第7話 ディーンの活用と修道女?
イーファとフィンがノウカをやぶから引っ張り出した後、彼らは再び大木の根元に腰を下ろした。イーファはノウカの服に刺さったトゲを丁寧に抜いてあげていた。
「痛っ、痛いわイーファ。そんなに強く引っ張らないでよ、皮膚に刺さってるんだから」とノウカが零した。
「綺麗にしてほしいの、ほしくないの?」とイーファが尋ねた。
「ほ、ほしいです……」とノウカが答えた。
するとフィオナがピョンと跳びはね、彼らの前に立った。
「ねえみんな! ディーンって他にどんな使い道があるか考えたことある?」とフィオナが問いかけた。
「自然のエネルギーを放出するためだけのものじゃないのか?」とフィンが言った。
「私もそう思……痛っ!」とノウカが声を上げた。
「動かないでノウカ。それで、そんな質問をして何が言いたいの?」とイーファが尋ねた。
「ディーンってもっとすごいことに使えるんじゃないかと思うのよ」とフィオナが言った。
「もっとすごいこと?」と皆が首を傾げた。
「そうよ! 例えば溶岩に水をかけると固まるみたいに、ディーンだって凝縮できるんじゃないかしら」とフィオナが語った。
「興味深いわね。でも、詳しいことは学校に入学するまで待つしかなさそうね」とイーファが言った。
ノウカは急に立ち上がると、まるで剣を構えるようなポーズを取った。「見よ! 我こそは勇者なり! たぁっ!」
フィンは近くの小枝を拾うと、ノウカのお腹をツンツンと突いた。ノウカはくすぐったそうに身をよじらせた。
「お前が勇者なら、俺はパタロスヴィエの国王だ。思い知れ、偽物勇者め」とフィンが言った。
「あはは、くすぐったい! じゃなくて、くっ……なかなかの手応えだが、この私を倒すには程遠いな! これを受けろ!」とノウカは声を低くして叫んだ。
フィンは小枝を使い、ノウカは妄想の剣を使っていたが、不思議なことにフィンもノウカも、本当に本物の we 武器で攻撃を受けているかのようなリアクションをとっていた。
「あなたたち……本当に仲が良いわね」とイーファは頬杖をつきながら言った。
「ちょっとみんな! 私が言いたいのはそんなことじゃないわよ!」とフィオナが声を張り上げた。
「じゃあ、どういう意味なの?」とノウカとイーファが尋ねた。
「ええと……その、自分でも分からなくなっちゃったわ! あんたらが余計なこと言うから、何を言おうとしてたか忘れちゃったじゃないの!」とフィオナが憤慨した。
「忘れたことを蒸し返すより、ディーンの授与式で自分が授かるファミリア属性について話した方が有意義だと思うわ」とイーファが提案した。
「あ! たしかに」とフィンとフィオナが手を打った。
「ふふっ、イーファの方がフィオナよりずっと賢いわね」とノウカがクスクス笑った。
「なんですって!?」とフィオナは声を荒げた。
四人は再び大木の根元に並んで腰を下ろした。
「みんなはディーンの授与式で、どの属性が欲しいんだ?」とフィンが尋ねた。
「分からないけど、炎以外なら何でもいいわ」とノウカが言った。
「大抵『これ以外なら』って言ってるやつに限って、それが当たったりするんだよな」とフィンがニヤリと笑った。
「ただの迷信よ、私はそんなの信じないわ」とノウカが言い返した。
「炎が嫌いなの、ノウカ? もしかしたら将来の旦那様が炎属性かもしれないわよ」とイーファが言った。
ノウカは背筋に走った悪寒に跳びあがった。
「ひぃっ! そんな恐ろしいこと言わないでよイーファ! 炎を操るような人と一緒に暮らすなんて、考えただけで恐ろしいわ!」とノウカが身震いした。
「ははは! イーファが今思いつきで言った適当な迷信だろ。それに、迷信なんて信じないんじゃなかったのか?」とフィンが突っ込んだ。
「作り話だって分かってても、聞くだけでゾッとするのよぉ」とノウカが言った。
「ちょっとみんな! なんで将来のお相手の話になってるのよ!? 今は自然属性の話をしてるんでしょ!」とフィオナが制した。
「それじゃあフィオナ、お前はどの属性が一番好きなんだ?」とフィンが尋ねた。
「んー、分からないわ。授かった属性が、きっと私が一番好きになる属性なんだと思う」とフィオナが答えた。
「それって要するに選べないってことでしょ」とノウカが言った。
「じゃあノウカは、どの属性が一番欲しいの?」とイーファがノウカに尋ねた。
「ええと……私も分からないわ」とノウカが答えた。
「まったく、目くそ鼻くそだな」とフィンが呆れた。
「イーファお姉ちゃんはどうなの? 欲しい属性はある?」とフィオナが尋ねた。
「私? 私は炎属性が欲しいわね。かなり役に立ちそうだし、仕組みも理解しやすそうだから」とイーファが答えた。
「それって、遠回しに私のことが嫌いだって言ってるようなものじゃない……」とノウカがボソリと呟いた。
「お前は何をブツブツ言ってんだ?」とフィンが尋ねたが、ノウカは無視した。
「じゃあフィンお兄ちゃんは、どんな属性がいいの?」とフィオナが尋ねた。
「僕はどうだろうな……もし特殊反応とかが出たら、もっと勉強に身が入るかもしれないな」とフィンが答えた。
「不思議よね、どうしてそんな特殊反応なんてものが存在するのかしら?」とフィオナが首をかしげた。
「さあな。ディーンそのものが、用紙に対して特別な反応を示してるんじゃないか?」とノウカが推測した。
「いい説だなノウカ、僕もそう思うよ」とフィンがうなずいた。
「ねえ、そろそろ村に戻らない? ここでじっと座っているのも飽きてきたわ」とイーファが提案した。
「そうだな。どうせなら教会でも見に行かないか? 授与式本番で緊張しないように雰囲気に慣れておこうぜ」とノウカが言った。
「いいわね、行きましょうフィオナ」とフィンが声をかけた。
「うん、お兄ちゃん」とフィオナが答えた。
四人は並んで歩き、村へと戻り始めた。
「まったく、この葉っぱたちが少し邪魔ね。でもディーンのことも気になるけど、私はそれ以上にこれからのクラスメイトの方が気になるわ」とノウカが言った。
「クラスメイトか。そうだな、2歳も年下のフィオナを受け入れてくれるかどうか……」とフィンが呟いた。
「ちょっと! 私はみんなより少し若いかもしれないけど、実力じゃ負けてないんだからね!」とフィオナが口を尖らせた。
「はいはい、分かったから。それなら学校で証明してみせようぜ、僕たちだってあいつらに負けてないってことをな」とノウカが言った。
「優しい人や、私と同い年の友達ができるといいな、ふふっ」とフィオナが微笑んだ。
「あるわけないだろ。お前みたいに飛び級して9歳で1年生に入学するやつが他にいると思うか?」とフィンが突っ込んだ。
「それもそうね、ふふっ〜」とフィオナが笑った。
兄妹の会話を聞きながら、ノウカとイーファは呆れ果てた真顔を浮かべていた。
彼らは村へと戻ってきた。
しかし、立ち寄るような面白い場所もなく、ただぼんやりと村の風景を眺めて立ち尽くした。
「教会には行かないの?」とノウカが尋ねた。
「行くのはいいけれど、問題はこんな平日に教会に入らせてもらえるかどうかね」とイーファが言った。
「中の聖職者の方々に迷惑をかけたり、物を壊したりしなければ大丈夫だと思うぞ」とフィンが答えた.
四人は村の端にある教会へと向かった。
道中は会話のネタが尽きたのか、どことなく静まり返っていた。
「退屈ねぁ……」とノウカが漏らした。
「我慢しろよ、もうすぐ教会に着くから」とフィンが言った。
やがて彼らは教会に到着した.
ノウカが先頭に立ち、教会の重厚な扉を開けた。
「ごめんくださーい……」とノウカが声をかけた。
教会の中では、一人のシスターが床にほうきをかけているところだった。
「あら、子供たち。こんなところでどうしたの? ディーンの授与式はまだ一週間先でしょう?」とシスターが尋ねた。
「あ、いえ、暇つぶしに来ただけなんです」とフィンが答えた。
「何かお手伝いできることはありますか? 清掃とか」とイーファが尋ねた。
「あら、本当? それなら教会の掃除機と拭き掃除を手伝ってもらえると助かるわ」とシスターは微笑んだ。
四人は掃除道具を受け取り、手分けして作業を開始した。
ノウカとフィンが水を汲みに行き、残りの二人が先にほうきがけを始めることになった。
「いくぞフィン! 一番後ろのやつが先にほうきがけな!」とノウカが言うなり走り出した。
「おい! ずるいぞ!」とフィンも後を追って走り出した。
その後。
ノウカとフィンは水の入ったバケツを二つ抱えて教会に戻ってきた。
そして二人はなぜか一緒にほうきを掛け始めた。
「あれ? どうして二人ともほうきをかけてるの? 勝負はつかなかったの?」とフィオナが尋ねた。
「違うのよ、私が先に走ったからってフィンが怒り出しちゃって、勝負が無効になっちゃったの」とノウカが説明した。
「災難ね。それなら天井のホコリ払いを手伝って頂戴」とイーファが言った。
「脚立ならあちらにありますよ」とシスターが特定の方向を指差した。
「ありがとうございます」とノウカとイーファが声を揃えた。
二人は脚立を探しに向かった。
「落ちないように気をつけてね、この辺りは少し暗いから」とイーファが言った。
「分かってるわよぉ」とノウカが返 spatialした。
イーファは木製の脚立を見つけた。
「ねえノウカ、運ぶのを手伝って……ノウカ?」
イーファはノウカの姿が消えていることに気づいた。
「ちょっとノウカ、出てきなさいよ。冗談にならないわ」とイーファが言った。
その時、木製の脚立が倒れてきたが、幸いにもイーファは間一髪で回避した。
イーファの背後から、何かがそっと肩に触れた。
イーファは静かに振り返った。
「ばぁっ!」とノウカが脅かした.
イーファは一切表情を変えず、冷ややかな真顔のまま、ノウカの頬を思い切り叩いた。
*パシッ!*
静寂。部屋の中に気まずい沈黙が流れた。
外にいた他のメンバーにも、ノウカの叫び声が聞こえていた。
「あいつら中で何やってんだ? うるさいなぁ」とフィオナが呟いた。
「放っておけよ、どうせまたノウカがくだらないことやってんだろ」とフィンが言った。
イーファとノウカが脚立を運んで戻ってきた。
左頬を真っ赤にしたノウカが一人で脚立を担いでおり、イーファは何事もなかったかのようにすまし顔で歩いていた。
「一体何があったの……?」とフィオナが引きつった顔で尋ねた。
「触れないでおいてやれ」とフィンが囁いた。
ノウカは部屋の隅に脚立を立てかけた。
「これじゃ届かないわイーファ。脚立を使っても天井の端っこしか掃除できないもの」とノウカが言った。
「なら仕方ないわね。お互いに肩車をして、中央の天井を掃除するしかないわ」とイーファが言った。
ノウカが天井の端を掃除し、イーファが脚立を支え、やがて端のホコリは綺麗に払われた。
「ふぅ、あとは中央ね。フィンとフィオナはほうきがけ終わった?」とノウカが尋ねた。
「僕たちも終わったぞ。あとは中央の天井を掃除して、雑巾がけに入るだけだな?」とフィンが尋ねた。
「そうね。じゃあ順番を決めましょう」とイーファが言った。
ジャンケンポン!
あいこでショ!
あいこでショ!
「うぐ……これじゃ埒があかないぞ。毎回二人ずつ負けるんだから」とフィンが頭を抱えた。
「そうね、誰が一番下になるか決めなきゃいけないのに」とイーファが言った.
「私は体に負担がかかるから無理よ、一番小さいんだし」とフィオナが主張したが、ノウカから虚無の眼差しを向けられた。
四人はシスターを呼び、順番を決めてもらうことにした。
シスターがやってきた。
「あら、私に順番を決めてほしいのね?」とシスターが尋ねた。
「はい、お願いします!」とノウカが言った。
「ええ、いいわよ」とシスターは微笑み、こう告げた。
「順番は、一番下がフィンくん、次がノウカちゃん、イーファちゃん、そして一番上がフィオナちゃんね」
「えぇ!? 僕が一番下なんですか!?」とフィンが声を上げた。
「諦めなさい」とノウカが肩を叩いた。
こうして四人は体勢を整え始めた。
フィオナがイーファの肩に乗り、
イーファがノウカの肩に乗り、
ノウカがフィンの肩に乗った。
「ぐぐっ……重すぎるぞ……!」とフィンが悲鳴を上げた。
「耐えてフィン!」とノウカが叫んだ。
四人はバランスを崩して倒れないよう、慎重に、ゆっくりと天井の清掃を始めた。
「なあ……もう少し早くできないか……!?」とフィンが限界を迎えつつ尋ねた。
「我慢してフィン、焦ったら全員転落するわよ」とイーファがなだめた。
「くっ……分かった、分かったから早く終わらせてくれ……!」とフィンが懇願した。
四人は速度を上げ、手早く天井を拭き上げていった。
ついに清掃が完了し、フィンはその場に力尽きて倒れ込んだ。
「かわいそうに……」とノウカが哀れみの visual を向けた。
「もういいでしょう、彼を休ませてあげて。私たちは雑巾がけを進めましょう」とシスターが言った。
フィンを階段の脇に屍のように転がしたまま、残りのメンバーで教会の雑巾がけを進めた。
1時間後。
教会の隅々から窓ガラスに至るまで、全ての手当てが完了した。
「やっと終わったぁぁ! もう休んでもいいですか!?」とノウカが叫んだ。
「ええ、もちろんでございますよ。お家へお帰りになって大丈夫です。手伝ってくれて本当にありがとうございました」とシスターが深々と頭を下げた。
「いいえ、自分たちから言い出したことですから。それでは失礼します、ディーンの授与式でまたお会いしましょう」とイーファが挨拶した。
ようやく立ち上がれるようになったフィンを伴い、四人は教会の外へと歩み出た。
「はぁ〜、やっと終わっ—」とノウカが言いかけた瞬間、足をとられて教会の前の硬い地面に盛大にすっ転んだ。
皆さん、こんばんは! 次の章はいつもより長くなるかもしれませんが、短く分割したほうがいいでしょうか、それとも少し長めのままにしたほうがいいでしょうか? ありがとう〜




