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91話

※2014/09/25 運営より指摘五度目の修正……

「マリヤ様~~~~! 大丈夫ですか~~~~?」


 犬が心配そうに叫びあげて来るね。でもまぁ見ての通り、なんとか大丈夫って感じだよ。


 さて、とりあえずコレから、う、ん、と! よし、離れてっと。


 しかしこいつ、すっかり大人しくなっちまったな? う~ん……。


「マ、マリヤ様! お気をつけて!」


 あたしが巨チンの顔に近づこうとしてるのを見てか、犬がまた叫んでくるね。

 まぁでも、構わず近づいてっと。


「ぐぅ。うぅ、う、ううううぅうう――」


 うん? え? 嘘? マジ? なんでこいつ――


「巨、巨神が泣いている……」


 そう、犬のいうように、この巨チン。泣いてるんだよね。

 全くボロボロとなんだってんだ一体。


「うぅ、おで、おでぇ」


 て、え? なんか喋った? て、あぁそうか。たっぷり中に入れたしね、それでか。


「おで、おで、ごんなの、おで、はぢめで、おで、ずごぐ、ぎもじいい、おで、おで、おでぇええええぇええ!」


「うるせぇよ馬鹿!」


 たく思わず怒鳴っちまったよ。てか、こいつも童貞だったって奴かよ! ……いや、まぁ冷静に考えればそりゃそうか。

 こんなもの相手できるのなんて普通いないって。


「……おま、おま、え、おで、言葉、わがる?」


「あぁ。理解してるよ。今さっきからだけどね」


「……おお、おお! おで! おで! うれぢい! ことばつうぢる! おで! おで! がんどう!」


 てか判るのはいいけど、なんか片言でしかも濁ってるし。


「おまえ、おで、なにじだ? おで、すごい、おで、おまえ、ぎもじ、いい」


「やったのはセックスって奴だよ。てかお前お前って、あたしには一応マリヤって名前があるからね」


「……まじや?」


「マ・リ・ヤ!」


 たく、でけぇから声が聞こえづらいとかかね。


「おお! マジヤ! マジヤ! おで、お前、ぎにいっだ! ぜっぐず! ぎもじいい! おで、マジヤ、ほじい!」


 ……もういいや。てか、随分ストレートな奴だねぇ。


「あの、マリヤ様。もしかして、この巨神の言ってることが判るのですか?」


 不思議そうな目で犬が聞いてくる。てか、言葉の判るわけぐらいそろそろ察しろよ。

 まぁとりあえず、あたしは一旦巨チンの身体から地面に飛び降りて犬と対面する。


「あぁ判るよ。こいつちょっと片言だけどね」


 んで、そう返事したら、なんと言ってるのですかな? て聞いてくるから教えてやる。


「なんと! まさかマリヤ様を欲しいなどと大胆な!」


 黒目を大きくさせて驚いてるけどね。


「でもチャンスじゃん? こんだけ言うって事はさ」


 犬はあたしの意図を理解したようで、なるほど、と頷く。


「しかしまさか、本当にこの巨神の物になるおつもりで?」


「はぁ? 何馬鹿言ってるんだよ。逆だよ逆」


 あ、やっぱり、って犬が笑顔を見せた。たく、判ってるなら聞くなっての。


「おい! 言っておくけど、あたしはあんたの物になるつもりはないからね!」


 両手をメガホン代わりに、巨チンに向け叫んだら、ムクリと上半身を起こして、更にゆっくりと立ち上がってきたね。


 で、あたしを見下ろしてくるけど、なんかさっきとはまるで違う、捨てられた子犬のような目をしているよ。


「おで、おで、マジヤ、ぎらいか? おで、マジヤずぎ、なんでもずる、だから、マジヤ、ほじい」


「逆だよ馬鹿」


「ぎゃぐ?」

 

 言ってることがギャグだよ全く。


「いいかい? あんたはあたしが貰ってやる。役に立ちそうだしね。あたしの事が好きだっていうなら、あんたがあたしに忠誠を誓ってよ」


 あたしはジェスチャーも交えてそう要求した。

 そしたら、顎にでけぇ指添えて、う~ん、う~ん、て考えてる。


 ……知能はあんま高くないのかね? 随分長いこと考えてるけど。


「そでで、おで、マジヤ、ぜっぐす、ぎもぢいい、でぎるが?」


 ……結局そっちかよ。


「まぁそうだね。考えておいてやるよ」


 ぶっちゃけ、流石にこいつとしょっちゅうとかはキッツいしね。


 でもまぁ、そう言ったら表情をぱ~~~~っと明るくさせて、ちがう! ちがう! って頷いてきた。

 その言葉だと意味がかわってくんだけどね。

 まぁ表情みれば誓うっていってんのは判るけど。


 まぁ何はともあれ。


「よし! 一丁上がりっと!」


 パチンッと指を鳴らしながら声を上げた。


「しかしマリヤ様。本人がこう言っても、傀儡の魔法は掛けられております。それがどう出るか……」


 て、なんだよ。折角うまく言ったと思ってんのに、興ざめする事いうなよ~~犬~~。


「なぁ? あんた魔導師ってのに、なんか魔法掛けられてんの?」


 仕方ないから、巨チンに聞いてみる。


「おで、かけだででる。まぼう。さかだうど。いだい、いだい、なる」


 巨チンが自分の胸の中心辺りを指さして応えた。そういえば、指さしてるとこに、印みたいのが刻まれてるね。


 会話の流れで言えば、アレが傀儡の魔法の印ってとこかな。


 すると、何と言ってますか? て犬が聞いてきたからそのまま教える。てか、このやり取りめんどい! 仕方ないけど!


「成る程、与えられた命令以外の事をすると、あの印に込められた魔法が働いて、激痛に襲われるって寸法ですな」


 何かを考えるようにしながら、そんな事を言う。

 て事はこいつは何か命令されてるってことだよなやっぱ。まぁなんとなく判るけど。


「あんた何を命じられてるんだい?」


 でも一応聞いてみる。


「ごの、じんでん、まもる、おで、いわでてる」


 やっぱりか……でも――


「あたし達はその神殿の中にある物が欲しいんだけどさ、どうにか出来ないかな?」


 あたしは巨チンを見上げながら、問いかける。すると、うん、うん、て大きく頷いて。


「わがっだ。おで、マジヤ、だのみ、ぎぐ、マジヤ、やぐに、だじだい」


 そう言って、巨チンが、神殿の前に置かれた大岩の前まで歩いて行く。


「おで! がんばる!」


 巨チンは両手でそのデケェ岩を掴んで、うぎぎぃっと歯を噛みしめる。


「上手くいきそうかな」


 巨チンを見たまま、声だけで隣の犬に問いかけるけどね。


「どうでしょうか。何も問題がなければいいのですが……」


 犬が心配そうに口にした直後。


「い、いだいいだいいだいいだいいだいいだいぃいいいぃいい!」


 巨チンの奴が急に痛がりだして、身を捩らせた。

 印も青白く光ってる。成る程ね。これがその魔法の力って奴かい。


「これは……やはり厳しいでしょうか?」


 犬が顔を曇らせるけどね。


「おい! 諦めんのかい? あたしと一緒に来たいんだろ? だったらそれぐらいなんとか出来ないと、話にならないよ!」


 あたしは敢えて厳しい口調で叫び上げる。

 正直、もうヘタしたら、こいつの力なくてもなんとかなるかもしれないんだけどね。


 でも、一緒に来たいと言うなら、それぐらいは自分でなんとか克服して貰わないとね。


「……おで! おで! マジヤ、マジヤのだめ! がん! がんばる! いだぐない! ごんなの! いだぐ、ない!」


 ぐぉおおぉおお! って青筋浮かばせて、岩を持ち上げようとする巨チン。いだいなんて泣き言は、もう言わなくなった。

 

 青い電気みたいのが体中を迸ってる。アレが痛みを与えてる魔力の流れかもしれないって犬が言ってるね。

 

 でもね。


「ふがぁああぁあああ!」


 気合一発! 巨チンが遂に岩を持ち上げた! その瞬間、パリーンって何かが砕けたような音。


「あ、あれは、印が、消えてますぞマリヤ様!」


 犬が興奮した様子で、指さした方をあたしも見る。

 うん、確かに傀儡の魔法の印は消えていた。そして巨チンが巨岩を反対側にドスン! と下ろして、肩で息を切らしながら座り込んだね。


 どうやら自分の力で克服出来たみたいだね。まぁ良くやったと褒めておくとしようかなっと。


 

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