第5話 街と新しい友達?
イーファはモリガンお母さんに頼まれて家の窓を拭いていた。朝日が彼女の顔と黒髪を照らし、イーファは自分の髪がじんわりと熱を帯びてくるのを感じた。
仕事を終えると、彼女はバケツを片付け、モリガンお母さんに遊びに行ってくると声をかけた。
「お母さん! 遊びに行ってくるね」とイーファが言った。
「はいはい、遊ぶ時はいたずらするんじゃないよ」とモリガンお母さんが答えた。
それからイーファは小走りで村の中央にある井戸へと向かった。
そこに到着すると、すでにフィンとノウカが彼女を待っていた。
「昨日の大きな木へ行こうよ」とノウカが誘った。
「当たり前だろ。何のためにここに集合したと思ってんだよ」とフィンが言った。
ノウカは痒くもない後頭部をポリポリと掻くと、一番後ろに立った。
三人は昨日行った森へと出発した。
現地に着くと、ノウカはすぐにその大きな木に登り、太い枝の上に腰掛けて周りを見渡した。
「ねえ見て! あそこに熟したベリーがあるわ」とノウカはやぶを指差しながら言った。
「まったくノウカは、食べ物のこととなると目ざといんだから」とフィンが言った。
その後。
フィンとイーファは木の根元に座り、摘んできた小さなベリーを食べていた。
一方、ノウカは頭上の葉や枝を探索しており、時折落ちてくる葉がイーファとフィンに当たっていた。
「おいノウカ! 上で何やってんだよ?」とフィンが尋ねた。
すると、ノウカが「いたっ!」と声を上げた。
ノウカは木の上から落ちてきて、青々とした草の上にドスンと着地した。
「痛たたた……」とノウカは赤くなった頬を押さえながら呟いた。
フィンとイーファは慌ててノウカに駆け寄った。
「何やってんだよ、ノウカ?」とフィンが尋ねた。
「痛っ、触らないでよぉ」と、イーファが頬に触れようとするとノウカが言った。
「どうしてそんなに頬が赤くなってるの?」とイーファが尋ねた。
「さ、さっきリスに噛まれたのよ、へへっ」とノウカは悪びれもせずに笑った。
「はぁ……どうせまたリスをからかったんだろ?」とフィンが問い詰めた。
「他の生き物を困らせる人には災いが降りかかるって、おじいちゃんが言ってたわ」とイーファが言った。
「う、うん、ごめんなさい……って、なんで二人して私を責めるのよ!」とノウカが怒った。
「まあまあ、お説教は村に戻って傷の手当てをしてからにしような」とフィンはノウカの手を取った。
フィンとイーファはノウカを連れて村へと戻った。
「ちょっと待ってよぉ、そんなに急いで走らないで、手を引っ張らないでよ!」とノウカが文句を言った。
息を弾ませながら村に到着したイーファとフィンは、ノウカをフィンの家へと連れて行った。
フィンの家に到着すると。
フィンは塗布薬と薬草を取り出した。
彼はそれをノウカの頬に塗り、上から薬草を貼り付けた。
「いたっ、どうしてもこれ貼らなきゃダメなの、フィン?」とノウカが尋ねた。
「当たり前だろ、化膿させたいのか?」とフィンが聞き返した。
「う、ううん……」とノウカが答えた。
「ひとまず手当ては終わったんだから、また外に出て遊びましょう」とイーファが言った。
三人は家を出た。ノウカの頬にはまだ薬草が貼り付けられたままだった。
遠くから、こちらへ向かって走ってくる人影が見えた。
フィンの母親だった。
フィンの母親は彼らに駆け寄ると、こう言った。
「フィン、お父さんと一緒に街へ行ってみないかい?」とフィンの母親が尋ねた。
「わぁぁ、街!? フィン! 一緒に行こうよ!」とノウカが声を弾ませた。
「え……お父さんが街に行かなきゃいけないようなこと、何かあったの?」とフィンが尋ねた。
「行商の用事だけじゃなくて、ちょっと大切な用があるのよ」とフィンの母親が答えた。
目を輝かせるノウカと、うなずくイーファの姿を見て、フィンもついに承諾した。
「わかったよお母さん、僕たちも行くよ。ところで、お父さんはどこ?」とフィンが尋ねた。
「お父さんなら馬車と一緒に村の門にいるわ。置いていかれないうちに走りなさい」とフィンの母親が言った。
「それじゃあ行こう、フィン」とイーファが言った。
「フィン、早く!」とノウカが促した。
「はいはい、分かったから、少し落ち着けよ」とフィンが言った。
三人は村の門に向かって走り出した。
遠くから、御者台に乗ったフィンの父親の姿が見えた。
「おお、お前たち、早く来い。そろそろ出発するぞ」とフィンの父親が遠くから声をかけた。
「きゃーっ! 待って、おじさん!」とノウカが叫んだ。
幸いにも、彼らは間一髪で馬車に間に合った。
こうして全員が出発した。
道中、彼らは遠くに野生のウサギを見つけ、草原を見つめながら、顔をかすめる風を感じていた。
「お父さん、行商の用事以外に、街で何をするの?」とフィンが尋ねた。
「それ以外か? 街にお前の妹を迎えに行くんだよ、フィン」とフィンの父親が答えた。
「い、妹? お父さん、それって……」とフィンが言った。
「わぁ〜、フィンの妹ちゃん! 私、一度も会ったことないわ」とノウカが言った。
「フィンの妹? どうして街で暮らしているの? 同じ村に住むノウカすら顔を知らないなんて」とイーファが尋ねた。
フィンの父親が答える前に、道の凹凸で馬車が大きく揺れ、ノウカとフィンは前に倒れ込んだ。ずっと馬車のフチを掴んでいたイーファだけは倒れずにすんだ。
「たたた……痛ぇな」とフィンが呟いた。
一方、ノウカはうつ伏せで倒れていた。
「ちょっとノウカ、死んだフリしないでよ」とイーファが言った。
「ハハハ、馬車の上で立ち上がる時は気をつけろよ、ボウズども」とフィンの父親が笑った。
やがて、遠くに街が見え始めてきた。
「見ろ、あれが目指す街だぞ」とフィンの父親が皆に教えた。
三人はすぐに馬車の脇に立ち、遠くに見え始めた街の方角を眺めた。
「あれが街なんだ……」とイーファが呟いた。
「うぅ……僕の妹、か」とフィンが呟いた。
「ところでフィン、妹ちゃんって今いくつなの?」とノウカが尋ねた。
「フィンの妹は今年で9歳になるんだ。2歳の頃から、叔母さんが自分ひとりで育てたいと言ってな、街で暮らしているんだよ」とフィンの父親が答えた。
「そうだったんだ……じゃあおじさん、これから妹ちゃんを迎えに行くの?」とノウカが尋ねた。
「ああ、お前たちと一緒に学校に入学させるためにな」とフィンの父親が言った。
「ええっ!? フィンの妹ちゃんも私たちと同じ学校に通うの!?」とイーファとノウカが声を揃えて叫んだ。
「お父さん、あいつ今年入学させても大丈夫なの?」とフィンが尋ねた。
「問題ないさ。あの子は賢いからな、司祭様もお前たちと一緒にディーンの入学選考を受けられるとおっしゃっていたぞ」とフィンの父親が答えた。
三人は黙り込んだ。9歳の子供と同じクラスになるかもしれないと考え込んでしまったのだ。
三人は車内に輪になって座り、話し始めた。
「フィンの妹ちゃんがそんなに賢いなら、学校に入っても大丈夫なのかな?」とノウカが尋ねた。
「どうしようもないわよノウカ、拒否なんてできないんだから」とイーファが言った。
「ああ、イーファの言う通りだ。受け入れるしかないな」とフィンが言った。
「お前たち、長話もそこそこにしろよ。もう街に入ったぞ」とフィンの父親が声をかけた。
三人は膝立ちになり、周囲の街並みを見渡した。
ノウカは街の中央に聳え立つ城を指差した。「見て! あれが王様のお城よ!」とノウカが言った。
「本当だ、大きな城だな。兵士たちが警備してるぞ」とフィンが言った。
「政治に関わるようなお偉いさんなら、厳重に守られていて当然ね」とイーファが言った。
「すごーい、イーファ! そんな言葉どこで覚えたの?」とノウカが尋ねた。
「お父さんの本を読んだことがあるの。政治とか生きの意味について書かれていたわ」とイーファが答えた。
「読む本があるなんて羨ましいな。そういえば、うちの妹も本を読むのが好きだったのを思い出したよ」とフィンが言った。
遠くに、服屋の看板が見えてきた。
「よし、着いたぞ」とフィンの父親が言った。
馬車から飛び下りた後、三人は店の外で待つよう言われ、フィンの父親だけが店の中に入っていった。
彼らが待っている間、時折客が店から出てきた。
「あ、まずは服屋に寄るんだな」とフィンが言った。
「え〜? もしかして、もう妹ちゃんに会いたくてウズウズしてるの?」とノウカが尋ねた。
フィンはノウカの鼻をピンとはじいて黙らせた。
その後。
待っている間、ノウカは家の窓ガラスに指で落書きをしようとしたが、フィンがすかさず彼女の頭をポカリと叩いて止めた。
「痛っ! なによフィン、そんな乱暴にしなくてもいいじゃない、痛いわねぇ」とノウカが頭を押さえた。
「他人の家の窓を汚すなよ、行儀が悪いぞ」とフィンが言った。
「うぅ……分かったわよぉ」とノウカが返 spatialした。
「まったく、あなたたちは本当に仲が良いわね」とイーファが言った。
そこへ、フィンの父親が服屋から出てきた。
「よし、それじゃあ妹を迎えに叔母さんの家へ向かうぞ、フィン」とフィンの父親が言った。
全員がすぐに馬車へと飛び乗った。
都市の熱気と日差しを感じながら、彼らは車内で横になった。
「あとどれくらいで着くの、フィン?」とノウカが言った。
「少しは落ち着けよ。お前は一体どこへそんなに急いでるんだよ?」とフィンが尋ねた。
ノウカはフィンの言葉を聞き流した。
やがて、一軒の家の前に到着した。
「お前たち、いつまで馬車の上で日光浴してるんだ、早く下りなさい。フィンの妹に会いたいんだろ?」とフィンの父親が言った。
全員が馬車から飛び下り、フィンの父親の後ろをカルガモの親 we ようにゾロゾロとついて行った。
「リーダーが先頭を行くべきね」とノウカが言った。
「はいはい、分かったから。おいで、僕の下僕たち」とフィンの父親は呆れながら言った。
彼はドアを開け、ゆっくりと家の中へ入っていった。彼らもその後をついて行った。
家のリビングでは、金髪の幼い少女が女性の服の片付けを手伝っていた。少女はペラペラとおしゃべりを続けており、女性は苦笑いを浮かべながら黙って話を聞いていた。
「パタロスヴィエの御名において、ご挨拶申し上げます」とフィンの父親が挨拶した。
「ええ、コルヴィエ兄さん。いらっしゃい」とフィンの叔母が言った。
「叔母さん、本当にフィオナも今年から僕と一緒に学校へ行くの?」とフィンが尋ねた。
「ちょっとそこのあんた! お口のうるさいお兄ちゃんね」と先ほどの少女が言った。
「年齢だけで私を見くびらないでちょうだい。私には大きな可能性があるって司祭様にも認められているんだから。あんたに文句を言われる筋合いはないわ、ふんっ」
「フィン、この子が妹ちゃんなの?」とノウカが尋ねた。
「ああ、フィオナっていうんだ。挨拶しろよ」とフィンが言った。
「フィオナ、か。良い名前ね」とイーファが言った。
「おいフィオナ、僕の友達を紹介するよ。こちらがイーファで、こっちがノウカだ」とフィンが言った。
「よろしくね〜」とノウカは少し腰をかがめて挨拶した。
「ふんっ、私に好印象を与えようとしてるんでしょ、おバカさん」とフィオナが言った。
「なんですってぇ!?」とノウカが声を低くして怒鳴った。
「私は礼儀正しく接してあげたのに、感謝もできないわけ!? ちょっと待ちなさいよ!」とノウカはフィオナを追いかけ回し始めた。
「キャーッ! たすけて、肉食獣がいるわ!」とフィオナが叫んだ。
「誰が肉食獣よ、こらぁ!」とノウカが言い返した。
「まったく、犬と猫みたいね。フィン、二人を仲直りさせてよ」とイーファが言った。
「お前たち! やめなさぁぁぁい!」とフィンの叔母が喝を入れた。
フィオナはその場にピタッと立ち止まった。
一方、急ブレーキをかけようとしたノウカは足をとられ、盛大にすっ転んでフィンに激突した。
「きゃーっ!」
*ドカッ!*
「ノウカぁ! てめぇ、覚えてろよな!」とフィンが叫んだ。
「ご、ごめんなさい……」とノウカが答えた。
あっという間に第5話ですね。ところで、皆さんは以前にこの物語を読んだことがありますか?
彼らの(また違った)日常については、もしかしたら別の章や新シーズンとして分けるかもしれません。




