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キマイラ転生  作者: てつまめ
129/141

対面

 アラクネのネアに案内された10階で謁見の時間まで各自自由行動となった。

リオンは部屋でヘソ天をキメ、だらけきっていた。

リノアとウピルはリオンの腹の上で爆睡中。

イヴ達チーム黒獅子とルベリオスは塔の中を探索すると言って出て行った。

あれから1時間程が経ったが、この部屋に近付く気配は無い。

見事なヘソ天をキメているリオンは脳内会議をしていた。



(ここにはなかなか良い戦力が揃ってるじゃねえか、クハハハハ!)

(グハハ!!全員ぶっ殺してやろうぜ!!)

(リオン楽しそう、かわいい〜。ロンはうるさい、黙って)

(全員ぶっ殺してどうすんだよバカが!)

(なんだとッ!!)

(だからロンうるさい、もう遊んであげないよ?)

(黙れルプ!誰もお前になんて頼んでねえよ!!)

(ねぇねぇ、そんなことよりさぁ〜お腹空いたよ〜。ここホテルでしょ〜?ルームサービスしよーよ)

(こらオピス、ここはホテルじゃないわよ。それに魔物だらけのこんな場所でまともな食事なんて出るのかしらね)

(料理は確かに、でもこのベッドはなかなか……よく手入れされてるよ?それだけで僕は満足だよ)

(ひょひょひょ、それはベッドの裏に設置されとる魔道具の力じゃのぉ。元々あったものか、彼奴等が設置したものかは分かりゃせんがのぉ)

(スノーオーガ、ロストルムにネア、アイツ等が幹部級として、イヴ達でも勝てねえだろうから災害級くらいか?)

(学院長ちゃんなら単独でもいけそうだね〜)

(我なら小指だがな)

(ロン、ハウス!)

(何でだよ!)

(構ってちゃんのロンくんには今度目一杯暴れさせてやるから今は黙ってよーね〜)

(リオン、テメェ!!)

(念話切断)

(あっ!コラッ!テメーーーー)

(ふぅ、久々に出すとキレ散らかしやがって、バカが)

(そう考えるとアナタの元の性格ってだいぶ終わってるわね)

((リオンだからね〜キャハハ))

(うるせえ!環境要因がデケェだろうがよ。環境が良けりゃ俺だってもっと素直な良い子に成長してただろうよ)

(ぷぷぷ、それって今は捻くれた悪い子ってことじゃん)

(悪い子悪い子〜)

(ハナタレの悪ガキじゃな)

(魔物の本能的には真っ直ぐで素直な良い子に育ってんだろうが!!ん?おっ、誰か来たな、ひとりか)



 ダラダラと無駄話で盛り上がっていた所に誰かが接近してきた。

暫くするとコンコンと控えめなノック。

「入れ」とリオンが入室の許可を出す。

入ってきたのは先程入口で包囲された際に先陣を切って話し掛けてきた見た目隊長オーガだった。

そんな彼はリオン達の姿を見て一瞬固まったものの、意志の力でギュッと眉間にシワを寄せ、話し掛けてきた。



「先程ハ失礼シタ」

「気にすんなよ。つうかそんな事言うためだけに来た訳じゃねえだろ?用件はなんだ?」

「こらこらリオン、彼は本題の前のクッションとして話を振ってくれたんだからそんなぞんざいに扱ったらダメなんだよ〜」



 横暴な態度の未だヘソ天状態のリオンに、いつの間にか目を覚ましていたリノアが頬杖を付き白翼をパタパタさせながら御高説宣ってきたので、デコピンを一発ぶち込んだ。

静かになった所でリオンはヘソ天を解除してだらんと伏せ状態に移行した。



「それで?用件は?」

「ア、アァ、用件ハ……」



 見た目隊長オーガは壁に激突して気絶したリノアを一瞥してからリオンへの用件を話し始めた。



「陛下ヘノ謁見ガ決マッタ。ダガ、ソノ前ニ食事ヲ用意シタ」

「飯か、分かった。なら今居ねえ奴等にも伝えるか」

「ソノ必要ハナイ」



 リオンがイヴに念話を送ろうとすると見た目隊長オーガが静止するので顎で続きを促した。



「他ノニンゲンハ、ネア様ガ行ッタ。貴方様ハ、オレガ案内スル」

「なるほどな。おいリノア、ウピル起きろ!飯行くぞ!チッ!」



 舌打ちをしたリオンは全く起きないウピルと気絶から回復しないリノアを魔法で浮かせると見た目隊長オーガに目的場所まで先導させた。

しかし、食堂は1階だと聞かされ、一瞬で来た道を戻るのが面倒になったリオンは先導させた見た目隊長オーガを闇魔法で掴むとそのまま10階から飛び降りた。

最近落下が多いなあと考えるも10階なのですぐ地面に着地した。

中庭っぽい所に降り立ち、見た目隊長オーガを解放するとキレながら足早に詰め寄ってきた。



「何ヲシテイルッ!?」

「え?いや面倒だったからな」

「ナニッ!?ソレダケ、カ?」

「は?理由はそれだけで十分だろ。エレベーターもねえんだからな」

「エレベーター?ナンダソレハ……イヤ、モウイイ。付イテコイ」



 見た目隊長オーガは唖然とした顔をしたが、すぐに諦めの表情をしてスタスタ行ってしまった。

ついでに着地した時の地響きに反応して集まってきた野次馬魔物達を散らしてくれている。



「あらら、怒っちゃった。いや〜リオンはやっぱり魔物から見ても非常識なんだねぇ」

「いやいや、アイツがおかしいだけかもしれねえだろ?」

「そうじゃぞリノアよ。ご主人様は非常に慈悲深いお方じゃ」

「ウピルは黙ってて。慈悲深いとか聞いてないから。非常識かどうかって話だからね」

「何を言うとるかリノアよ。ご主人様は常識人、いや常識獣じゃ!」

「あはは、こりゃ重症だ」

「俺の上でピーチクパーチクうるせえよ。おっ、着いたか」



 2人のリオン常識非常識論を聞きながら見た目隊長オーガに付いていき数分、一際大きな扉に入る。

そこは小型から大型、人型や獣型など様々な種族に対応した食堂だった。

時間帯なのか、規制が掛かったのか、それ程席は埋まってなく、厨房ではオークやホブゴブリンが慌ただしく動き回って調理していた。



「コッチダ」



 見た目隊長オーガが更に奥に先導する。

黙って付いていくとそこは個室で、中には既にイヴ達が着席していた。

リノアとウピルを降ろし、あからさま巨大なスペースがあったのでリオンはそこへ移動した。

そこで一同を見渡すと全体的に様子が変だったので、一番分かり易い奴に声を掛けた。



「リヴァイス、どうした?なんかあったのか?」

「む?い、いや、何もなかったぞ」

「そうか?ん?お前そんなネックレス付けてたか?」



 挙動不審なリヴァイスに言及する事なく単純に気になった事を指摘しただけだが、逆に嘘かってくらい挙動不審が加速した。



「ん?むむぅ?こ、これか、これはだなあ」

「は?なんて?」

「それは私がみんなにプレゼントしたんだよ〜。みんなでお揃いだよ〜羨ましいか〜い?リノアくんとウピルくんにもあげるよ〜。はい、どうぞ〜付けてあげるね〜」



 バチャバチャ目を泳がすリヴァイスに代わってルベリオスが説明し、強引にリノアとウピルにも付けて満足している。

改めてリオンは他のメンツを見ると、確かに全員に同じ魔力を首に感じる。

エリーゼやフェルトもやや顔色が悪い。

何かあったのは確実だが、イヴは特に変わった所は無い。



「リオン君も付けてあげようか〜?」

「いらねえよ。お前のとっておきっつうなら付けてやらん事もないけどな、クハハ!」

「ん〜、別にとっておきではないかな〜。ただこれはみんなの居場所が何となく分かる程度、まあお守りだね〜」

「リオン様、そろそろ食事を運ばせてもいいか?」

「ん?あぁ構わねえよ」

「よし、運び込め!」



 ネアが会話を奪った事で食事が始まった。

出てくる食事は以外とまともで、サラダにスープ、パンにステーキ、デザートとフルコースをご馳走になった。

味付けは多少ワイルド感があったがイヴ達は大満足していた。

ちなみにリオンは左右の金狼、紅竜と尻尾の銀蛇に食べ尽くされてしまい真顔で石像と化していた。

食後、タイミングを見てたのかネアが謁見の準備が整ったと迎えに来たので、漸くこの世界で初めての同族エンカウントタイムに突入する。

だが謁見の場所が最上階である15階だと聞いて、これまた一瞬で飛んでいこうと考えていたら先んじて阻止されてしまったので、現在渋々歩いている。



「グリフォンなんかの飛行種もいるんだからよ、その辺融通利かせろよな」

「まあリオンは飛ぶだけで魔力撒き散らすから仕方ないんじゃない?リオンって飛ぶの下手だよね」

「は?そうなの?」

「気付いてなかったの?もっと私を見習って、ほらほら。魔物で例えるとグリフォンが微風ならリオンは嵐だよ」

「えぇ、マジかー。だがそんでもよく空でも魔物に絡まれてたぞ?普通自分から嵐に飛び込むか?」

「アレは嵐に抗えるだけの力が無いから中心に行くしか選択肢がないだけだよ。前にリオンが言ってた、なんだっけ?引力?」



 天翼人族たるリノアから衝撃の事実が齎せてから、暫くツバサの翼への魔力操作をこねこねしながら今度は探索組のイヴの話を聞く事にした。



「イヴは探索楽しかったか?」

「ん〜、そこまで面白いモノは無かったかな。どこ行っても魔物達は敵意向けてくる者ばっかだったから居心地悪かったよ」

「まあ双方行から見ても敵っつう認識になんのか。ルベリオスとかは何か探してたか?」

「学院長?分かんない。途中でルベリオス達とはぐれちゃってさ、私だけ1人で散歩してたんだよねぇ」

「へぇ、相変わらず鈍くせえヤツだなイヴは。それでアイツ等は合流したらあんな挙動不審になってたのか?」

「リオンより鈍くさくないもん、バカ。んー、確かに思い返すと合流してから学院長以外はみんな変だったかも。聞いても、『なんでない』の一点張りだったよ」

「ふーん。そんなんで、後々どう御するつもりかねぇ」

「ん?何を?」

「何でもねえよ。面白くなりそうだなと思ってよ」



 リオンがクツクツと笑っているがイヴはいまいち理解していない様子だったので違う話題を振る事にした。



「もうすぐリオンと同じキマイラに会えるんだね。緊張してる?」

「あっ!私も気になってた!やっぱ同族と会うのはリオンも緊張するものなの?」

「なんだテメェ等……いや緊張はしねえだろ。ただの同族に会うだけだろ」



 イヴとリノアの質問にも対して興味を示さないリオンに不満顔の2人だったが、更に言及しようとする前に先導しているネアが声を掛けてきた。



「リオン様、到着しました」

「あぁ、じゃあ行くか」

「貴様等はリオン様の慈悲で同席させるだけだ。余計な事はするなよ」

「わぁ、敵意すごー」



 リノアの能天気な言葉が緊張感をほぐすと、ネアが見上げる程の扉を開けた。

中には左右に多種多様な魔物がいて、最奥には玉座はなく数段上がった特大の台座があった。

そこには全身茶毛で獅子と狼の頭を持ち、尾が黒蛇の魔物、キマイラが鎮座していた。

台座の側には幹部級の魔物が様々な感情のこもった目でこちらを見ていた。

上半身が金、下半身が銀の変異種グリフォンことロストルム。尻尾の梵天が茶色っぽい

そして、昔スノーオーガと同じ並びに手配書があったクウェシスディセロスの亜種らしき白き牛の魔物だった筈だが、今はミノタウロスと同じ二足歩行で角と鬣が茶色だ。

あとは昔殺したワイバーン亜種っぽいが、どちらかと言うと竜に違い姿。

後で聞いたら亜竜らしい。

綺麗な水色の鱗を纏っていたが尻尾が何故か茶色で残念な感じになっていた。

他はエクレールライガーという雷魔法を使うライガー種だ。

獅子と虎を足して二で割った様な見た目。

全身が常に蒼く発光しているので本当の色は分からないが虎の様に茶か黒が縞で入ってるのは確認できた。

それとアラクネのネアが合流した。

コイツも茶が入ってる。

吸血鬼族であるアドレアとその仲間達は少し離れた所で待機していた。



 なかなかの圧を受けながらもリオンは気にせず歩を進め、陛下と呼ばれるキマイラに5mくらいまで近付くと、立ち止まる。

他の面々はリオンの後ろに待機している。



「お前がこの魔物達の親玉か?」



 ザワッと周りが反応するもキマイラ陛下がスッと立ち上がると黙り込む。



「そうだ。我がこの魔物達の王である。貴様の名はなんという」

「あ?俺はリオンだ。お前は?」



 当たり前の様に共通語で話し掛けられて驚く面々を余所に会話は進み、ネアの時同様リオンの名前が伝わった際に部屋中が再びザワついた。

そして今度は陛下がひと鳴きすると再び静寂が訪れた。

眉根を寄せるリオンに陛下は陳謝すると名を名乗った。



「部下達が失礼した。他意はない。リオン、リオンか、良い名だ。我が名は『レオーネ』だ」

「レオーネだ?クハハハハ!因果は巡るか。どう転ぶか楽しみだな!」



 この言葉に反応したのは1匹だけ、だがその反応だけでリオンは理解し、本来ならどちらに転んでも楽しめたのにと残念に思い、表情を消したリオンが一言垂れ流す。



「抜け殻だなテメェ」


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