第22話 巨神のソラ 1
予約し忘れで長らく放置してすみません
1※本当は以降の話を合わせて1話でしたが長すぎたので3話に分割しました。
2※本作は以降、MTTP ACC(AFTTP 3-2.8)の用語を一部参考にしています(完全に従っているわけではないのでご了承ください。
大尉殿の合図と同時に、機体のスロットルを少し開け、前進を開始する。
全力で前進はしない。まだ最初の目標の位置、量等は不明であるからだ。
ただただ編隊を組んで、自機の索敵装置の反応に目を凝らしながら、ゆっくりと前へ進む。
『トレーボーよりリーパー小隊へ、聞こえますか?』
来た。
「こちらリーパー、感度良好どうぞ」
『貴機より2時の方向下方27距離12000に敵艦載機隊を確認。機種不明、規模現在4個小隊。|三時の方向に向かって進攻中《FLANK》。データ送ります』
「了解、リーパー小隊迎撃に当たります」
IUDの右下、いくつかの新緑色の四角いマーカーが表示される。
アルプ、ピクシー、セルキーのIUDにも同じように敵機の情報が表示されたはずだ。
機首を向けスロットルを開き、敵への対応策を決める。
今回、目標時間として定められているのは1200。
どこぞの准尉曰くカップラーメンを作って食べて片付ける時間の倍はある。しかしこちらは何人前つくるともわからないのだ。なんなら敵にはAG型、AF型双方が参戦している可能性がある。できれば、QAAMはAF型対策のために取っておきたい。時間はいくらあってもいい。
「全機、目標の機体が判明するまでミサイルは使うな。AF型と判断できるまで使用を禁ずる」
『了解』
小惑星の合間をすり抜け、敵機に近づく。
自機のレーダーでも敵を捉えた。レーダーマップ上に四機ずつ正面上方から見て菱形に編隊を組んだ光点が四組、デルタの形を組んでいる。
現段階ではまだ、機種判別はできない。
やはり視界内に捉えなければだめか……
マーカーに表示されていた数字がどんどん小さくなっていく中、最低でも会敵時に背後を取れるように旋回しながらあわよくば敵影が見えないものかと目を凝らす。
距離が5000を切った頃、視界に一瞬太陽の光が煌めいた。
『シュン!BRAA五時under85』
「ああ、こちらでも確認した」
間違いない、目標だ。機体の上面に張り付いたクリップデルタ翼、それでも隠せない機体の先端からはみ出した155mm無反動砲……AG型モデルに間違いない。
「全機散開!敵はAG型、兵装はGANで十分だ。リーパーエンゲージ!」
『りょーかい、アルプエンゲージ』
『ピクシー、エンゲージ!』
『セルキーエンゲージ!』
4つの編隊にそれぞれ襲い掛かる4羽の鷲、無防備な背中を晒す獲物を逃すはずがない。
トリガーに指をかけ、距離が1500を切ったところで引き金を引く。
即座に敵機の進路上に真っ赤な弾幕が形成され、少し軸をずらしてロールすることにより、弾幕が逃さまい網のように広がる。
気づいていないのか、その気がないのか、AG型に酷似した目標は回避しようとはしない。
当然、敵は網に絡めとられキースの視界内で瞬時に3機が機能を停止した。
「リーパー撃墜数3」
『ピクシー、スプラッシュ2。再攻撃に入ります』
『セルキー、スプラッシュ2。同じく再攻撃に入ります』
『アルプ、スプラッシュ1、リーパー俺の分もとっといてくれよな』
「おや目標が被ってしまったか、すまないね。ただ、さっさと次へ行ったがいいと思うぞ」
『……チッ、アルプ再攻撃に入る』
反転し行なった第二次攻撃を開始した時点で残存する敵機は二個小隊8機。同じことを繰り返せば消える。
二次攻撃で敵機は全滅した。
そして再び、指示を待つため編隊飛行に戻ろうとほぼ水平飛行を行っていた時。
『こちらトレボー、リーパー小隊長機へ。BRAA四時の方向上方23距離3500に敵飛行4個小隊、六時の方向へ移動中』
振り向けば少し上方にマーカーが4つ。
「了解、全機迎撃にあたります」
おそらく敵はAF型、AG型の迎撃でミサイル、または時間を使った我々をドックファイトで仕留める算段だったのだろう。
馬鹿め、のんびりしすぎだ。現在こちらはその両方を有している。
「全機、武装制限解除。4発ずつでいい。ミサイルをたたき込んでやれ」
レーダーマップ上に映る16の点。4つずつに分かれた光点のグループの内の一つを
を丸ごと赤く染め上げる。遅れてほぼ同時に他のマーカーも青く変わった。
「リーパー、FOX3」
『アルプ、FOX3!』
『ピクシーFOX3!』
『セルキー、FOX3!』
ミサイルは迷うことなく白煙を吐き出しながら突き進む。
レーダーを見るときれいに組まれていたデルタ編隊は崩れ、あっという間に敵は散開していた。
その素早さからして、AF型に間違いはない。正対するならば、覚悟がいる。ただ、相手は我々ではなくQAAM。欺瞞装置を使おうと、小惑星を盾にしようと追跡から逃れることは出来ない。
十数秒粘ったようだが、レーダー上の光点は全て消失した。
いつもならこれくらいで終わる。そして今日は、作戦開始からカウントしても600も経過していない。
これまでの成果というやつだろう。
「全機スプラッシュ!」
『こちらトレボー、こちらでも確認できました。素晴らしい戦果です』
ただ……
『ただ、新たな反応を検知しました。BRAA十一時の方向upper26距離10000、貴隊に向かって進攻中。本作戦で一番大きな反応です。敵艦艇と推定されます』
ほらな。このレベルで最後の授業が終わるはずない。
「了解!リーパー小隊迎撃にあたります」
新たに追加されたマーカーへ向かって機首を向けスロットルを開く。
残兵装は機銃が半分、アハト・アハトがフル、QAAMが12発、QASMが4発。
機銃弾の残数に各機前後はあるだろうが有り余っていることに間違い無い。
最大限有効活用させてもらおう。
「リーパー小隊全機に通達、敵目標対処に際し、作戦概要を説明する……」




