アルベルトの冒険~⑧
少し短いですが何とか纏めれました
サームに自身の女難に関して言われてしまい若干へこみながら帰還の途に就くアルベルト達。
「なんでアンタが付いて来てんのよ!迷宮の主なんでしょ!!」
「何を言っておる。セイレケの街の守護者になったのだからセイレケの街に行くのが当たり前じゃろう。のぉ旦那様♡」
「ん・・・説得力皆無」
その一行に当たり前の様に交じっているジョゼルに抗議の声を上げるエリザベス。 一応はジョゼルの言い分も間違いでは無いのだろうが、その蕩ける様な表情を見れば真の目的が何なのかが判る為、ヴィクトリアの言う様に説得力は皆無であった
「でも現実問題、成長した暗黒竜王が街にいるのって問題あるんじゃない?」
「そうだな~いっそ街の傍に迷宮を創って引き籠ってもらうか!?」
街の近くに迷宮が存在すると言うのは色々問題が有るが無い話では無い。 しかし多くの場合、迷宮の近くに街が出来るというのが殆どで、住民は問題を認識した上でそこに住んでいるのだ。 だが、バイマトの言う様に街の傍に迷宮が出来るのであれば住民の中にも不安を感じる者が出るのは当たり前の話だろう
だが、迷宮の近くに街が出来る事からも判るように迷宮と言うのは莫大な経済効果を齎す。 迷宮産のドロップアイテムや魔石等の貴重品。 それを目当てに集まる冒険者や商人達、そして彼等を相手にするサービス業などと、迷宮が一つあるだけで街一つ分が維持できるのだから相当な物になる
しかし、大精霊であるカリュアーのお蔭で安全な迷宮が近くに在るセイレケの街がそれを必要とするかは別の問題でもある。 抑々、近くと傍では受ける印象がまるで違うのだ
「今回は迷宮の主がセイレケの守護者って事ですから危険性がないのは確かですが・・・」
「まぁ、今住んでる奴らがそれで納得するかは別問題だしな」
「ウマルに相談ね」
最近では難事があれば直ぐに「ウマルに相談」と合言葉の様にすら使っているセリフだが、実際に相談なしで進めた場合高確率で正座&お説教コースになるのだからしょうがないだろう
因みにジョゼルをセイレケ守護竜にしたのはアルベルトなので正座&お説教コースには関係ないと思っている三人。 しかしそんな甘い考えが通用することは無く、お付きとして何をやっているのかと小一時間、問い詰められるのであった
☆△☆△
年長組が割かし真面目に話していた時、両手に花プラス頭上に子竜といったアルベルト達はワイワイやりながら馬を進めていた
「旦那様よ、妾のブレスを防いだのはどうやったのじゃ?今後の参考に教えてたもれ」
「ん!?それがね、特に何にもしてないんだよね」
「そんな筈は・・・ハッ!これが運命!?運命の相手じゃから攻撃が成立しなかったのじゃな!」
「なに訳判んない事言ってるのよ、馬っ鹿じゃないの!」
「ん・・・自意識過剰」
『リミッターじゃな』
「「「りみったー?」」」
『転生したばかりで身体が出来上がっておらんから、ブレスの威力に耐えきれんかったんじゃろう。それで無意識に無効化されたという訳じゃな。まぁ転生竜が転生の眠りの最中に起きる事など無いのが普通じゃから知らんでも無理はない』
「そう言えば妾も初めてじゃったな。ポッ・・・初めての相手じゃな」
頬を赤らめながらクネクネしだすジョゼル。 ドラゴンの雛という姿なのに不思議と表情豊かで人間臭い・・・
「なに言ってんのよ!気持ち悪いわね・・・って、いうかなんで二人ともマーリンさんの言葉が聞こえてるのよ!」
「ん・・・愛情」
「そ、そんな事無いからね!ちゃんとべスの事も好きだから!!」
この場合、マーリンの存在を感じられるかどうかは種族的な話であるだろう。 「霊感」なんて言葉も有るが普通の人間はそんな物だけで守護霊の存在を感じ取れることは無い。
始祖の一族と転生竜という高位の存在だからこその話であるのだが、ヴィクトリアがエリザベスを煽るように言うものだから必死になってフォローに廻るアルベルト。
『なに、エリザベスもじき聞こえるように成るじゃろう。魔法神の奴が過剰に加護を与えておるからの』
「何それ!?大丈夫なの?」
「ん・・・不公平」
アルベルト自身も人の事は言えないくらい神に愛されている存在だが、エリザベスとて一柱とはいえ神の加護を受けているのだ。 しかもアルベルトを取り巻く環境・・・主に女性関係を不憫に思っているのか過剰ともいえる加護を受けている。 此処に転生竜なんて存在が加わったのだから、更に加護が強くなるだろうとマーリンは説明する
「ふふ~ん流石は魔法神様ね」
「じゃが、ちと狡くは無いかの・・・」
「何言ってんのよ!二人とも反則級の力を持ってるくせに。少なくても私はアルと同じ種族なんだから少し位はしょうがないじゃない!」
「ん・・・アルが人間って無理がある」
「ちょ!ヴィクそれは酷いよ!!」
「確かに。いくらこの姿でも妾をぺしってするのが人間と言うのは・・・」
「みんな酷くない?僕は人間だよ!?」
『まぁ半分くらいは人間を辞めてるかもしれんのぉ~』
「マーリンまで!?」
信じていた相手に裏切られてかなりへこんだアルベルト。 自身は普通の十五歳だと思っているのでそのへこみ具合も大きいのだが、抑々自分自身が普通だと思っている事自体が間違いだとは気付いていない
高すぎるステータス。 成人したてなのに既に領主として街を治め、しかも辺境とはいえ領都であるカモーラの街にすら追いつく勢いで発展させているのだ
抑々、神々の寵愛を一身に受け王女と伝説級の種族を恋人にしており、今度は転生竜まで惚れさせてしまうという離れ業で街の危機を救ってしまったのだ
これが普通の十五歳とか言ったら世の中の大人達はどうなるのだって話になってしまう。 こういう処の常識が通用しないのは周りの大人達も優れ過ぎている事にも要因が有るのだが、実はその大人達も別段自分達が優れているとは思っていない所が何とも救いが無い状況であった・・・
「おお!領主様じゃ、お帰りなさいませ」
「ん?領主さまの頭の上、あれってドラゴン!?」
「まさか・・・いやでも領主様なら」
「そうだな。なんたって領主様だ」
「「「「流石は領主様!」」」」
セイレケの街の外周に広がる畑で帰って来たアルベルトを見た住民達がいつもの会話を繰り広げる。そんな住民達に出迎えられながら手を振るアルベルト。
高すぎるCAMの影響だけでは無い、本当にアルベルトを慕ってくれている住民達。 そんな彼等の笑顔に癒され、へこんでいた気分も何処かへ行ってしまう
英雄譚に描かれるアルベルトの序章の終わり。 そこに描かれる転生竜ジョゼルを屈服させ守護竜として支配下においた堂々とした凱旋が実はこんなほのぼのとしたものだったとは後世の人々は知る由も無いのだった
読んで頂いて有難う御座います
次の投稿も未定ですがなるべく頑張って予定通りに持って行きたいです




