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三章始めます。

が、この回は物語が進むわけではないのでみなくても多分なんとかなります。

気になる人は気になる設定をおいただけ……みたいな。

今章は主人公に関して掘り下げる予定です。




 鈴ちゃんの誘拐から、早二ヶ月。

 私たちは、46都道府県の解放に成功していた。


 その内容は多種多様で、人型の魔物ばかりのダンジョンとか、ロボットしか出てこないダンジョンとかの一部厳しいものもあった。

 まぁ、人型の魔物のダンジョンは私が、ロボットのダンジョンは鈴ちゃんが無双したけど。

 ロボットは鈴ちゃんの雷撃波で故障してたからね……ボスですら。

 ちなみに、今はダンジョン攻略を3人でするときもあれば、愛結ちゃんを連れて行くこともある。

 白愛結は愛結ちゃんをお持ち帰りしたら着いてきた。

 一応大事な情報源だから家に置いてるけど、許してないよ。

 危惧されていたダンジョンの追加は今のところ無くて、長野のあれが寧ろ珍しかった感じかな。



 目標の一つである蓮弥君の寿命回収はそこそこ順調で、ついに15年に到達したらしい。

 まだまだ全回収には遠いけど、死ななければ余裕はある。



 既に解放していない地域……最後の一県とか海とかには魔物が出現し出してるけど、幸いダンジョンで出てくる魔物よりも弱くて、警察の尽力によって被害はあんまり出てない。

 あと、私たち以外の先行攻略者達もこっちを担当してる。


 ダンジョンには人手が足りないのとスキル無しではほぼクリア出来ないと上が判断した結果、今は私たちくらいしか入ってない。

 結構賢明な判断だと思う。

 実際、海外で何回か銃を持った志願者が突入してたけど、全滅してたし。

 ……まぁ、警察とか自衛隊が入らなくても良くなるように、少しだけ私も協力したけどね。


 銃とか兵器とか、全く効果がないってわけじゃないんだけど、魔力がこもってないと効き目が薄いんだよね。

 ここで言う魔力はMPと同じもの。

 ルイナから聞いた話によると、魔力のこもっていない実弾銃は、当たっても玩具のエアガンでBB弾を打ったのと大差ない威力らしい。

 『痛いけど別に死にはしないかな』みたいな。


 私たち以外の先行攻略クリア者は、要人警護で自由に動けてないらしい。

 ニュースで色々議論されてた。

 例えば『私たちが日本の解放を終わらせるのを待って、手伝わせるつもりなのではないか』だとか。



 この二ヶ月で、過疎地から大量移住とか、東京の人口が急増したりだとか色々あったけど。

 肝心のダンジョンの謎に関しては、あんまり進展がない。

 理由としては、一番情報を持ってそうな白愛結が『ダンジョンをクリアしろ』『強くなれ』しか言わないことが大きい。

 愛結ちゃんはほとんどなにも知らなかったしね。

 一応『一定のラインまで強くなったら説明する』って言質は取れたけど、これはあんまり期待してない。

 そのラインがわかんないし。


 ルイナとの関係は、少しずつ良くなってる。

 具体的には、家でくつろぐ程度には。


 「これ、このケーキ食べたい」


 寧ろ、だいぶ図々しくなった。


 「はいはい。食べた分は手伝ってね?」

 「わかってるわよ」


 ルイナが指差したチョコレートケーキを、ネットで注文する。

 お金はあるからいいんだけどね。



 現状ダンジョン関連のことについてわかっていることは、そこまで多くない。

 まず、ダンジョンを出現させることでなにをしたいか。目的。

 これは『地球上の生物を強くする』ってことだけど、それにしては人間以外を強くしようとしているようには見えないし、その人間に関しても先行攻略者しか基本強くなってない。

 この先行攻略者もどんな基準で選ばれたのかもわからないし。

 なんと言うか、中途半端かつ範囲が尖り過ぎな気がする。


 なぜ出来たのか。

 これは『リダ、白愛結たちが作ったから』が現状最有力。

 不確定な部分が多過ぎて、ほとんど分かってない。


 リダたちは何者なのか。

 これは『この世界と似ている別世界の誰か』だと思ってる。

 少なくとも、白愛結はその記憶を持ってるから可能性が高いと思う。

 ただ、こう言う記憶を読み取らせておきながら表面しか干渉できないようにしているあたり、まだ何かありそうな気はする。


 システムとは何か。

 スキルとか、かなりゲームっぽい。


 これは、コアスキルを集めればわかるんじゃないかなと思ってたりするんだよね。

 実際、これでわかったこともあるし。

 ダンジョン攻略でSPを貰えるから、結構集めてたりする。


 現状、私は〈傲慢〉〈楽園〉〈叡智〉〈原初〉〈正義〉、準支配者の〈召喚〉〈魔王〉を持ってる。

 私が正義とか、なんの冗談だって感じだけど。

 もっとふさわしい人がいるのにね。


 蓮弥君は〈嫉妬〉〈怠惰〉〈寛容〉〈分別〉〈深淵〉〈絶望〉の六つに加えて、準支配者スキルの〈献身〉〈忍耐〉〈謙譲〉を持ってる。

 東京ダンジョンの時からあんまり増えてないけど、それでも多いよね……。

 ちなみに私と同期して、且つ鈴ちゃんの〈深奥〉発動時限定で〈憤怒〉〈強欲〉〈勤勉〉の権能も使える。

 どう言うシステムなんだろう。


 鈴ちゃんは〈雷神〉の他に、〈信仰〉の支配者スキルを取った。準は〈雷帝〉が消えて〈深奥〉だけになったね。

 あとはルイナが〈色欲〉、愛結ちゃんが〈慈愛〉、お兄ちゃんが〈忠義〉を持ってる。

 お兄ちゃんとかいつの間に取ったんだろ。

 と言うか、足が動かないのにどうやって……?


 ……まぁ、今はいいや。

 後で聞けばいいし。

 明後日くらいに久しぶりに、お見舞い行こう。

 あの時のことを思い出しちゃうから、あんまり行きたくないんだけど。


 コアスキルが幾つあるのかわからないけど、予想ではまだ結構残ってる。

 例えば、七大罪の暴食とかはありそうだよね。

 純潔もありそうだし、あとは叡智を知恵と判断するなら、七元徳から勇気、絶望があるし希望もありそう。

 愛は慈愛と別枠にあっても愛結ちゃんが取れそうなのに、結構SPを貯めても出てこないあたりなさそうかな。


 他には、属性毎になんちゃら神がありそうだなーって思ってる。

 雷神と闇神、風神は確認できたし。

 剣神とかはわからないかなぁ。



 「さて。後一つ……何か起こるのかな?」

 「どうでしょう。何かあってもおかしくはないとは思っています」


 東京を1区域として認識してるのは確認済みだから、日本全解放で何かがあってもいいとは思ってる。

 ただ、全世界全てのダンジョンを攻略して、解放しなきゃいけない可能性も考えてるけどね。



 「今日はお休みだし、買い物でもいく?」


 愛結ちゃんに声をかけつつ、カバンの中身を整理する。

 割と攻略急いでたし、最後の県を攻略すると何かあるかもしれないと思ってるのは私たちだけじゃないから、先に休息を取ることになったんだよね。

 情報収集は他の人に任せて、私は遊ぶかごろごろする。

 ちなみに学校は休校してたけど、一ヶ月前から再開した。

 私たちは休み。

 と言うか行くなって言われてる。


 「……魔華さん、休んだほうがいいですよ?」


 愛結ちゃんはそう言って、心配そうに私の顔を覗き込む。


 「……そんなに、疲れてるように見える?」


 笑顔を作って、そう返す。

 そんなに表に出してるつもりはなかった。


 「……はい。もう一週間は寝てませんよね」


 あれ?

 ……隠せてるつもりだったんだけどな。


 笑顔のまま固まった私を見て、愛結ちゃんはため息をつく。


 「……だめですよ。休める時に休んでください」


 そう言って、背後から私の目を手で覆う。

 そのまま、私の体を後ろへゆっくりと倒した。

 愛結ちゃんの膝に、頭を置かれる。

 善意100%だからこそ、抵抗する気になれない。


 「ルイナさん、そちらの布団を取ってください」

 「ん。はい」


 布団をかけられ、優しく頭を撫でられる。


 「おやすみなさい」




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