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19 白愛結

明日投稿の予定でしたがせっかくなので出しちゃいます。

明日分なので明日は更新ないかも……あるかも……



 「本当に、申し訳ございませんでした」


 目の前には、冷たい床に頭をつけて土下座する女子小学生、愛結ちゃん。

 前にあった時と印象が違って、困惑する私。

 絶対零度の視線を向ける蓮弥君。

 愛結ちゃんのことを庇う被害者の鈴ちゃん。


 かなり混沌を極めている。

 私たちが到着したくらいにMPを超えて魔法を使ったせいで気絶して、私が起きる前に起きたらしい。


 「蓮弥君、怒るのはわかるけど、怒りをぶつけるのはそっちじゃないよ」


 振り向くと、白い愛結。

 双子とかそういうことではなく、正真正銘両方愛結ちゃん。

 私があったことがあるのは土下座してる方で、キレているのは白い方。

 鈴ちゃんを傷付けたのは、白い方だから。


 そして、私の東京支配アナウンスは彼女の声。

 聞いたことがある、懐かしい声だと思ったのは、愛結ちゃんと同じ声だから。

 白愛結は簡単に言うと、別世界の人間だ。

 つまり、リダも別世界の誰かの可能性が高い……と思う。

 白愛結は精神干渉が通ったんだけど、リダは通らないんだよね。


 「愛結ちゃん、ほら、起き上がって」

 「魔華さん、ありがとうございます」


 手を差し伸べると、足をぷるぷるさせながら立ち上がる。

 ……足が痺れたのかな。


 愛結ちゃんは、私を止めてくれた少女。

 当時は、もう少し「優しいけど重い」感じだったんだけどね。


 今でも、感謝してる。


 「どうしてこうなったのか、教えて?」





 諸々の事情を聞くと、やっぱり全て……いや、9割くらい白愛結のせいだった。

 簡単に言えばまず、愛結ちゃんに白愛結が接触したところから始まる。

 地球を救うためにダンジョン教を広めろと指示して、愛結ちゃんが布教を始める。

 私たちがダンジョンを攻略。

 私たちが教えの神の子に当てはまってしまったせいで、信者の数人が勇足をした。

 愛結ちゃんは合意を得てから試練を始めようとしたけど、白愛結が強行。

 傷付いたのも白愛結のせいだし、傷付けたのも白愛結。


 「どんな経験をして来たのかは知らないけど、大切なものに手を出すなら容赦しないよ」


 愛結ちゃんがこうなった理由は、きっとあったんだろうけど。

 それでも、私は許さない。

 もう、奪わせない。


 「……すみませんでした」


 笑顔で言われても、反省の色が見られない。


 「そうでした、試練の達成報酬をお渡ししますね。まず鈴音さん、雷帝を雷神に昇華させます」


 そう言うと、鈴ちゃんの額に手を置き、何かを呟く。


 「……はい、これで大丈夫です、確認してみてくださいね。魔華さんと蓮弥さんはSPでも渡しておきます。痛かったんですよ?」

 「殺してやろうと思ってたし」

 「僕も」


 まぁこれは同期のせい。

 なんかこれ、使用すると対象の全てを共有した上で、感情とかをたすみたいなんだよね。

 スキルとかもだから、メリットにもデメリットにもなる効果。

 ちなみに、多分結構な人が蓮弥君の過去に耐えきれないと思うなー?


 「……鈴音さんが止めてくれて良かったです」


 あれ以上やってたら、私の心身に異常が出るんだけどね。

 私としても、止めてくれてよかった。


 「なにはともあれ、鈴ちゃんが無事でよかったよ。あ、写真撮ろ? 無事だよって連絡しなきゃいけないし」

 「じゃあ僕が撮るよ。愛結さんも並んで」


 私がスマホを取り出すと、蓮弥君が真っ先に撮影係を申し出る。


 「いいんですか?」

 「私は全然」

 「私も大丈夫ですよっ!」

 「……でしたら、お言葉に甘えて失礼します」


 鈴ちゃんを真ん中に、撮影。


 「柊さんに送っとくね」


 蓮弥君から送られてきたものを、関係者に送信。

 ついでに、今日開設したばかりのつったかたーにも貼り付ける。


 すぐによかね・りつったかされて行く写真を見つつ、スマホの電源を落とす。


 ……今回は、悪意がほぼなかったから無事だった。

 今回は、完全な過失ではなかったから無事だった。

 今回は、計画性のある事件だったから無事だった。

 今回は、取り返しのつく事だったから助けられた。


 「じゃあ、かえろっか。鈴ちゃんも疲れてるよね」

 「流石に……疲れました」


 困ったような笑みを浮かべる鈴ちゃんを、そっと抱きしめる。

 もう、手放さない。


 同期のせいか、私と蓮弥君もだいぶ消耗した。

 蓮弥君と目があって、苦笑する。


 「当分、同期は封印かなぁ」

 「だね」

 「愛結ちゃんも、うちにおいでよ」


 6年前、両親が既にいない事を聞いた。

 その時は拒否されたけど、今回はちゃんと連れて帰ろう。


 「え、でも、私……」

 「いいからいいから!」


 愛結ちゃんの手も取って、逃がさないようにする。

 外で清水さんも待っているし、早く行こう。

 5人なら……まぁ、大丈夫でしょ。


 少し歩いて、鈴ちゃんの手がすり抜ける。

 どうしたのだろうと振り返ると、目尻に涙を浮かべ、私たちに微笑む鈴ちゃんがいた。





 「お兄ちゃん、せんぱい。ありがとう」


 廃墟の窓から差し込む温かい光が、優しく照らしていた。



これにて二章終了です。


もうちょっと丁寧に行くつもりだったはずなんですが、いつの間にかこうなってました。前倒ししたせい。


少しでも面白いなと思ってくださりましたら、ぜひブクマ・評価・いいねなどしていただけると作者のモチベにつながります!

また、一言でも感想いただけるととても励みになります。

誤字脱字衍字誤変換も見つけ次第、ご報告いただけると幸いです。(なるべくないように心がけてはいますが……)

ご意見アドバイスも受け付けてます。



若干展開ありきになってきてしまっている気がします。

まぁ修正はするなら完結後にですね……

書き切るまでに気力が続くかが問題。



以下二章の掲示板回後書きに置いてありましたが、流れを損ないそうだったのでこちらに。


つったかたーは名前が思い浮かばなかったんだっ……!

「呟木」とかにしようかとは少し思いましたが、伝わらなければ意味がないと思ったので没。


それと、誤字報告送ってくださった方、ありがとうございます!

どうしても一人だと確認漏れがあるので、本当に助かります!

15話の「〜思ってたや」は誤字ではなく、少し打ち解けてきた事を表したかったんですが、やっぱり違和感が大きいですかね……?

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