第4話 温かな雑談と大木?
朝日が部屋の窓から差し込み、イーファの目を覚ました。
温かな光が顔を包み込み、彼女はすぐに体を起こした。
イーファは体を起こすと窓を開け、目をこすりながら顔を洗うために急いで階段を下りて行った。
顔を洗い終えると、ベッドを整えるために一度部屋へ戻り、それから母親の元へ行くため階下に向かった。
下からは煮込み料理とスープの香ばしい匂いが漂っていた。階下へ着いたイーファは、料理を手伝おうと母親に近づいた。
「お母さん、何か手伝うことはある?」とイーファが尋ねた。
「大丈夫よ、イーファ。もうすぐ出来上がるからね」とモリガンお母さんが答えた。
その時、裏口のドアが開き、裏庭からガルヴァンおじいちゃんが現れた。
「モリガン、ご飯はできたかい? 明日の分の薪ならもう割っておいたぞ」とガルヴァンおじいちゃんはドアを閉めながら言った。
「もうすぐですよ、お父さん。イーファ、おじいちゃんと一緒に食卓へ行きなさい」とモリガンお母さんが答えた。
「はい、お母さん」とイーファは小走りで食卓へ向かった。
イーファはおじいちゃんの隣の席に座った。
「おじいちゃん、ディーンから他に何か聞いてないの?」とイーファがおじいちゃんに尋ねた。
ガルヴァンおじいちゃんはイーファの言葉を聞いて低く微笑んだ。「イーファ、もっと詳しい勉強は学校で学ぶものであって、わしから学ぶものじゃないよ」
イーファはおじいちゃんの言葉に不満げに口を尖らせた。ガルヴァンおじいちゃんは孫娘の可愛らしい仕草を見てクスクスと笑った。
そこへモリガンお母さんがやってきて、シチューの入った大きな鉢と、木製のボウルやスプーンをテーブルの中央に置いた。
食事を終えると、ガルヴァンおじいちゃんは斧を手に取り、森へ向かおうとした。
「イーファ、わしはちょっと森へ行ってくるよ」とガルヴァンおじいちゃんが言った。
「お母さんも川へ洗濯に行ってくるわね。イーファも外へ遊びに行っていいのよ」とモリガンお母さんが言った。
モリガンお母さんとガルヴァンおじいちゃんは出かけて行った。
家に取り残されたイーファは退屈し、ドアを開けてその近くに座り込み、木製の柵の向こうに見える村を眺めた。
日差しはまだ心地よく、顔を撫でるそよ風も爽やかだった。
遠くから誰かが自分の家へ近づいてくるのが見えた。よく見るとノウカだった。ノウカは木柵の向こうから手を振りながら声をかけた。
「イーファ! 遊びに行こう!」
イーファは座っていた場所から立ち上がり、ドアを閉めてからノウカの方へ小走りで駆け寄った。
イーファが柵をくぐり抜けると、ノウカが声をかけた。
「イーファ、フィンを遊びに誘うのに付き合ってよ」とノウカが言った。
「わかったわ。フィンが今何をしているか見に行きましょう。暇かもしれないしね」とイーファが言った。
二人はフィンの家へと向かった。靴が青々とした草を踏みしめ、風が頬を撫でるのを感じながら、今朝の空気がとても澄んでいることを実感した。
途中で、やや強い風が吹き抜け、二人の髪をふわりと揺らした。
風が吹き抜けた方角である崖の方へ目をやると、遠くに水平線の果てと広がっていく青い海が見えた。
二人はそのままフィンの家へと歩みを進めた。
フィンの家に到着すると、前庭には誰もいなかった。
ノウカは大きく息を吸い込み、「フィン! 遊びに行こう!」と叫んだ。
しかし、返事はなかった。
二人はフィンの家の前庭に入り、家の裏手へと回り込んだ。
裏庭では、フィンと両親が畑仕事をしていた。ニンジンやジャガイモ、ビートを植えているようだった。
イーファとノウカは遠くからフィンに声をかけた。
「フィン、何してるの? 遊びに行こうよ!」とノウカが言った。
ノウカとイーファはフィンの元へ駆け寄った。
「フィン、私とイーファと一緒に遊ぼうよ」とノウカが言った。
「ちょっと待ってよノウカ、両親の農作業を手伝わなきゃいけないんだから」とフィンが答えた。
「フィンの邪魔をしないで、一回出直した方がいいんじゃないかしら、ノウカ」とイーファが言った。
すると直後、フィンの母親が近づいてきて、ノウカとイーファの肩に手を置いた。
「あらあら、お客さんだったのね。どうしてここに来たの?」とフィンの母親が尋ねた。
ノウカはフィンの母親に肩を掴まれて少しドギマギしながら、「あ、いいえ、ただフィンを遊びに誘いたかっただけなんです。ね、イーファ?」と言った。
イーファは「ええ、おばさん、勝手に入ってしまってごめんなさい。本当はノウカが勝手に入ってきたので、フィンの家の物を壊したりしないように無理やりついてきたんです」と答えた。
「えええっ!? なんで私のせいにするのよ!?」とノウカは自分を指差しながら叫んだ。
「まあまあ、お互いに責め合わないの」とフィンの母親が宥めた。
「おい、お前たち! ただそこに立っているくらいなら、少しは役に立ったらどうだ?」とフィンが言った。
「そうね、ノウカもイーファも良い子だから、おばさんの手伝いをしてくれるわよね?」とフィンの母親が笑った。
ノウカとイーファは顔を見合わせ、仕方なく「はい……」と答えた。
ノウカはフィンの近くへ向かい、イーファはフィンの母親に頼まれて家の中に飲み物を取りに行った。
「おいノウカ、間隔が近すぎるぞ」とフィンが言った。
「え? でも離しすぎたらたくさん植えられないじゃない」とノウカが答えた。
「ちゃんと育たなかったら意味ないだろ!」とフィンは怒ってノウカの頭をぽんと叩いた。
太陽が高く昇り始め、その暑さで皆汗ばんできた。暑さに耐えかねたノウカは、早く作業を終わらせようと焦り始めた。
幸いにもフィンの父親もやって来て手伝ってくれ、イーファも水の入った木製のコップを持って戻ってきた。
作業が終わると、皆は緑の草の上に座って水を飲んだ。フィンの父親と母親は木の椅子に腰掛け、彼らの様子を微笑ましく見守っていた。
ノウカは草の上にゴロリと寝転がり、「暑い……終わってよかった。ところでイーファ、私たちここへ何しに来たんだっけ?」と言った。
「もう、フィンを遊びに誘うために来たんじゃないの」とイーファが呆れ顔で言った。
ノウカは暑さで舌を出しながら、「あ、そうだった……」と呟いた。
ぐったりと横たわり舌を出すノウカを無視してフィンは水を飲み続け、イーファはノウカの顔に水を振りかけた。ノウカはまるで塩をかけられたナメクジのように身をよじった。
「ふふ、それで、みんなはどこへ遊びに行こうとしていたの?」とフィンの母親が尋ねた。
「川の近くにあるナラの木へ行くつもりなんです、おばさん。森の境目の近くにあるところです」とノウカが答えた。
「まあ、そうなのね。それなら気を付けて行ってらっしゃい」とフィンの母親が言った。
三人は立ち上がり、挨拶をして遊びに出かけた。
「ノウカ、あの木に遊びに行こうなんて珍しいな。最近ずっと行ってなかったのに」とフィンが言った。
「イーファに私たちの秘密の場所を教えてあげるためよ。まさかフィン、イーファに隠しておこうなんて思ってたの?」とノウカが尋ねた。
「そんなわけないだろ。ほら、足を早めろよ。あの木の近くにあるナシの木も、もうずいぶん見てないだろ?」とフィンが言った。
「何の話をしてるの?」とイーファが尋ねた。
三人は森の方へと小走りで向かった。
葉が擦れ合う音と足元の草木を揺らす風の音が、秘密の場所へ向かう彼らのBGMとなった。
「ほら、あそこよ。あのやぶの向こうに、二つの草原を分ける川があって、その近くにナラの木があるの」とノウカが言った。
彼らがやぶをかき分けてその場所を覗き込むと、大きなクマがナラの木の下で眠っていた。
「あはは……ナラの木に行くのは諦めた方がよさそうだな」とフィンは大きなクマを指差しながら苦笑いした。
三人は静かにその場を離れ、新しい場所を探すことにした。
「私たちの場所が太ったクマに横取りされるなんて思わなかったわ」とノウカがフィンに泣きついた。
「仕方ないだろ。またクマに遭遇しないように、森の境界線に沿って別の場所を探そう」とフィンが言った。
突然、一匹のリスがイーファの頭の上に飛び降り、そのまま木へと飛び移って逃げて行った。
「イーファ、大丈夫か!?」とフィンは倒れそうになったイーファの体を支えながら言った。
「大丈夫だけど……あのリス、まるで私の頭を足がかりにして跳んだみたいじゃない?」とイーファが言った。
「生意気なリスね! 追いかけるわよ!」とノウカが走り出した。
「ノウカについて行った方がよさそうだ、イーファ。迷子になられたら困るからな」とフィンが言った。
イーファはうなずき、二人はリスを追いかけて走るノウカの後を追った。
ノウカは行く手を阻むやぶや葉をかき分けながら進んだ。「どこ行ったのよ、失礼なリスは!?」
その時、ノウカは足をとられた。
「痛っ……この辺りの森、結構茂ってるのね」とノウカが呟いた。
イーファとフィンは追いつき、ノウカの元へ駆け寄った。
「おいノウカ! お前はいつも身勝手なんだから!」とフィンが言いながら、ノウカの手を取って立たせた。
「もうやめて、帰りましょう」とイーファが提案した。
引き返そうとしたその時、イーファは木々に覆われた背後の異変に気づいた。上から葉が落ちてきて、イーファの鼻の上に舞い降りた。
「ちょっと待って」とイーファが言った。
イーファが邪魔な葉や草をかき分けると、そこには太い根が地面から飛び出した巨大な木が立っていた。
「何これ……」とノウカは口をぐうっと開けて感嘆した。
イーファが見上げると、先ほどのリスがその太い枝の一つにちょこんと留まっていた。
「ここを、私たちの新しい秘密の場所にしない?」とイーファが提案した。
「いいアイデアだな」とフィンが同意した。
「決まりね! イーファがこの場所を見つけてくれたんだから、この木を私たちの遊び場にしましょう!」とノウカは飛び跳ねて喜んだ。
ノウカはその木に向かって走り出し、フィンとイーファもそれに続いた。
三人はそこに腰を下ろした。その巨木の周りには青々とした草原が広がり、ナシの木やベリーの木、そして刺のある植物がその空間を囲むように生い茂っていた。
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