットだよね」
「バターとジャムはご馳走だよ」
リアムは膨れたお腹をさすると、上着を羽織るとノラの頭を撫でた。
「ちゃんと戻ってこいよ」
「元気でね、妹のゾーイによろしくね」
学校へと向かうリアムが見えなくなるまで手を振っておく。
リアムを見送り、室内に戻ると、叔母が紅茶の缶を逆さにしながら
「紅茶がなくなってしまったわ」
と言った。
いつもありがとうございます。少しづつですがブックマークが増えているのをみると嬉しく思います!
メリークリスマス




