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キマイラ転生  作者: てつまめ
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プロレス理論

 ルベリオスの思惑が分からぬまま、ただサクッと殺すのも勿体無いと脳内会議にて結論が出たリオン達は、彼女の魔法技術や技能、戦闘術を真似ぶ事にした。

攻撃役はロンとオピス、ツバサに託してリオンは観察に徹していた。

ロンの灼熱ブレスによる範囲攻撃で行動を制限して、オピスの土魔法によって移動先を先回りして地からタケノコの様に杭を生やす。

ツバサはロンとオピスが空けた隙間に良い感じに弱闇弾で狙い撃ちしている。

それに対し、苦しそうに肩で息をしながらも反撃と回避を上手にこなすルベリオスにリオンは感心した。



(俺等が手加減してんのは理解してんだろうが、それにしても上手く立ち回る奴だな。反撃箇所も普通の生物なら正確だな)

(お主は攻撃をバカスコ受ける癖があるからのぉ、しっかり学ぶのじゃぞ)

(あぁ、はいはい)

(仕方のない奴じゃ。人の時はしっかり避けてたくせにのぉ)

(ん?そうだっけか?なんでお前、俺より覚えてんだよ)

(バカなお主と比べるでないわ!!)

(いやお前も……まあいいや。俺はバカじゃねえからそのうち思い出すだろ)



 話を切ると再び戦闘を観察する。

そこそこの速度で飛ぶ氷の槍がロンの右眼を貫く。

特に気にする事なくロンは炎弾を5発撃つ。

着弾の衝撃を計算して飛び退き、4発を回避したルベリオスの目の前に時間差に放った最後5発目の炎弾が迫る。

しかし焦らず、氷の盾と風魔法を駆使して問題無く回避する。

反撃の魔法を放とうとルベリオスがロンに視線を向けるが、すぐにハッとして攻撃を中止してその場を飛び退く。

ロンは口角を引き上げていた顔を不満顔にシフトした。

その瞬間先程ルベリオスが居た場所で大爆発が起きる。



「へぇ〜、ロンのアレにも気付くかよ」

(感心してる所悪いけれど、あの顔見れば普通気付くんじゃない?)

「いや〜ツバサよ、トカゲの顔の違いなんて普通分からなくね?」

(殺すぞッ!!)



 語彙力の無いロンを無視した2人だが、ツバサが呆れながら会話を続け、否定した。



(違うわよ。私が言いたいのはあの炎弾の事よ)

「炎弾?」



 首を傾げ、理解していないリオンにツバサはバカを見る目で教えてくれた。



(あの炎弾、コミカルな顔が付いてたじゃない)

「ん?お、おぉ!確かに!クハハ!!そりゃ普通じゃねえな!」

(おバカ……)

「ん?なんだ?」

(なんでもないわよ。でもどうするの?ロンが徐々に我慢できなくなってきてるわよ?)



 ツバサから更に話を振られ、内容を吟味しロンを見ると口から涎ならぬ溶岩が溢れ始め、顔がトリップしてきていた。

攻撃も徐々に苛烈になりつつあるが、その分オピスは飽きて攻撃をやめてリオンを齧り始め、ツバサはバランスを見て攻撃を中止している。

そんな戦況を俯瞰して観察していたリオンは方針を考える。



(ロンも限界だし俺等も飽きてきたし………もう殺すか)

(あら?もう十分学べたかしら?)

(んー、よく分かんねえが魔力の流れは覚えたから、なんとかなんだろ、クハハ!)



 楽観的に笑うリオンだったが、ふと何かを思い出すと脳内会議で問い掛ける。



(そういや改めてよぉ、コイツ狡猾なババアだからやっぱり何か画策してると思うんだがよ………周囲に人の気配ねえんだよなぁ。お前等はどうだ?何か感じるか?)

(ん〜、誰もいないよ〜)

(オピスと一緒〜。わたしもなにも感じないなぁ)

(そうねぇ、上手く隠れてるって感じもしないわねぇ。ただ、どこの気配も普通で均一なのが違和感を感じるわね。逆に変にブレている場所も私には確認できないわ)

(グルルル!殺す!!雑魚がッ!!クソッ!!)

(それか俺等が感知できねえだけか……。ただツバサが違和感を感じるくらいだ、何かがあるのかもしれねえが、無理に探さず、アイツに任せてみるのもそれはそれで面白えからいいな、クハハ!)

((むんむんむんむんむんむんむん))

(オピス?ルプ?なにやってんだ?)

((感知〜?))

(……ふむ。まあ頑張れ)



 絶壁幼女を応援しつつ、辛抱堪らん奴と飽きた奴等が揃ったのでそろそろ終わりにするべく、最後は華々しく精神のリオンが、先程からの戦闘以上の魔力を込めて闇槍を50門撃ち出した。



「終わりだ、死ね」



 リオンが放った闇槍が先程とは比較にならない速度でルベリオスに向かい、回避できずに直撃した。



「ん?」



 間抜け声を出すリオンの先では粉々になる筈のルベリオスは未だ健在で、更に彼女の眼前には虹色に輝く障壁が張られている。

虹色の障壁は50門のうちルベリオスに直撃する筈だった闇槍の30門を徐々に侵蝕し、虹色に染め上げていく。

その状況にリオンは防がれた事よりも、未知の展開と奥の手の存在に歓喜した。



「あん?なんだアレ?やっぱなんか奥の手あったんだな、クハハ!良い!良いぞ!!まだまだ楽しませろ!!」

(あらあら、ふふ。あの子が手に持ってる魔道具の効果かしら?)

((フラグが立ちました〜キャハハ))

「は?フラグ?何言ってんだお前等」

(キャハハ!ここ一番のキメ台詞は〜)

(フラグなんだよ〜キャハハ)

「ん?まあ確かに?そうだな、クハハ!むしろ何も無く終わるより楽しめるだろ!結果オーライ!さあどう来る?クハハハハ!!」



 リオン達が状況を楽しそうに話し合っていると、全ての準備が揃ったのか今戦闘初めてルベリオスが話し掛けてきた。



「ハアハア………これを、待っていたよリオン君。私を殺す時は派手にやると思ってたわ。この一度限りの使用制限がある魔道具、リフレクター。他者の力をリフレクターに吸収し、威力、速度、効果を倍で返す、私が作った魔道具の中でも最高傑作よ。自らの力で死になさい」



 ルベリオスの言の通り、バキッと手に持っている魔道具、リフレクターが割れる。

それが合図かの様に虹色に染め上げられた闇槍30門が反転してリオンへと射出される。



「おっ、速えな」



 のんびりと感心したリオンとは裏腹に、結果はより悲惨な光景となる。

虹色の闇槍、虹槍がリオン、ロン、ルプの顔を半分以上消し飛ばし、翼膜を撃ち抜き、身体中を穴だらけにする。

零れ落ちる命が地面を溶かし白煙を上げ、四肢を撃ち抜かれたリオンは、自重に耐え切れず自らの脚を潰しながら倒れ込む。



「ガハッ、なる、ほど……。属性が、反転して、やがるな。しかも、魔力も、俺の、じゃ、ねえなぁ」

(いたーい!リオンのバカー!)

(おなかからごはん溢れてるー!!)

(楽しいのは分かったけれど、避けなさいよバカねぇ。まあでも………)

「あぁ、これで、終わり、か?」



 欠損部位を再生しながら魔力を練り始めたリオンはツバサの念話を引き継ぎ、言葉を紡ぐ。

無駄に寂寥感を漂わせるリオンに、対面に居るルベリオスは声を張り上げる。



「総員攻撃開始ッ!!!」



 その声に合わせる様に周囲の空間が割れ、虫の様にワラワラと冒険者が出現した。

魔力感知で確認してザッと50人くらいは居る。

突如発生したイベントに、リオンは歓喜して練っていた魔力を霧散させた。



「イベントだ!!完全に気配を悟らせねえとはな!そのままババアが死ぬかもしれねえのに、よく我慢したもんだな!クハハ!!そうか、だから反撃に魔法バカスカ撃ってたのか、いい経験になった」



 リオンの言葉に被せる様に、既に練り上げられた魔法が全方位から直撃する。

魔法はまだ完治していない虹槍が刺さっていた穴に突き刺さり内部から破壊していく。

万全の状態のリオンボディであれば弱い第一、第二階梯魔法では、かすり傷すら付かないが今回は余程時間があったのか、優秀な魔法士ががいるのか第七階梯を唱える声も聞こえ、それが先陣を切ってリオンの穴を抉じ開け、弱い魔法でもダメージを与えられる様に工夫がされていた。

更に魔法士以外の近接系冒険者は、全員魔剣や魔道具を用いて遠距離から斬撃や魔法で攻撃を行っていた。

各属性、大小様々な威力の魔法攻撃が数分間続き、リオン諸共地面を抉り砂埃が舞う。

普通の魔物であれば千々の肉片になるであろう攻撃、しかし現在攻撃を受けているのは普通の魔物では無い。



(良い、攻撃だ。ババアのあの反射に狙いが付けられるかは謎だが、あの時俺の脚を落としたのは素晴らしい。動けん)

(いやアナタなら脚無くても移動する手段はあるでしょう)

(ん?まあな、だがせっかく頑張ってんだから余す事無く堪能してやらねえと失礼だろうがよ)



 攻撃を受けながらも脳内で呑気に会話を続けるリオン達の事実を他者が知る事は無い。

必死な雰囲気が伝わる中、リオン達の会話は続く。



(アナタのそのプロレス理論は本当に理解できないわ)

((ツバサに1票〜))

(ふっ、これは漢にしか理解できねえ事なのかもな)

(僕も理解できないよ?)

(黙れブロブ!貴様は漢じゃねえ!)

(うわー、まあ別にいいけどねぇ)

(そんな事より、そろそろ攻撃が止みそうよ?相手側はこの一撃で出し切るつもりかしらね。ちらほらと魔力欠乏の症状が出始めてる冒険者もいるわねぇ)

(ババアも学んで『強力な一撃』だとすぐ回復するから『死ぬまで攻撃』に切り替えたんだな。まあ、それでも数時間だと準備不足だったみてえだな)



 最終的に満足いく戦いだったなと既に終わった気分のリオンだったが、前方から突如膨大な魔力を感知した。

顔を潰されているので視覚的に見えはしなかったが、似通った魔力波動を持つ2人が魔力を練り合わせ、1つの魔法を発動しようとしていた。



(ん?んだあれ?ババアと……その妹か?)

(副ギルドマスターのサーシャちゃんじゃな)

(え?キモ爺)

(なんじゃとッ!?)

(はいはい、落ち着きなさい。それにしても混合魔法を更に2人でリンクする事で高階梯へと押し上げるみたいね)

(血縁だからできる技って事か。つうかよ、さすがに今あれ直撃はヤバくね?パーンって弾けちゃいそう)

(ヤバいわね。もう来るわよ?)



 ツバサの言葉を合図にするかの様にルベリオスとサーシャの声が重なる。



「「第九階梯魔法ケラヴノス・クリオス!!!!」」



 直後空が暗くなったと思ったら、破城槌の如き雷が轟音と閃光を伴い地上を埋め尽くし、リオンを包み込んだ。



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