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3/3

現代っ子なんで文明の利器がないと死んじゃう。



右手に杖を持って振ってみると、ガララッと鐘の音がした。チャットの時とそうでない時は音が異なるらしい。いや、わかっていたが。

さて。

それはともかく、これからのことである。神の声を信用するのであれば、まず南方行きの選択肢はないとして、どちらへ、向かうか。

西方帝国は完全に混乱状態だから世情は危ういが、それだけに警戒機構が麻痺してて、住民に紛れ込みやすいのだと思われる。まあ、難易度はそれでも高いんだろうけど。

北方四国は冷戦状態っていうから表面上は平和でも人の出入りを厳しくチェックしてたり制限があったりするんだろう。多分精神的閉塞感もある。

東方諸国は北方に接してる地域はその影響を受けるから警戒をしているが、それ以外は目立った争いもなく平和、と。まあ、北や西の争いが飛び火してくる可能性自体はあるんだろうが。

…東方に向かうのが一番平和な気がする。ただ、人種とか種族の問題がな…エディドヤがこの世界でいうとどの部族に近い見た目ってことになってるかがだな…。羊助さんの創作だとどんな設定になってたかな…つってもあの人一枚絵専門で設定もちょろちょろ漏れてる程度にしか出てなかったしな…。

「…悩んでも仕方ない、か」

何にせよ、夜までに宿は確保しておきたい。というか、根本的な問題がある。

方角が分からない。いや…多分、星の巡りとかは地球と似た感じだろうと思う。羊助さんはそっち方面の設定に凝るタイプじゃないし、一年の日数とか星の運行とか一日の時間とかは変えてないだろう。星座くらいは違ってるかもしれないが。しかし、自分はコンパスなしに方角を求める技術はもっていない。現在時刻も不明だし、地図もない。手軽な推理材料がないのである。

と、なると…あてずっぽうに歩く、というのも一つの手だが…ふむ。試しに魔術を一個使ってみよう。ナビゲート…いや、幸運の導きかな。具体的に目的地があるわけじゃないし。

杖を起点として、簡易的にだが魔法円を描く。魔力の高まりに反応してか、周囲に光球のようなもの…恐らく、この世界における低位の精霊のようなものが集まってきた。よしよし。

魔力マナを糧にいきる小さき朋輩ともたちよ、どうか我が声に耳を傾けてほしい。行くべき道を喪った我に幸いの道を示してくれ」

光球たちは集合離散を繰り返しながら自分の周囲をぐるぐる漂っていたが、ついに結論が出たのか、一方向に向けて列をなした。彼らは自分がそちらに行くのがいいと判断したらしい。ありがたくそれに乗っかることにして、そちらへ向かって歩き出す。

さてはて、実際の経緯や、エディドヤの設定を話すわけにもいかないし、どういう身の上という設定で過ごそうかね。元羊飼いというのは確定として…必要なのは羊を失った経緯か。若干不名誉だが、悪い人に騙されて取られたことにするか。そうだな…酒場で酔い潰れたら覚えのない借金をしたことにされてて、借金のカタに羊を全部取られちまった、という感じで。

細かい事情はエディドヤの美貌で誤魔化そう。美人が悲しい顔をしていたらあんまり突っ込んだことは聞いてこないだろ。それが特に益もないことなら猶更。うん、そんな感じで。

どんな立場で過ごすのかは辿りついた町の文化や状況次第だよな…とりあえず羊飼いにはなれないだろうけど。あんまり沢山の人に関わる必要のない仕事がいいな…商売してるとこでのバイトは接客に回されそうだし最終手段かな…。エディドヤの目立ったスキルといえば、羊飼い関係以外は魔術と………魔術くらいかな…。魔術で身を立てる系のサムシング?どうだろうなあ…。ファンタジー的には冒険者系とかポピュラーだけど、自分戦うの嫌いなんだよな…そういや、この世界ってモンスターとかありな世界観だっけ?…ありだった気がするな…。何か戦う冒険者の絵とかあった気がする。

ってことは、人より先にモンスターに遭遇する可能性もワンチャン?やだな…。

「悪意よ退け、我が道を塞ぐに能わず。清き光よ道を照らせ、我が進む先に害なきように」

まあ日中だから光らせてもなって感じはあるが。何もしないよりはいいだろ、精神的に。

それにしても、何もない草原だ。いや、あいつは平原とか言ってたか。多少ぽつぽつ木があるくらいで遮蔽物がほとんどない。遠くまでよく見える。ただ、ところどころ小さな丘になっているところもあるようだ。自分は特に道などない15㎝くらいの高さの草っぱらを踏み歩いている。探せば道も見つかるのかもしれないが、今更めんどい。

自分を導く光の列に改めて目をやる。少々頼りないが、蛍かなにかにも見えなくはない。いや、虫ではないけども。喋りはしない、のだろうか。流石に低級すぎて発声ができないのか。まるっきり光球だもんな…標準的な精霊っていったらやっぱり、もうちょい…生物的な姿をしてそうな、そうでもないような…?まあ、この世界における設定を詳しく知らないしなあ…。機会があったら調べてみるか。





ルート分岐点

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