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キマイラ転生  作者: てつまめ
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魔道具

 ロストルムが目を覚ました事で丁度いいと休憩を入れる事にしたリオン一行は彼と話し合い、諸々の事情や現状を解決しようと画策していた。

その予定だったが、目を覚まして周囲をひと通り確認したロストルムが狙いを定め、初動がリオンでもその一行を襲うでもなく、アドレア達吸血鬼族に突撃する事だった。

風魔法で吸血鬼族を全員確保してリオン達から少し距離を取ったロストルムは推定言い争いを始めた。

しかしロストルムに関しては吸血鬼族に視線と意識を向けているが、それでも殆どの警戒としての意識リソースをリオン単体に向けている。

言い争いを確信できないのには理由があり、そんな疑問をリオンの頭に抱き付いているイヴがボソリと呟く。



「ねえねえリオン。アレは念話だよね?」

「ん?あぁ、そうだな。指向性があんのか仲間の吸血鬼族だけに聞こえる魔力波長なのか知らねえがな」

「むむむ、喧嘩してる」

「まあ主人がいる塔に案内してんだから裏切ったと思っても仕方ねえだろうな。だが……クハハ、ピィピィしか聞こえねえからだいぶと滑稽なやり取りに見えるな」

「ふふ、可愛い鳴き声だね」

「そうか?」

「あ、でもでもリオンの声の方が好きだからね!」

「そりゃどうも」



 イヴとの他愛の無い話をしながらリオンは長々と続くロストルム達のやり取りに、遂に待つのが面倒臭くなり次の行動に移る。

ドンと一歩近付くと先程まで吸血鬼族にピィピィ鳴いていたロストルムがビクリと過剰反応し、身を翻すと倍以上の距離を取り威嚇した。

その反応にリオンは呆れながらもこのままでは話が進まないので話を割る事にした。



「ビビりすぎだろ雛鳥が、時間も惜しい。そろそろ黙れ。テメェもだが、そこの吸血鬼連中が俺に勝てるわけねえんだから俺に大人しく従え!」

「ピィ!ピィピィ!!(うるさい!敗者ならば仲間を売らずに死を選べ!!)」

「バカかテメェ。テメェの信条とコイツ等を一緒くたにすんじゃねえよ。この女は吸血鬼族の頭なんだろうが!」

「ピィ!ピィピィ!ピピィ!!(関係無い!其奴等も陛下に救っていただいたのに何たる事か!恩を仇で返すのか!!)」

「クハハハハ!!うるせえクズ鳥!!」

「ピュイッ!?ビャッ(なにをッ!?ビャッ)」

「あらら……殺さないんだね」

「……あぁ」

「というか〜何で突然グリフォンの念話が私達に伝わったのかしら〜?」

「先ずは考えろ、すぐに答えに縋るな」

「は〜い。学生諸君集合〜」

「「「「はい」」」」



 説得を早々に諦めたリオンが重力魔法でロストルムを潰し意識を飛ばすと、ルベリオスの問いに課題を出すと休憩は終わりだと指示を出す。

そのまま歩き出そうとすると目の前にアドレアがスススっと立ち塞がる。

訝しげな表情を向けたリオンの視線に暫く下を向き黙っていたアドレアはバッと顔を上げ、口を開いた。



「リオン、殿。先程はありがとうございました。ロストルム殿は普段は理性的でとても思慮深く冷静な方なのですが……」

「気にすんなよ。お前等が居ても居なくても俺は塔に行くからな。ただ、お前等吸血鬼族の特徴が面白えから連れてってるだけにすぎねえよ」

「それでも、わたくしはロストルム殿達とは争いたくはありません。先程ロストルム殿からお聞きした通り、わたくし達は陛下に一族を救っていただきましたからね」

「そうか。まあどう思うかはテメェ等の勝手にしたらいい。早く行くぞ」

「はい!」



 話が一段落したリオンは気絶したロストルムを魔法で浮かせ、先導役のロマンスグレーのクーフィの後に続いた。

塔が近くに見えていたのですぐ着くだろうと歩きでのんびりと移動していたリオン達だったが、数時間歩いても巨塔の大きさが変わらない事に違和感を感じ始めていた。

途中から歩くのが面倒臭くなったリノアがパタパタ飛びながらもいち早く抗議した。



「ねえ!全然着かないじゃん!どうなってるの!?疲れたー!リオン疲れたー!」

「チッ!相変わらず貧弱な奴だな」

「あッ!?舌打ちした!!ねえみんな聞いた!?酷くない!?みんなも疲れたよね!?全然塔に着かないのも変じゃない!?アドレアさん!どうなってるの!?」



 即座に周囲にウザ絡みし始めたリノアに全員苦笑いだったが、全然塔に着かない事に関しては同意なのか全員がアドレアに視線を向ける。

問われた当人は特に疑問も隠す気もないらしくスラスラ応えた。



「そうですね、この森には空間を湾曲する魔道具が至る所に設置してありますので、目的地のあの巨塔に関しても近くに見えていても、このまま歩くと1週間くらい掛かりますわね」

「げげぇ!?1週間!?無理!!むりむりむりむり!!リオン!空から行こう!そうしよう!みんなもその方がいいよね!?」



 再びウザ絡みされる面々だがアドレアが先んじて注意事項を説明する。



「空から行く場合、魔道具が放つ魔力波長と同波長の魔石を持たないと魔道具の効果を無効化する事はできません。もちろん地上からも同様ですわ」



 それを聞いたリノアが一瞬ガクリと肩を落とすが、すぐさまグリンと顔を上げ、キラキラした虹色の瞳でアドレアを見る。



「アドレアさん達は塔から来たんだからその魔石、持ってるでしょ?解決じゃん!早く出して出して!」

「そ、それが……」



 リノアの言葉に返す様にアドレアは懐から真っ二つに割れた魔石を出した。



「休憩中に確認したのですが、わたくし達が持ってきた魔石すべて、あの……リオン殿の魔力に当てられて、割れてしまいましたわ……」

「えぇ…………」



 申し訳無さそうに説明するアドレアから、割った当事者であるリオンに視線が集中する。

当然どこ吹く風のリオンはアドレアが出す魔石を一瞥するとパクリと口に含んだ。

ゴリゴリと咀嚼音、ゴクリと嚥下する音、暫く考え込むリオン。

突然の事で全員固まっている中、考え終わったリオンがガルルルゥゥとオピスに指示を出す。

数秒で目の前に土魔法による箱を作成してひと言。



「乗れ」



 なぜか誰も言葉を発する事なくひとり、またひとりと無言で箱に入っていく。

そしてやはりここでも最初に叫ぶのは彼女だった。



「いやいやいやいや!え?えっ?なに今の?なんで魔石食べたの?どうして?危なかった〜。さすがにスルーできないからね!?びっくりしたー!え、え?なんだったの!?へびゃッ」

「うるせえ」



 リオンの顔周りをもしゃもしゃ撫で回しながら問い掛けるリノアのウザ絡みに辟易し、物理的に黙らせたリオンはポイポイと箱にシュートしていき全員収まったのを確認すると持ち上げた。



「さすがに1週間は長えから俺が運ぶ、異論は認めん!諦めろ」



 そのまま返事を待たずに垂直に飛び立った。

魔石を食べた理由をイヴが後日聞いたら、食べて解析させて同じ物が作れないか確認したかったらしいが、即座には無理だと判明したためプランBの箱で配送に移行したのだという事らしい。

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