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90話

※2014/09/25 運営より指摘五度目の修正……

 神殿の前にそびえ立つように仁王立ちしてるのが、巨神ってことは、見た目でなんとなく知ることが出来たよ。


 何せまず体格がデカイ。巨人もデカかったけど、それより更に一回り程は巨大だ。

 まぁ褐色の肌に腰巻き、上半身裸、この辺は一緒だけどね。


 でも、髪の色は黒、それが肩の辺りまで伸びている。前髪にも掛かってるね。手入れとかはしてないんだろう。

 眼はキリッとしたシャープな感じ。顔だけ見てると、中々にいい男ぽいね。

 巨神でなく人間なら、女が放っておかないって感じかもしれない。


 で、当然だけど、やっぱあの巨神ってのは神殿を守ってるんだろうけどねぇ。


「これは……弱りましたな」


 岩陰から巨神と神殿を覗きこんだ後、一旦二人で顔を引っ込めたところで、犬が呟く。

 表情を曇らせ困り顔だね。


 どうしたの? とは聞くまでもないかな。

 犬の考えだと、さっきの巨人の時と同じように、巨神の眼に触れないよう、上手いこと神殿に入れたらと考えてたみたいだけどね。


「入り口前の岩が邪魔ですな……あれではこっそり忍びこむというわけにはいかなそうです」


 確かに犬のいうように、入り口を塞ぐように丸い巨岩が置かれている。入り口どころか神殿の屋根まで達するかってぐらいの物だ。


「恐らくあの巨神を隷属かした魔導師の命令があれば、巨神自らあの岩をどかすのでしょう。あれだけの巨体であれば、それも可能でしょうからな。そうなると――」


 その魔導師が来るのを待ってみようかって? でもいつ来るか判らないものを待ってなんていられないしね。


「……やはり待つのは無理がありますな――そうなるとここは一旦引いて――」


「はぁ? 冗談だろ? あたしはそんな無駄骨嫌だよ。冗談じゃない」


「いや、しかしアレでは……」


「何言ってるんだい。ようはあの巨神に岩をどかさせればいいんだろ?」


 あたしは戸惑いながら弱気な事を言う犬に、少し強めた口調で聞く。


「勿論それが出来れば一番ですが、しかし一体どうやって?」


「んなの決まってるだろ? 巨人のを見て判ったけど、あいつらだって男だ。だったらあたしの領分さね」


 右手をワキワキさせながらそう応えてやる。犬は両目を見開いて驚いてるようだね。


「いや、しかし。あれは流石に……それに近づくのだって大変ですし」


「まぁそれはイメクラから貰っておいた魔法もあるし、なんとかなるんでない?」


 あたしはもう完全にやる気になってるんだけどね。

 でも犬が、う~ん、う~ん、って唸ってばっかりでハッキリしない。


「てかあたしがやるって決めたんだけど、逆らう気なのかな? 犬!」


 怒鳴るように言ってやったら、肩震わせて、いえ、そのようなって両手を振ったね。


「……判りました。一か八かというのも感じられますが、マリヤ様を信じます! ただご無理はなさらず、無理と思ったらすぐにお逃げください」


「あぁ判ったよ」


 あたしが返事すると、犬が何度か頷いてあたしに背中を向けた。


「ではこの犬めは、あの三体の巨人を少しでも引き離すよう陽動して参ります。マリヤ様――どうかお気をつけて!」


 そう言って犬は来た道を引き返していった。確かに途中であの巨人までやってきたんじゃ流石に洒落にならないしね。


 さてっと――


 あたしは気合を入れる為に頬を叩いてみる。……痛かった――うぅ思った以上に力強くなってるなあたし……。


 で、念入りにストレッチ。特に開脚は重点的にっと――よっし! 行くか!





◇◆◇


「お~い巨し~ん」

 

 あたしは特に何の策も練らず、岩陰から飛び出して、巨神に向けて歩いていく。

 すると当然巨神はあたしに気づいて、歯をむき出しに見下ろしてくるね。


「おいおいそんな怖い顔するなって。あ・た・し、がこれからいい事してあげようってんだからさぁ」


 胸を強調するように腕で寄せ上げ、シナを作りながら、相手に近づいていく。

 でも流石に操られてるっていう巨神は、それだけで誘惑できないね。

 大口広げ、思わず耳を塞いじゃう程な声で吠えあげて来た。


 なんか肌もビリビリしてきてるし、声だけで多量の土煙が舞い上がったよ。すげぇなマジで。

 犬はうまく引き離してくれたかな? これで気づかれたら流石に面倒だよ。


 で、目の前の巨神は、神殿の周りに立ってる柱より、更にふてぇ脚を前後に動かして、こっちに近づいてくる。


 一歩歩く毎に、ズシーン! ズシーン! て地響きがして、あたしの身体も自然と震える。

 流石にちょっとやべぇかな? とか少し思っちゃったけど今更後には引けないしね。


 とりあえずあたしは巨人との距離が近づいた所で、脚を止めた。

 大木なんか眼じゃねぇぐらいに巨大な腕は、今伸びてくれば確実にあたしに届くね。


 で、案の定そいつは、前かがみになりながら右腕を伸ばしてくる。

 でもね、これは狙い通り! あたしはその場で右足を振り上げて大きく開脚してみせる。


 そして膣に集中して火の玉のくれた魔法を発射した。

 以前の炎の魔法とは違う。股の間から飛び出たのは拳より一回り程大きい光の玉。

 

 それが、少し前進したかと思えば、倍近くまで膨張し破裂したと同時に眩い光を発して、巨神の眼を眩ませる。


 前にユリコーンを奪った時に火の玉が見せてくれたのは、杖を光らせた発光の魔法だったけど、それだとあたしは吸い込めない。

 だから火の玉は、閃光玉の魔法というのを代わりに与えてくれた。


 それがこれ。形のあるものなら魔法でも吸い込めるのが特徴だからね。


 巨神は思ったとおりに、両手で顔を覆って、地団駄を踏んでいる。

 おかげで辺りは揺れに揺れて地震と変わらないぐらいだけど、このチャンスは逃せないね。


 相手の眼が慣れる前にと、あたしはダッシュで足元に移動する。

 暴れまわる踏み脚をなんとか躱しつつ、ジャンプして先ずは足首にしがみついた。

 

 そして、ガシガシとよじ登っていく。う~ん我ながら凄い絵だなって思うよ。

 でも筋肉質でゴツゴツしてるせいか、わりと登りやすい。


 あたしの手がいよいよ膝に掛かった。けどね、そこで巨神も視界が復活したようだね。

 身体を左右に揺らしてあたしを探してるよ。


 まぁでも構わず、膝から腰巻きの中目指してよじ登っていく。

 すると流石に相手も気づいたみたいだ! ヤバ! 手足の動きを早めて……よし! 中に到達!


 ちょっと暗いけど……うん。見つけたよ、巨大なもんがあるね。


 で、あたしはそれに向かって一気にジャーーーーンプ! ハシッ! よし上手いこと飛び移れた。


 で、あとは得意の動きで攻めてっと――


 その後は立っていられなくなった巨チンにテクを駆使して攻めたて、無事事を成し遂げることが出来たよ。まぁ見た目はデカかったけど大したことなかったね。

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