伝説の賢者マーリン~⑬
なんか今日は時間があって筆が進んだので投稿しちゃいます
「ふふふ、これでやっと旦那様と共に行けるのじゃ」
アルベルトの肩に留まって頭をアルベルトに擦り付けているジョゼルが満足そうに笑みを深める。エリザベスの金髪アフロ騒動である≪マーリンのドキドキ魔法教室≫を終えた、というか終えざるを得なかったというか、兎も角やっとダンジョンへと向かうアルベルト一行
「共に行けるって言ってもジョゼルの部屋までだよ?」
「ムッ、判っておるのじゃ。旦那様は風情が無いの、もう少し乙女に夢を見させてたもれ」
「フンっだ!なにが乙女よ。チビッ子竜のくせしてさ」
「なんじゃと~!誇り高い転生竜に向かってチビッ子とは何事じゃ」
「なによ!チビッ子なのは間違いないでしょ!」
「まあまあ、べスも機嫌を直してよ」
金髪アフロを笑われたのを根に持っているのかエリザベスの機嫌は頗る悪い。ヴィクトリアなどはとばっちりを受けない様に闇魔法で気配を消している位だ
「ところでジョゼル?」
「なんじゃ旦那様。夜這いの誘いなら何時でもwelcomeじゃぞ!?」
「よ、夜這い!?って、そうじゃなくてさ、最初の話じゃ迷宮の中だったらジョゼルって成長するんじゃなかったの?・・・見た処なんにも変ってないんだけど」
「むぅ、それは旦那様が悪いのじゃ。旦那様がダンジョンの魔物を倒してくれないから余剰魔力の取り込みが出来んかったのじゃ!」
ダンジョンの仕組みは中心部から漏れ出す魔力によって魔物が生み出される様になっていると考えられている。 事実転生竜が二人掛かりで造ったこのダンジョンはジョゼルから漏れ出す魔力によって魔物が生み出され、更に強化されるようになっていた
他のダンジョンと違うのは魔物を生み出す魔力の源がジョゼル自身から漏れ出す余剰魔力になっている事、そしてその魔力で生み出された魔物を倒す事で発生した魔力がジョゼルに還元される様になっている事だ
始めにジョゼルがいたダンジョンは龍脈と呼ばれる魔力の流れの上に立っており、そこで眠りにつく事でジョゼルは成長する事が出来た筈であった。 しかしセイレケの街の領主館の地下に造ったダンジョンにはそこまで強い龍脈は通っておらずジョゼルの成長にはまるで足りない。
だが強力な魔力を内包している転生竜だからこそ出来る事もあるのだ。 未熟な身体であっても魔力自体は成龍の時と変わらない為に高過ぎる魔力が余剰魔力として溢れ出ている事を利用したシステム。 余剰魔力はそのままでは自身の糧として利用できないが一度魔物に変わってしまえばその身に取り込み利用する事が出来る。 その魔力で肉体を形成する事により龍脈の魔力を使うよりも早い成長が実現出来るという訳だ
この方法ならば平野に危険なダンジョンを生み出す事無く、しかもアルベルト達のLV上げにも役に立つという一石二鳥、いやジョゼルの成長も早める事が出来るので一石三鳥に成る筈だった
「じゃと言うのに、肝心の旦那様が来てくれんでは話が進まんのじゃ」
「ん・・・忘れてた」
「まったく・・・まぁ期間限定のロリっ子がいいと言うなら妾は構わんがな」
「いや僕、そっちの気は無いから!」
アルベルトがなかなかダンジョンに来ない事に憤慨していた筈のジョゼルはチビッ子らしからぬ妖艶な笑みを浮かべてアルベルトを誘うがキッパリと拒絶されてしまう。・・・が、ジョゼルとヴィクトリアはアルベルトの言葉を受けて思わずエリザベスの方を見てしまう
「なによ!言いたい事が有るならハッキリ言いなさいよ!!」
「ん・・・成長遅め」
普通、王族の姫と言うとバインバインなお胸にほっそりとした腰回り豊かなお尻という女性の理想を体現した姿になるのが普通であり、事実エリザベスの二人の姉は女性ならば誰もが羨む完璧なスタイルだった。 しかし彼女自身はと言うと平均よりも低い身長とツルぺタストーンっといった正になだらかな平原といった風情で、プライドの高い彼女には触れて欲しくないコンプレックスになっていた
「いや、違うから!体型で好きになってる訳じゃないからね」
「ん・・・アルはお胸が大好き!」
「わ~んやっぱりそうだったんだ!!」
アルベルトも男の子である以上嫌いではないが殊更そこだけで女性の好き嫌いを決めている訳では無い 。夜の営みもヴィクトリアとエリザベスが一緒の時は気を付けているのだが、ヴィクトリアと二人だけの時は無意識にそこに集中していた様で、豊かなお胸を持ち上げながら自慢げなヴィクトリアの暴露でエリザベスは泣き出してしまう
「い、いや違うから・・・ほ、ほら登山家が山を登るのは其処に山があるからって言ったのと同じで、そこにお胸がある以上は・・・」
『アル・・・言い訳になっとらんぞ!?』
「ふむ、旦那様はお胸が大好きなのか・・・ならば早く成長せねば」
和気藹々?と言った雰囲気で領主館を地下に向かって下る四人とマーリン達であった・・・
☆△☆△
「ようこそ!ここが妾の部屋じゃ」
「へ~結構センス良いのね」
シックな色調の落ち着いた雰囲気で統一された室内は、普段のお騒がせ体質なジョゼルの雰囲気とは違い伝説の転生竜の名に相応しいセンスのいい室内であった
「で、あれは何なの?」
「ふっふっふ、あれはダンジョンの様子を見る為の≪もにた≫という物じゃ。どうじゃ驚いたろ!もっと褒めてたもれ」
「いや、あれのせいで部屋の雰囲気台無しだな、って思って・・・」
「なっ!神が創ったと噂されておる遺物じゃぞ!なんて失礼な!!!」
「って、噂って何よ噂って」
アルベルトが漏らした感想の通り、全体的にセンスの良い部屋の壁一面を占める≪もにた≫と云われたそれは部屋に不釣り合いな真っ黒な不気味な様子であった。 しかもそれを覗き込むアルベルト達を歪んだ状態で映し出しているのだ
その上、神が創ったと謂われてというなら神秘性という解釈も出来ただろうが、噂されているだけならば信憑性もガタンと落ちてしまう。 大体こんな見た事も無い様な物を誰が噂しているというのかさっぱり判らない所が余計に信用を落としているのだ
「むぅ!そこまで言うのならば見せて進ぜよう。神の御業を瞠目するが良い!」
「ブゥン」
黒い≪もにた≫と言われた箱型の物が唸るような音を立てて一瞬中央が光ったように見えたが相変わらず画面は暗いままだった
「なっ!何故じゃ!ダンジョンの様子が映らんでは無いか!!」
「ん・・・欠陥品?」
慌てて画面に近寄り横の摘みをガチャガチャ動かすジョゼル。 しかし画面は相変わらず黒いままでダンジョンの様子は一向に映らない
『しかし、随分古い型・・・≪ぶらうんかん≫型じゃの。≪よんけー≫対応型とは言わんが≪ちでじ≫対応型は無いのか?』
「マーリン、これ知ってるの?」
『うむジョゼルの言う通り、神が創ったと噂されておった物じゃよ。しかし実際は只の魔道具じゃがな』
「その口ぶりだと・・・」
「ん?これは儂が創った物じゃ。しかもこんな初期型がまだ残っておったとは・・・」
マーリンの言葉に振り向いたジョゼルが驚愕の表情のまま固まってしまっている。 伝説の転生竜が神が創ったアーティファクトだと信じていた物が目の前の例えそれが伝説の賢者であっても、まさか人が創りだした物だとは思わなかった様だ
「それなら故障の原因も判るんじゃない?」
『どれ・・・ふむ≪もにた≫は壊れておらんな。型は古いがまだまだ現役じゃよ』
「ならば何故映らん!故障では無いと言うなら原因は何なのじゃ!!≪ぴーえる法≫で訴えるのじゃ!!」
『まぁ落ち着け。ふむ・・・これは魔道具の使用者よりも強力な魔物の≪じゃみんぐ≫が原因じゃな』
「な!・・・妾のダンジョンじゃぞ。なぜそこに妾よりも強力な魔物が存在するのじゃ!?」
ジョゼルとマーリンの会話には所々知らない言葉が混じっておりアルベルト達にはイマイチ理解できなかったが大筋としては話が見えてきた。 魔道具の使用者、この場合はジョゼルよりも強力な魔物が生まれた事により、その魔力が邪魔して魔道具が機能していないようだった
「ド、ドォーン!!」
「な、なんじゃ!?」
ジョゼルの部屋と迷宮を繋ぐ扉が衝撃音と共に軋む様に歪む。 焦るジョゼルはアルベルトの頭の後ろに隠れるようにしながら扉の方を見つめる
『まぁ、ダンジョンマスターよりも強い魔物の考えなど決まっておるじゃろうな』
「つまり・・・」
「いや、べスそのネタもう良いから!」
「ん・・・反乱?」
『そう言う事じゃの』
「は、反乱じゃと!?だ、旦那様なんとかしてたもれ」
「う~ん。始めっからその心算だったし別に構わないよ」
「カイヤ達がいなくて良かったわ。三人なら気にせず戦えるわね・・・あっ部屋の強度は大丈夫?」
『そこは問題あるまい。仮にもダンジョンじゃ、そう簡単には壊れんよ』
カイヤとバイマトはウマル、サーム、サニラを連れてパワーレべリングの為にダンジョンへと向かっている為、今回のジョゼルのダンジョンには同行していない。 A級冒険者として様々なダンジョンを制覇している経験を持つ彼等がいないのは不安も有るが、今回はダンジョンの探索というよりも魔物の殲滅戦と言った様相を呈してきたし戦力的には彼等を巻き込む心配が無い分三人は思いっ切り戦えるというメリットがある。
エリザベスの問い掛けにアルベルトの後ろでコクコク頷いているジョゼルの様子からもダンジョンの強度の方は問題ない様なので思いっ切り戦っても問題ないだろう
「ドガ~ン」
「ヒィ!だ、旦那様!」
「よし、それじゃ修行の成果と新しい装備の力を試してみようか」
「「おおー!」」
『ほっほっほ。儂も久しぶりに混ざらせて貰うかの』
扉の向こうの強敵に怯む事無くテンションを上げたアルベルト達は準備を整え扉へと向かうのだった・・・
読んで頂いて有難う御座います




