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46/50

後日譚 ルイナ

流石に急ぎ過ぎた感はあるのでラストバトルあたりの流れは時間が出来た時に加筆修正します。

後半ダンジョン要素なくなってるのも問題ですよね……。

後は、主人公の活躍たりないとかあるんでしょうか?



書いてて思いましたが、もしかすると頑張ってる女の子が女の子に優しくされているのとかが好きなのかもしれない。



 あれから、一ヶ月。

 目一杯舞と遊んだり、色々後始末に回ってたから、最近会えてなかったルイナに会いにきた。


 「やっほー、ルイナ。元気してた?」

 「……何しに来たのよ」


 赤い椅子に座った状態のままジト目でこっちを見て来るけど、そこまで邪険にされているわけではない。

 感謝はしてるし無下には出来ないけど、なんでこの忙しい時に……みたいな感じ。


 「ルイナがそろそろ無理してる頃合いかなって思って」


 血を飲まないと自分が死ぬのに、私から血を吸うのを断るくらいには結構他人のことを考えてる。

 傷付けないために、他の人からも吸ってないしね。


 「そんなこと……」

 「あるでしょ? 死にたいの?」


 至近距離まで近付いて、両手で頬を挟む。

 反抗的な赤い瞳は、怯えつつも気丈に私を睨み返してきた。


 ツンツンしてるルイナも可愛いけど、もうちょっと甘えてくれてもいいのにね。

 ……まぁ、方法はあるんだけど。


 ルイナは裏切り者として同族……特に友達とか家族に命を狙われたり、信用できる人がいない中で向こうの私たちに助けを求めたり、同族を守るために女王になったりと、色々あって優しくされたことがかなり少ない。

 友達も、遊び相手というよりはライバルみたいな感じだし。

 家族も、厳しい人だったみたいだし。

 信用できるかもわからない人間に囲まれている状態で、甘えるっていう弱みを見せる行為をするのはかなり難しいだろうし。

 女王になったら、今度は周りに気丈に振る舞うことを求められるし。


 まぁ要は、かなり精神がすり減ってる状態なわけだ。

 だから、優しくされるのに慣れてない。


 数秒見つめあった後、微笑んで優しく抱きしめる。


 「え? え?」

 「ルイナ、よく頑張ったね」


 混乱しているルイナの頭を撫でながら、周囲の人払いをする。

 あんまり見られたくないだろうし。


 「私はルイナの味方だよ。困ったことがあったら、遠慮なく相談して? 一人で頑張るのは辛いでしょ?」


 語りかけるように、ゆっくりと話していく。


 「もう、一人だけで頑張る必要はないんだよ」


 一人で無理をしないように、魂に刻みつけておく。

 もう、ルイナも身内みたいなものだし。


 「っ! だ、だめ!」

 「だめじゃないよ。ルイナはもう十分頑張ったから、休んでいいの。甘えていいんだよ」


 段々と弱々しくなっていく抵抗を、全部受け止める。


 そのまま優しく撫でていると、小さく啜り泣く音が聞こえてきた。

 やっと、張っていた糸が切れたらしい。



 背中を軽くさすりながら、泣き止むのを待つ。


 一頻り泣いたルイナは、羞恥から赤くなった顔を隠すために、私の胸に顔を埋める。

 私を離すまいと服を掴む姿は、見た目も相まって子供っぽくてかわいい。


 「……大丈夫?」

 「……ん」


 随分と塩らしくなったルイナの精神に、シールドをかける。


 「血、飲むでしょ?」

 「……いいの?」


 上目遣いでそう聞き返して来るルイナに頷いて、指を差し出す。


 「……そういえば、首から吸った方がいいとかあるの? 基本首から吸ってる気がするけど」


 ふと、気になった。

 なんとなく、吸血鬼が吸う時は首からなイメージがある。


 「ん、ぐ……。多分それは……血管が表面から比較的近くて吸いやすいのと、首から吸えるってことは至近距離まで近付けていて、逃げられないように捕まえられるから……だと、思う」


 確かに、首に噛み付けるなら既にほとんどの場合支配下に置けてる状態だと思うし、逃げようとしても難しいかも。

 吸いやすいなら、別にそっちでもいいけどね。


 「じゃあ、首から吸う?」

 「……ううん、やめておくわ。あなたの血、美味しすぎて飲み過ぎちゃいそうだから」


 味は多分、神になったからだと思う。

 人体実験で、大元は一般人と変わらなくても細部に違いが出てることがわかってる。

 吸血鬼にとって何が美味しいと感じるかはわからないけど、少なくとも普通の人の血よりは栄養満点らしいね。

 単純に、相性がいい可能性もなくはないか。


 「多少多く吸われても問題ないよ?」


 これは本当に問題ない。


 「私が問題あるのよ……」


 満足するまで吸えたのか、ルイナが指を離す。


 「そうだルイナ、せっかくだし名前で呼んでよ」

 「……何がせっかくなのかもわからないし、なぜ突然そうなったのかもわからないのだけれど?」

 「いいじゃん、人権確保とか手伝ってあげるからさ」

 「う……」


 まぁ、別に呼んでくれなくても手伝うけど。

 私の責任だし。


 ルイナが頭を悩ませている差別や人権問題。

 すぐに全員が受け入れるのは無理かもしれないけど、幸い吸血鬼が誰かを襲ったとかの報告も事実もない。

 日本だし、危険がなければ割となんとかなると思うんだよね。

 と言うか、なんとかするけど。


 「魔、華……」

 「ん! じゃあ、この辺りをなんとかするね。週一くらいで吸いにきていいから! 多分家にいると思う」


 恥じらいながら名前を呼んでくれたので、積み上げられた書類のうち、私が出来るものを9割持っていく。

 全体の半分くらい。


 「なんなら毎日でもいいけど、忙しいでしょ?」

 「……週2、会いにいくから」

 「了解、待ってるね」


 思ったよりも素直になってくれたルイナに満足して、部屋を出る。

 これからも、仲良くしていきたいね。




吸血鬼に吸血された時の痛みと快感は1:9で快感が強いです。

唾液に痛みを抑える効果があるので。

尚主人公には効果がない模様。



後風雪兄妹、主人公じゃない方の魔華、柊兄妹は書く予定です。

風雪兄妹が父親に関して、他二つは未来に対しての話になるかな……。

少なくとも戦闘はないと思います。しようがないですし。

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人体実験? 精密検査じゃないの!?
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