第6話 木々の佇まいとフィオナの態度?
風がノウカの頬をそっと撫でて吹き抜けていく……。
鳥のさえずり、顔を照らす陽光、そして村の長閑な空気を満たすようにガラガラと回り続ける車輪の音。
ノウカはそれら全てを、あまりにも真剣かつ鋭い眼差しで見つめていたが、やがてガクリと首の力を抜き、頭をだらりと下に垂らした。
*ゴトン*
「いたっ」とノウカが声を漏らした。
ノウカは木に縛り付けられており、その隣には仲間たちが並んでいた。
「みんなぁ……そろそろ解いてくれても良くない?」とノウカが情けない顔で尋ねた。
「ダメに決まってるでしょ。さっき調子に乗りすぎたんだから」とフィオナが言い放った。
*回想*
4人は薬も取り扱っている植物店の中にいた。
会計カウンターにて。
「おばさん! この紫の粉は何?」とノウカが尋ねた。
「おいノウカ、ふざけるなよ。僕たちは薬を調合しに来ただけなんだから」とフィンが言った。
「いいじゃないフィン、ついでに新しいポーションを作ろうよ、へへっ〜」とノウカが言った。
「ちょっとノウカ、水の中に粉を入れちゃダメよ。溶けて絶対何か起きるんだから」とフィオナが注意した。
遠くから店主のおばさんが声をかけた。「フチがギザギザした葉っぱを水に入れて! 混ざるまで振ったら赤の粉を入れるんだよ!」
「分かったわ。イーファ、この水の入ったビンを持ってて。私が振るから」とノウカが言った。
「ちょっと、余計なことさせようとしてないでしょうね? やらかしたらタダじゃ置かないわよ」とイーファが言った。
「大丈夫だって。さっきおばさんがレシピ言ってたでしょ、水を入れてから赤の粉を—」とノウカが言いかけた。
「おいノウカ! 葉っぱが先で水が—」とフィンが叫んだ。
*シュシューッ!*
赤い煙の塊が部屋中に充満した。
「ゴホッゴホッ、ひゃあ! 目がぁ!」とノウカが叫んだ。
「だから言ったでしょうに、やらかすなって。5秒も経ってないじゃない」とイーファが呆れた。
「ゴホッゴホッ、みんなはどうして目が痛くならないのよぉ」とノウカが少し泣きべそをかきながら言った。
「店主のおばさんがいつも教えてくれるんだよ、煙を吸う時はマスクを使えってな」とフィンが言った。
「私も、それちょうだ—」とノウカが言いかけたが、フィンの手からマスクをひったくった店主のおばさんに遮られた。
「もう一度言ってみな、ノウカ?」と店主のおばさんが尋ねた。
「あ、あはは……ごめんなさいおばさん、悪気はなかったの、へへ……」とノウカが言った。
「この厄介者が!」と店主のおばさんはノウカの頭をポカリと叩いた。
*回想終了*
「ヒック……うぅ、ごめんなさい。わざとじゃなかったのに……」とノウカが呟いた。
「もうしばらくお仕置きよ! あんたみたいなやつに妥協なんて一切ナシ!」とフィオナが吐き捨てた。
「えええっ!?」とノウカは言い、その後すぐに顔から脱力した。
「僕たちまで一緒に怒られて掃除させられなくて良かったよな、そうだろイーファ?」とフィンが尋ねた。
「問題の根本はノウカなんだから、受ける必要のない災難を回避できたからって、いちいち感謝するようなことでもないわ」とイーファが言った。
*20分経過*
ようやく解放されたノウカは、フニャフニャになったソーセージのように地面に突っ伏していた。
「それじゃあ、あの大きな木へ向かおうか?」とフィンが提案した。
「そうね。フィオナはまだ行ったことがないでしょう?」とイーファが尋ねた。
「巨木? 私も行く! 一緒に行くー!」とフィオナが答えた。
イーファは米袋のようにフニャフニャなノウカを引きずった。
幸いにも数秒でノウカは自力で起き上がり、みんなと一緒に歩き始めた。
木に刻んだ傷など、昨日自分たちで作った目印を頼りに進み、彼らはあの巨木のもとへ辿り着いた。
「ふぅ、3回目となると来づらく感じるな」とフィンが言った。
巨根が地面から力強く飛び出し、中央に聳え立つ大木と緑の草原を、フィオナは見つめた。
「わぁぁぁ、大きい……」とフィオナが感嘆した。
「こうしてみると、こんな居心地の良い場所を見つけられて私たち本当にラッキーよね」とノウカが言った。
フィオナはすぐに駆け出し、太い根の一つに腰掛けた。
「おい! 走るなよ、転んだらどうするんだ?」とフィンが注意した。
「私の勝手でしょ(ふんっ)。私は賢いから、転ばないように計算して動いてるの」とフィオナが返した。
「まったく、本当にかわいくないやつだな」とフィンが呆れた。
ノウカ、フィン、イーファもフィオナの隣に腰を下ろした。
「本当に仲が良い兄妹ねぇ、ふふっ〜」とノウカがクスクス笑いながら言った。
「なんですって!?」とフィンとフィオナが声を揃えて叫んだ。
「え、えっ? ううん、ただの咳よ、ゲホッゲホッ」とノウカは誤魔化した。
「フィオナ、お前は手を掴め。僕は足を持つ」とフィンが言った。
「え? なにする気!? 近寄らないでぇぇ!」とノウカが叫んだ。
フィンとフィオナはノウカの両手両足を掴み上げ、そのままやぶの中へと投げ飛ばした。
「きゃああぁぁぁ!」とノウカが叫んだ。
「思い知りなさい!」とフィオナが言った。
「ナイスだ、妹よ」とフィンがハイタッチを求めた。
フィオナとフィンはパチンとハイタッチを交わした。
それらを遠目から見ていたイーファは、「まったく……おバカさんたちね」と呆れ顔で呟いた。
遅くなってごめんなさい……ひひっ、ごめんね〜




