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キマイラ転生  作者: てつまめ
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アトラクション

 過去森人族が栄え、常陽燦々と降り注ぐ希望の森と言われた【ルクスペーの森】は、魔物のスタンビートという名の引越しにより略奪され、現在は魔素濃度が濃いせいか瘴気漂う森として人族には【アーテルの森】と呼ばれ、魔物には【パイリダエーザの森】と三者三様の変遷を辿る森。

そんな森は現在、先住者が起動した古代魔道具にて、中心部が徹底的に焼き払われていた。

グラウンド・ゼロは森や建造物が跡形も無く、そこは目標座標でもあったのか一際大きかった塔は木っ端微塵になり、その時の衝撃波により周囲数kmは更地になってしまった。

未だに周辺地域は高温状態で、木や草花には地獄の環境と化していた。

それもあってか炭化を免れられた植物も意思があるかの様に一定間隔で自然に発火して続々と死んでいっている。

そんな生き物も生存できない、世界の全てであるかの様な空間を時間が数分、数十分、数時間と静かに経過していた。

しかしそんな静謐な時も遂に破られる瞬間が来た。

その存在はグラウンド・ゼロの中心、産声を上げるかの様に土中から爆散して出現した。

中から現れたのはマグマの様にドロドロと不規則に動く粘体だった。

その粘体は苦しそうにもがきながら上へ上へと地面を這い出てきていた。

よくよく観察してみると、その粘体には所々炭化した別素材の固形物が何個か付いており、その固形物は粘体とは意識が切り離されているかの様に別々に動いていた。

そんな固形物は次第に膨らんでいき、経時的にぐにぐにと新たに形を造っていた。

邪魔するモノがいない状況で固形物はゆっくりと、だが確実に設計図を元に形を定め、色を獲得し、その姿は戻っていき、遂には楽しげな声を発し始めた。



「クハハハハ!まだ生きてるな。だがさすが頑張っただけあって馬鹿げた威力だったな。単純な威力だけなら原爆並か?」

(いたーい!!へびの丸焼きになっちゃった〜)

(丸焼きというより、炭化したから料理で言えば失敗作よねぇ)

(キャハハハハ!おもしろかったよ〜。もう一回やってもいいかも〜。アトラクションとしては合格点だね〜)

(チッ!あんな鉄クズに負けたのかよ!クソがッ!)

「まあ、アレは鉄じゃねえけどな、クハハ!」



 ロンの言葉を受け、復活して外見はほぼ元通りになったリオンが落下してきた【神槍】に視線を向けた。

それに合わせて全員の視線も【神槍】に向けられた。

既に熱は落ち着き数百℃程になっており、元の金属色を確認する事ができた。

緋色に輝く【神槍】をリオンはペタペタと触り、観察していく。

ある程度観察した結果ひとつの結論を出した。



「材質はヒヒイロカネか?確か前世で一度見た天叢雲剣の材質がヒヒイロカネって言われてたな」

(それにしては色が違うと思うのだけれど?あとなんでアナタにそんな事分かるのかしら?)

「ん?そりゃ天叢雲剣を盗んで遊び倒したからに決まってんだろ。お前も知ってんだろ」

(あぁ、確かにそんなおバカな事してたわね。まあいいわ、それでコレとアレはどうするの?)



 呆れた様に納得したツバサは次の話題として、目の前の【神槍】と空に視線を向けた。

全員もツバサの視線に合わせ、意識を向ける。



「コレに関しては、オピス」

(はいは〜い。いただきま〜す)

「保管だからな?喰うなよ?」

(もう〜リオンは冗談も通じないんだから〜。そんなんじゃモテないよ〜ぷぷぷ)

(リオンはモテなくてもわたしがもらうからいいんだよ〜)

「空のアレは次弾はもうねえみてえだが、邪魔だから落としとくか。他の用途にも使えるからな」

(あれ?無視されちゃった〜)

(かわいいね〜。テレちゃったのかなぁ?)

(かわいい〜かわいい〜)



 はしゃぐ絶壁狼蛇を無視して、リオンは先程同様口を開けると魔力を練り始めた。

数分間収斂と圧縮を繰り返した結果、立派な闇の槍を作り出したリオンは空の、【神槍】を射出した魔道具に照準を合わせ、撃ち出した。

待つ事数分後、キマイラアイでも豆粒程に見える魔道具、恐らく宇宙空間にあるであろうソレをリオンは正確に貫いた。



(たーまやー)(かーぎやー)

「クハハ!何事も散り際は綺麗なもんだな。これであの魔道具はもう使えねえだろ」

(夜だったら流れ星みたいで綺麗だったでしょうねぇ)

「他にもあんな魔道具があるんなら、まだまだ楽しめそうだな。連発されたらさすがに死にそうな気がするけどな。ブロブもよくやった」

(ふへへぇ。まあ僕は特に何もしてないけどねぇ)

(グハハ!お前は一番しぶてえからな!!)

(ロンに褒められても嬉しくないなぁ)

(あぁんッ!?)

(退散〜)



 ロンとブロブが体内で追いかけっこしている中、リオンはレオーネ達の生存確認を行っていた。

魔力探知で索敵すると、すぐに主要メンツを発見した。

すると即座に念話が飛んできた。



(リオンッ!?無事だったか!!)

(うるさッ、思念強えよ)

(す、すまん。あれ程の威力だったのでな。それとあれから数時間リオンから音沙汰無かったのでな)

(まあ確かに面白かったからな。そっちは全員無事か?)

(お、面白い……?やはりリオンは変わっておるな。こちらは全員無事だ。もちろんリノアとウピルも怪我ひとつしておらぬよ。なぜかリノアはピーピー泣いておるが、まあ大丈夫だろう)

(あぁ、ソイツはいつも泣いてるから気にするな)



 互いの確認が済んだ所で、今後の動きの確認をレオーネから問われたリオンが少し間を置いて応えた。



(今は合流はしねえ。お前等は予定通り引越し先に行け)

(む?それは構わんが、リオンはどうするのだ?)

(俺はまだお楽しみが残ってる気がするから残る)

(そうか、では引越し先で待っておるぞ。必ず無事に合流するのだぞ?)

(おう)



 レオーネは具体的な事は聞かずに了承するとリオンの無事を願いながら念話を閉じた。

再びリオン達だけになり、ふと気になっている事を聞いた。



「オピス、ワムちゃん無事?」

(ん?無事だよ。ほらおいでおいで〜)



 オピスが口を開けると中からワムちゃんが勢い良く飛び出し、甘える様にリオンに巻き付く。



「キシャッ!!キシャッ!!キシシシシ!!」

「クハハ!愛いヤツめ!ヨシヨシヨシ」

(うわ〜、リオンはホント人以外には優しいよねぇ)

(ずるい〜!わたしも〜!)

(死んでも治らないんだもの。今世でも完治を期待しても無駄よ)

(そんなリオンもかわいいから気にしな〜い)

(そんな事よりリオン、本当に来ると思っているの?)



 器用に前脚でワムちゃんを撫で回すリオンにツバサが質問を飛ばす。

その言葉にピクリと反応したリオンは、暫く周囲を確認すると質問に応えた。



「恐らくな。何の為に魔道具壊したと思ってんだよ。まあ、もう少し待って来なければ移動するだけだ。だが今来なくても来なくても、もう遅えよ。引き金を起こしたのはアイツだ。俺を殺しきれなかった事を後悔するんだな、クハハハハ!!」

(そう。ふふ、楽しくなりそうね)

「あぁ、楽しくしてやるよ!だからお前等も楽しめよな!」

(もちろんよ)

(もっちろ〜ん)

(わかった〜)

(グハハ!我の出番だな!)

(僕は中から見てるよ)

(素体の宝庫じゃて!お主等、ちゃんと綺麗に殺すんじゃぞ!)

「キシー!!」

「クハハ!愛い愛い」



 再び撫で回し始めたリオンだったが、突如空から無数の氷の槍が数百本と降ってくる。

光の障壁を張っているので手前でバキバキと割れる氷槍を眺めながらボーッと終わるまでワムちゃんを撫で回しながら待つリオン。

完封したリオンは撫で回すのをやめると、目の前の人物に笑って声を掛ける。



「クハハ!お早いお戻りじゃねえか。それで?ご用件を伺おうか」

「ふふ、あれ程の攻撃を受けて無傷だなんて……本当に、リオン君は厄災なのねぇ」

「道具は所詮道具だ。現に一発撃ったらもう使えねえただのゴミに変わっただろ」

「あはは、本来なら一発で全て終わる代物なのよ?」

「なら相手が悪かっただけだな。お前はそれも理解してたから戻ってきたんだろ?」

「可能性として、よ。しかも極小の、ね。まさかピンピンしているなんて思わなかったけれどね」

「クハハ、それで?」

「はぁ……。でも、もうここまで来たら引けないの………………ここで死んでもらうわ!!」

「クハハ!!」



 言葉から決意の強さを窺わせるが、それとは裏腹に悲しそうな、泣きそうな顔で魔法を展開するリンドブルム魔法学院の学院長、スクルプトーリス・ルベリオス。

そんな他者の感情に興味が無いリオンは、対照的に交戦的な笑い声で応えると魔法を展開した。

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