↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/50

29 想定外



 「……何かな」


 リダは動きを止めて、私の方に向き直る。


 「この前は聞きそびれたから、今聞かせて」

 「内容によるかな」


 笑顔を貼り付けたまま、私に続きを催促する。


 「先駆者がランダムで選ばれたって言うのは聞いたけど、なんで先駆者以外の人が強くなれないような設定なの?」


 気になっていたけど、結局聞けなかったこと。

 地球上の生物を強くするって言ってるのに、実際の恩恵を受けているのは私たちごく少数だけ。


 「…………。聞かない方が幸せかもしれないけど、それでも聞きたい?」


 長い沈黙の後、観念したようにそう呟く。


 「もちろん」

 「……そっか」


 そう言うと、考え込むように黙り込んでしまった。



 「……でも、やっぱり言えないや。ごめんね」


 長考の末、話さないことを選んだリダは、私の手を振り解こうとする。


 ……逃さないから。


 「リダ! ……ううん。蓮弥君、だよね」


 私が腕をさらに強く掴んでそう言うと、リダの目がゆっくりと、驚いたように見開かれる。


 その反応で、確信する。

 見た目も声も全然違うから気がつかなかったけど。


 「なんで、そう思うのかな」


 私が最初にそうかもしれないと思ったのは、白愛結が別世界の人間だと知った時。

 それなら、リダも同じ世界の人でもおかしくないし、まずそう仮定して考えた。


 そして、蓮弥君と愛結ちゃんにはシステム的に共通点がある。

 職業選択の時の、愚者。

 蓮弥君は大罪スキルを持っていたからまだわからなくもないけど、愛結ちゃんは持ってないし、生きてきた道もかなり綺麗なもの。

 それに、大罪スキルが影響しているなら私にないのがおかしいんだよね。


 でも、それだけじゃ断定できなかったけど。

 リダに聞いた、リダが思う一番大きな罪が『世界を跨ぐこと』。


 それに、声の高さが違うから気にならなかっただけで一人称は同じだし口調も近い。

 ……まぁ、これは後付けかな。


 「愚者って、世界を跨いだ人がなれる職業なんでしょ? 別の世界に、移動した人間が」

 「……だったら、どうするのかな」


 もう一つ。

 リダが蓮弥君なら、これも多分あってるかな。


 「神になった、壊れた少女って向(・)こ(・)う(・)の(・)私(・)だ(・)よ(・)ね(・)」


 それなら、いろいろ説明がつく。

 前は、神がなんでも出来ると思ってたからこの結論にはならなかったけど。

 万能じゃなく、出来ることが限られてるなら、私達のやってきたことをわかる人間なんて私くらいしかいない。

 多分、雷とか風とかの属性は元々の神様が作ったもので、精神攻撃系だけ、向こうの私が担当したんじゃないかな。


 全部、憶測に憶測を重ねたものだけど。

 でも、お兄ちゃんの忠義に、神になった少女が神様に会うために生贄になった兄。

 傲慢の、神へと至る資格。


 私に、同じところまで上がってこいってことだよね。


 「…………本当に、甘く見てたよ」


 天を仰いで、目を伏せて、諦めたように力を抜く。


 「……うん。両方正解。そこまでわかっちゃったなら、隠す意味もないかな」


 そう言って、リダは話し始める。


 「まず、こんなに極端になった理由だけどね……想定外が二つあったんだよ」

 「想定外?」

 「そう。一つが、侵略者の侵攻が思ってた数倍早いこと」


 ……なるほど。

 これが、言いたくなさそうだった理由かな。

 危機的状況だってこと。


 「もう一つが、先駆者って元々東京以外ランダムだったんだけど、狙ったのはこっちの僕とスズだけなんだよね」

 「つまり?」

 「柊さん、完全に巻き込まれただけなんだよね……」


 リダは苦笑いを浮かべながら、頭を掻く。


 ……まぁ、まぁ。

 うん。


 「……まぁでも、そのお陰で希望があるわけなんだけどさ」


 急に真顔になって、そう呟く。


 「つまり理由としては、『全体を満遍なく育ててる余裕がなく、且つ柊さんのおかげで少人数でもなんとかなりそうだから』だよ」


 割と、切羽詰まってる状況な訳か。


 「……わかった。単刀直入に言うけど、神になるにはどうすればいい?」

 「……わからない。こっちの柊さんから聞いてないから」


 ……神様に会うしかない……のかな。

 でも、生贄にしたくはない。


 「じゃあ、神様に会う方法はない?」

 「生贄にする方法しか……いや」


 閃いたように、表情を明るくして。


 「一つ、ある。こっちの僕がルイナを倒した時に出した、聖剣なら——空間を切れる」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。